Backlogに顧客を招待する手順と権限設計|2027年プラン改定で変わるコスト
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Backlogに顧客を招待する手順と権限設計|2027年プラン改定で変わるコスト

著者: Terasu 編集部

Backlogのゲスト権限とは、「管理者」「一般ユーザー」に続く3つ目のユーザー権限で、招待されたプロジェクトの中では課題やファイルを一般ユーザーと同じように操作できる一方、参照できるチームや組織の情報が自分の所属チームに限定される権限である。顧客や外部パートナーを招くときの標準的な選択肢として、Backlogの公式ヘルプが案内している。

この記事のポイント(TL;DR)(Backlogの金額は以下すべて税抜・月払い)

  • Backlogに顧客を招くことは標準機能で可能です。ヌーラボ自身が、顧客・外部パートナーと同じプロジェクトで進める導入事例を公開しています。
  • ただし前提に期限があります。2027年1月1日以降の最初の契約更新日から、現在の「スタンダードプラン=ユーザー数無制限」は終了し、エコノミープラン(15ユーザー・30プロジェクトが上限)に変わります。
  • 顧客を招けば15ユーザーは簡単に超えます。その場合はビジネスプラン(月36,300円)の事前予約が必要で、現在のスタンダード月16,000円から月20,300円の増額です。エコノミーとビジネスの差は月15,300円あります。
  • スタータープラン(月2,700円)の利用者が最も影響を受けます。 移行先の新プランが用意されておらず、予約しなければ利用できなくなる可能性があります。最安のエコノミーでも月21,000円(約7.8倍)で、しかもエコノミーのユーザー上限は15名です。現在16名以上いる場合はエコノミーに移れず、ビジネス月36,300円(約13.4倍)になります。
  • 招待の設定で見落とされやすいのが、招待時に所属するチームの変更です。初期設定のままだと、招いた顧客が社内メンバー全員の名前を見られる状態になります。
  • 機能制限を「課題の登録のみ」「課題の閲覧のみ」にすると、ゲストは共有ファイルを閲覧できなくなります。 資料を見せたいなら「制限なし」を選ぶ必要があります。

Backlogで顧客と案件を進められるか

結論から書きます。標準機能で可能です。

「Backlogは社内向けだから顧客とは共有できない」という説明を見かけることがありますが、これは事実に反します。ヌーラボは2026年3月3日のプレスリリースで、Web制作会社ベイジの導入事例を「顧客・外部パートナーと"ワンチーム"のプロジェクト管理」という見出しで公開しています。同社では「社内用と顧客用でプロジェクトを分けず、同一プロジェクト上でタスク管理・進捗共有・日々の連絡を実施」しているとされています(出典: 株式会社ヌーラボ プレスリリース、2026年3月3日)。

顧客との共同利用はメーカー自身が推している使い方であり、すでにBacklogが定着しているなら、それは乗り換えるべき対象ではなく資産です。

顧客と同じ場所で案件を進める働き方そのものについてはクライアントワークの記事で扱っています。Backlog以外の製品も含めて選び直す段階であれば、プロジェクト管理ツールを顧客共有の観点で比較した記事で12製品の料金を並べています。この記事は「すでにBacklogを使っている」前提で、具体的な設定と費用に絞ります。

Backlogに顧客を招待する手順

Backlogの招待は、スペースへの招待とプロジェクトへの追加の2段階で構成されています。この2つを混同すると、招いたのに何も見えないという状態になります。

招待の前に決める3つのこと

操作を始める前に、次の3点を決めておくと後戻りがなくなります。

1. プロジェクトをどう切るか

Backlogで情報を分ける最も強い単位はプロジェクトです。公式ヘルプによれば、管理者であっても自分が参加していないプロジェクトの課題やWikiは閲覧できません。逆に言えば、参加しているプロジェクトの中身は原則として見えます。

顧客ごとに切るか、案件ごとに切るかは、次の基準で決めます。

  • 同じ顧客と継続的に複数案件を進める → 顧客ごとに1プロジェクト
  • 案件ごとに関わる先方の担当者が入れ替わる → 案件ごとに1プロジェクト
  • 顧客に見せたくない情報が案件内に常に存在する → 案件ごとに社内用と顧客用の2プロジェクト

3つ目を選ぶとプロジェクト数が案件数の2倍になります。この選択は改定後のプロジェクト数上限に直結するため、後の章でコストとあわせて扱います。

2. どの権限で招くか

社外メンバーにはゲスト権限を付与するのが公式の案内です。詳しくは次の章で扱います。

3. どのチームに入れるか

チームは、課題でお知らせ(メンション)できる範囲と、組織設定のチーム一覧で見える範囲を決める単位です。取引先企業ごとにチームを作り、社外メンバーをそこに入れます。社外メンバーとやり取りする社内メンバーも同じチームに入れる必要があります。

なお、受託側は顧客ごとに別々のBacklogスペースへ招かれることもあります。自社スペースに顧客を招く場合と、顧客のスペースに招かれる場合が混在すると、アカウントの切り替えが日常的に発生します。どちらの方式を標準にするかは、案件を始める前に社内で決めておくほうが混乱がありません。

ゲスト権限で招待する手順

スペースに招く操作は次の流れです。

  1. グローバルバーの「+」アイコンをクリックします。
  2. 「ユーザー追加」を選びます。
  3. 招待したいメンバーのメールアドレスを入力します。
  4. 権限のプルダウンで「ゲスト」を選びます。
  5. 参加させるプロジェクトを指定します。
  6. 「招待する」ボタンを押します。

すでにスペースにいるユーザーをプロジェクトに追加する場合は、「プロジェクト設定」から「参加ユーザー」を開き、「参加ユーザーの編集」の入力欄でユーザーを選んで「プロジェクトに追加する」をクリックします。

招待される側は、Nulabアカウントを持っていなければ作成し、持っていれば既存のアカウントで招待を受けられます。顧客に事前案内を送る場合は、この2択があることを書いておくと問い合わせが減ります。

招待時に所属するチームを変更する

ここが最も見落とされやすい設定です。

Backlogの公式ヘルプは、社外メンバーを招くときの配慮として3項目を挙げています。「プロジェクトを分けよう」「ゲスト権限で招待し、チームを分けよう」「招待時に所属するチームを変更しよう」の3つです(出典: Backlog公式ヘルプ「社外メンバーをBacklogに招待したい」、2026年9月1日確認)。

このうち3つ目に相当する設定変更は、他の解説記事でほとんど触れられていません。初期設定では、招待されたメンバーは組織全員が参加するチームに所属します。この状態のまま顧客を招くと、顧客がそのチームのメンバー一覧、つまり社内メンバー全員の名前を参照できることになります。

顧客を招く前に、組織設定で自動追加を変更し、取引先ごとのチームに入れてください。

招待メールが届かないとき

顧客側から「メールが来ない」と連絡が来る典型的な原因は次の3つです。

  • 迷惑メールフォルダに振り分けられている
  • 入力したメールアドレスに誤りがある
  • すでに別のNulabアカウントを持っていて、想定と違うアドレスで通知されている

顧客の情報システム部門がドメイン単位でフィルタしている場合もあるため、招待前に「Backlogから招待メールが届きます」と一報を入れておくと、やり取りが1往復減ります。

ゲスト権限で何が見えて、何が見えないのか

ゲスト権限とは、招待されたプロジェクトの中では課題やファイルを一般ユーザーと同じように操作できる一方、組織やチームに関する参照が制限される権限です。ここを正確に理解していないと、見せるつもりのなかった情報が見えている状態になります。

3種類の権限

Backlogのユーザーの種類は「管理者」「一般ユーザー」「ゲスト」の3つで、これに「追加権限」と「制限」を組み合わせて操作できる機能を調整します。

権限主な役割組織・チーム情報の参照範囲顧客に付与する場面
管理者プロジェクトやユーザーを追加する。ただし自分が参加していないプロジェクトの課題やWikiは閲覧できないスペース全体を参照できるなし
一般ユーザー課題の登録やカテゴリーの追加・編集などの基本操作を行うスペース全体を参照できるなし(社内メンバー全員が見えるため)
ゲスト課題・ファイルなどの操作を一般ユーザーと同じように行える自分が所属しているチームのチーム名とチームメンバーのみを参照できる標準の選択肢(公式ヘルプが案内)

出典: Backlog公式ヘルプ「ユーザーの権限」(2026年9月1日確認)

顧客をゲスト権限で招くことは標準機能で可能です。

一般ユーザーとゲストの差は、しばしば「メンションできるチームの範囲」と「チーム一覧で見える内容」の2点だけと説明されますが、公式の権限表を見るとそれより広い範囲に及びます。ゲストは次のことができません。

  • Backlog AIアシスタントを利用する
  • プロジェクト管理者になる
  • ユーザーをメールで招待する
  • 組織内のメンバーを閲覧する
  • チームを追加する、チームの一覧を閲覧する
  • プランや契約者情報を閲覧する

一方で、公式ヘルプは「ゲストでも、一般ユーザーと同じように課題・ファイルなどの操作が行なえます」と明記しています。制限されるのは組織・契約まわりの参照であり、参加しているプロジェクトの中の作業は一般ユーザーとほぼ同じ、と理解するのが正確です。

機能制限の3段階と、共有ファイルへの副作用

権限とは別に、管理者はユーザーごとに機能制限を設定できます。段階は「制限なし」「課題の登録のみ」「課題の閲覧のみ」の3つです。

ここに、見落とすと実務が止まる副作用があります。

機能(ゲスト権限の場合)制限なし課題の登録のみ課題の閲覧のみ
共有ファイルの閲覧・追加・編集・削除できるできないできない
Wikiの閲覧できるできるできる
Wikiの追加・編集・削除できるできないできない
ドキュメントの閲覧できるできるできる
ドキュメントの追加・編集・削除できるできないできない

※この表の「できない」は、その機能制限レベルでの可否です。「制限なし」であればいずれも操作できます。共有ファイルは制限をかけると閲覧もできなくなります。

出典: Backlog公式ヘルプ「ユーザーの権限」(2026年9月1日確認)

つまり、顧客に資料(共有ファイル)を見せたいなら、機能制限は「制限なし」を選ぶしかありません。 「顧客には見るだけにしてほしい」と考えて「課題の閲覧のみ」を選ぶと、狙いと逆に資料が見えなくなります。

「制限なし」を選んだ場合、顧客は共有ファイルの追加・編集・削除もできます。削除されて困るファイルがあるなら、共有ファイルではなくWikiやドキュメントに置くか、顧客用プロジェクトには最終版だけを置く運用にしてください。

ゲスト権限は「プロジェクトの壁」であって「プロジェクト内の壁」ではない

ここが、Backlogを顧客と使うときの構造上の要点です。

ゲスト権限を付与しても、参加しているプロジェクトの中の情報は見えます(制限なしの場合は課題・ファイル・Wikiのすべて)。ゲスト権限が守っているのは「招待されていないプロジェクトは見えない」という境界であって、「同じプロジェクトの中で、この課題だけ顧客に見せない」という境界ではありません。

整理すると、Backlogが提供する分離の単位は次の3つです。

  1. プロジェクト — 参加していなければ管理者でも見えない。最も強い壁
  2. チーム — メンションできる範囲と、チーム一覧で見える範囲を決める
  3. 機能制限 — 制限なし/課題の登録のみ/課題の閲覧のみ の3段階

この3つのどれも、「1つの案件の中で、顧客に見せる記述と社内向けのメモを出し分ける」用途には使えません。工数の実績、原価、社内での懸念、次の提案の下準備といった情報は、顧客と同じプロジェクトに置けば見えます。

回避する方法は1つで、社内用プロジェクトを別に作ることです。ただしこれは1案件あたり2プロジェクトを消費します。ベイジの事例が「社内用と顧客用でプロジェクトを分けず、同一プロジェクト上で」実施しているのは、この二重管理を避ける判断とも読めます。

そして、分けるという選択はプロジェクト数の上限に跳ね返ります。次章のプラン改定と直結する論点です。

顧客を招くと料金はどうなるか(2026年9月1日時点)

現在のBacklogの料金体系では、スタンダードプラン以上を契約していれば、顧客を何人招いても料金は変わりません。ユーザー数が無制限だからです。

現行プランの料金・ユーザー数・プロジェクト数

プラン月払(税抜)年払(月換算・税抜)ユーザー数プロジェクト数ストレージ
スターター2,700円2,565円3051GB
スタンダード16,000円15,200円無制限10030GB
プレミアム27,000円25,650円無制限無制限100GB
プラチナ75,000円71,250円無制限無制限300GB

出典: Backlog公式料金ページ(2026年9月1日確認)。ユーザー数無制限には「安定した運用を維持するため、最大10,000人までを推奨」の注記があります。年払いは5%割引です。

機能面では、ガントチャートはスタンダード以上、Backlog AIアシスタントはプレミアム以上で利用できます。

顧客を招くという観点だけで見れば、現在の選び方は単純です。招く人数が社内と合わせて30名以内に収まり、プロジェクトが5つ以内ならスターター(月2,700円)で足ります。それを超えるならスタンダード(月16,000円)で、以降は人数を気にする必要がありません。

ただしスタータープランを新規に選ぶ判断は、次章の改定を確認してからにしてください。 特に人数が16名を超える場合、改定後の選択肢が大きく変わります。

ただしスタータープランを新規に選ぶ判断は、2027年の改定を確認してからにしてください。 後述のとおり、スタータープランには移行先の新プランが用意されていません。

ゲストはユーザー数にカウントされるのか

顧客を招くコストを考えるうえで前提になる論点ですが、公式にはカウントの可否を明記した記述を確認できませんでした。 断定はできないため、判断材料を開示します。

カウントされるとみられる根拠は3つです。

  1. ゲストは独立した区分ではなく、「管理者」「一般ユーザー」「ゲスト」という3つのユーザー権限のひとつである
  2. 公式ヘルプはユーザー数の確認方法を「スペース設定」>「ユーザー設定」>「ユーザー」のユーザー一覧に表示される数と案内しており、この一覧は権限で区別されない全ユーザーの一覧である
  3. ゲスト専用の無料枠や別勘定を示す記載が、料金ページ・ヘルプ・新プランの案内のいずれにも見当たらない

以上から、この記事はゲストもユーザー数に含まれるという前提で以降の試算を行います。スタンダードプラン以上は現在ユーザー数が無制限のため、この前提が影響するのはスタータープラン(30ユーザー)と、後述する改定後のエコノミープラン(15ユーザー)です。この2つに該当し、かつ人数が上限に近い場合は、契約前にヌーラボへ直接確認することをおすすめします。

よくある3つの誤解

Backlogの料金と権限については、検索結果の上位にも誤った説明が流通しています。一次情報で確認できる範囲で整理します。

よくある説明実際誤解が生まれる理由
「Backlogにゲストという区分はない」ゲスト権限は実在する。ユーザーの種類は「管理者」「一般ユーザー」「ゲスト」の3種公式の料金ページにゲストの記載がないため、機能自体が存在しないと読める。定義はヘルプセンター側にある
「スタンダードは100名まで」スタンダードのユーザー数は無制限。100はプロジェクト数同じ行に並ぶ2つの数値の取り違え
「スターター約2,970円・スタンダード約17,600円」公式表記は2,700円・16,000円(税抜)税込と税抜が混在している。10%を加えた額と一致する

料金を比較するときは、税抜か税込か、月払いか年払いかを必ず揃えてください。

2027年1月1日のプラン改定で何が変わるか

ここまでの前提には期限があります。Backlogは2027年1月1日からプラン体系を改定し、現在のスタンダードプランに相当する枠のユーザー数無制限が終了します。

新プランの料金とユーザー数

新プラン月払(税抜)年払(月換算・税抜)ユーザー数プロジェクト数ストレージ自動移行元
エコノミー21,000円19,950円153030GBスタンダード(15ユーザー以下 かつ 30プロジェクト以下 かつ Nulab Pass未契約の場合のみ)
ビジネス36,300円34,485円無制限無制限100GBプレミアム(スタンダードからは事前予約が必要)
プロフェッショナル100,000円95,000円無制限無制限300GBプラチナ

出典: Backlog公式ブログ「2027年1月1日からBacklogのプランが新しくなります」公式ヘルプ「現在のプランと新しいプランの機能比較」(2026年9月1日確認)

変更の要点は、無制限がビジネスプラン以上に引き上げられたことです。現行スタンダードにあたるエコノミーには、15ユーザー・30プロジェクトの上限が設定されます。フリープランのユーザー上限も10名から5名に変わります。

スタータープランには移行先がない

現在スタータープラン(月2,700円)を使っている場合、この章で最も影響を受けるのはあなたです。

公式の対応表では、スタータープランの移行先は「ー」と記載されています。対応する新プランが存在しません。さらに公式FAQは「プランの予約が必ず必要な組織」の筆頭にスタータープランの利用者を挙げており、予約がない場合は「適用開始日以降にBacklogを利用できなくなる可能性があります」としています。

新プランの最安はエコノミー(月21,000円)です。スターター月2,700円からの差は月18,300円、約7.8倍になります。

さらに注意が必要なのは人数です。エコノミーのユーザー上限は15名で、スターターの30名から半減します。 現在16〜30名でスタータープランを使っている場合、エコノミーには移れません。選択肢はビジネス(月36,300円)だけで、月2,700円からは約13.4倍になります。顧客を招く運用は人数が増えやすいため、この帯に該当する組織は少なくありません。

「スタータープランは自動移行の対象外」という説明を目にしたら、影響がないという意味ではなく、自分で選んで予約しないと契約が続かないという意味だと読み替えてください。

出典: Backlog公式ヘルプ「新しいプラン(2027年1月1日)についてのよくある質問」「現在のプランと新しいプランの機能比較」(2026年9月1日確認)

自分のスペースはどちらに移るか

適用開始日は「2027年1月1日以降の最初の契約更新日」です。全社一斉ではなく、スペースごとに日付が違います。 まず自社の契約更新日を確認してください。

現在スタンダードプランを使っている場合、分岐は次のとおりです。

  • ユーザー15名以下 かつ プロジェクト30以下 かつ Nulab Pass未契約 → 自動的にエコノミープランに変更されます
  • ユーザー16名以上 または プロジェクト31以上 または Nulab Pass契約中 → ビジネスプラン以上を事前に予約する必要があります

なお、プロジェクト数を数えるときは注意が必要です。公式FAQは「アーカイブしたプロジェクトもプランの上限の計算に加算されます。上限に収めるには、プロジェクトを削除してください」としています。完了案件をアーカイブで残している制作会社では、実際の残り枠は見た目より少なくなります。

プレミアムはビジネスへ、プラチナはプロフェッショナルへ自動で切り替わります。

顧客を招いているチームの再計算

ここが本題です。顧客を招く運用をしていると、15ユーザーの枠は簡単に超えます。

社内5名の制作チームが、3社の顧客からそれぞれ4名ずつ招いていれば、それだけで17名です(ゲストがユーザー数に含まれる前提。根拠は前章のとおり)。

現行スタンダード(月16,000円)からの差額は次のようになります。

移行先条件月額(税抜)差額/月差額/年変化率
エコノミー15ユーザー以下 かつ 30プロジェクト以下21,000円+5,000円+60,000円+31.3%
ビジネス16ユーザー以上 または 31プロジェクト以上36,300円+20,300円+243,600円+126.9%

注目すべきは、エコノミーとビジネスの差額です。月15,300円あります。

エコノミーの上限は15ユーザーですから、16人目を招いた瞬間にビジネスプランが必要になります。言い換えると、16人目の1人を招くために月15,300円という判断が発生します。年額では183,600円です。これまで0円で招けていたことを考えると、意思決定の性質が変わります。

なお、ヌーラボが導入事例として公開しているベイジの構成(プロジェクト数100以上、アカウント数約400ユーザー)は、改定後もビジネスプラン以上が前提になる規模です。現行スタンダードのプロジェクト上限が100であることを踏まえると、同社は現時点でもプレミアム以上を利用している可能性が高く、この規模の運用が改定によって上位帯に移るという話ではありません。

いつまでに何をするか

ビジネスプラン以上への予約が必要な場合、支払方法によって対応の目安が異なります。

  • 銀行振込 — 適用開始日の64日前まで
  • クレジットカード — 適用開始日の2日前まで

適用開始日が2027年1月1日の場合、銀行振込の目安は2026年10月29日です。この記事の公開日(2026年9月1日)から約2か月しかありません。

これは公式が示す目安であり、絶対的な締切ではありません。公式FAQは、期限までに新しいプランの予約が間に合わない場合について、理由を記載のうえ契約管理者が問い合わせる経路も案内しています。ただし、間に合わせるほうが確実であることに変わりはありません。

やることを整理すると次のとおりです。

  1. 契約更新日を確認する(=自社の適用開始日が決まる)
  2. 現在のユーザー数とプロジェクト数を数える(アーカイブ済みプロジェクトも含める)
  3. 該当する場合は予約する(スタータープランはエコノミー以上、スタンダードで15ユーザー・30プロジェクトを超える場合はビジネス以上。詳細は前の2節)
  4. どちらにも当てはまらなければ手続きは不要。ただし今後15ユーザーを超える見込みがあるなら、招く人数の設計を先に決める

なお、銀行振込で3〜6か月契約の場合は自動的に年払いに変更されるとされています。支払いサイクルが変わる点も確認してください。

公平に見た改定の中身

誤解のないように書いておきます。この改定は顧客の招待を狙い撃ちしたものではありません。

改定は全体的な価格見直しで、現行プレミアム(27,000円)からビジネス(36,300円)も月9,300円・34.4%の増額、プラチナ(75,000円)からプロフェッショナル(100,000円)も月25,000円・33.3%の増額です。上位プランも同じ幅で上がっています。

一方で、スタンダードからエコノミーへの移行では、値上げ以外にも変わる点があります。両方向を並べます。

項目スタンダード(現行)エコノミー(改定後)
ストレージ30GB30GB(据え置き)
2段階認証の必須化なしあり
Nulab Passの契約できるできない
ガントチャートの6か月以上の期間表示・プロジェクト横断表示ビジネス以上でのみ利用可能
孫課題ビジネス以上でのみ利用可能
Backlog AIアシスタントビジネス以上でのみ利用可能
Flowbaseビジネス以上でのみ利用可能

出典: Backlog公式ヘルプ「現在のプランと新しいプランの機能比較」(2026年9月1日確認)

このうち2つは、顧客を招いているチームに直接影響します。

2段階認証の必須化は、セキュリティの観点では前進ですが、運用としては「招いた顧客全員に2段階認証の設定を依頼する」ことを意味します。社外の10名にこれを案内する手間は、改定前には存在しなかったものです。

Nulab Passが契約できなくなることは、監査ログの取得手段が失われることを意味します(詳細は後述します)。

つまり「値上げでユーザーが締め出される」という話ではなく、無制限をはじめとする条件が上位プランに整理し直されたというのが正確な理解です。そのうえで、顧客を招く運用は無制限に最も依存していた使い方であるため、影響が大きく出ます。

顧客との接点だけを、別の場所に持つという選択

Terasuは、顧客と共有するページ・資料の閲覧状況・決定の記録をまとめるワークスペースです。課題管理はBacklogのまま、顧客に見せる面だけを分けて試せます。

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Backlogの設計の外側にある3つの要件

ここまでは、Backlogでできることを扱ってきました。ここからは、Backlogの設計の外側にある要件を3つ挙げます。判定は「標準機能で可能/条件付きで可能/不可/公式情報で確認できず」の4つで統一しています。1つ目は機能としては条件付きで可能ですが、案件の進行中に使う形では提供されていません。

論点判定条件・根拠
顧客がいつ資料を開いたかを把握する条件付きで可能プラチナプラン(月75,000円)のアクセスログで参照履歴を確認できる。ただし月次のZIP提供で、原則として契約管理者が受け取る
同じ案件の中で顧客向けと社内メモを分ける不可分離単位はプロジェクト・チーム・機能制限3段階のみ。プロジェクト内に壁を作る仕組みはない
招いた顧客にAIの支援を届ける不可ゲストはBacklog AIアシスタントの対象外。管理者でも個別に変更できない

1. 誰がいつ資料を開いたか

「送った提案書を、先方はもう読んだのか」を知りたい場面があります。この点についてBacklogは、条件付きで可能です。「まったくできない」という説明は不正確なので、条件を具体的に書きます。

公式ヘルプは、共有ファイルや添付ファイルの参照履歴・ダウンロード履歴について、サービスの画面上では確認できないとしています。例外がプラチナプランで、アクセスログを使えばファイルの参照履歴を確認できます。ただし、まとめてダウンロードされた場合はファイル名を特定できないという制約も明記されています。

アクセスログと監査ログの違いも整理しておきます。

アクセスログ監査ログ
提供条件プラチナプランのスペース(個別申込は不要)Nulab Pass の契約
記録される内容ユーザーがいつBacklog内のURLにアクセスしたか。IPアドレス、ユーザー名、時刻、HTTPメソッド、リクエストパス、ステータスコード、ファイルパスなど誰が、いつ、どのような操作をしたか。課題の作成・更新などの更新操作と、ダウンロードしたファイル名
記録されない内容ユーザーの具体的な操作内容課題を閲覧したなどの参照操作
取得方法毎月10日ごろに前月分のダウンロードリンクがメールで届く(ZIP形式)画面から閲覧
受け取れる人正式登録時の契約管理者。それ以外のユーザーが必要な場合は契約管理者から問い合わせる本記事の出典では確認できず

出典: Backlog公式ヘルプ「アクセスログや監査ログは閲覧できますか?」「共有ファイルや添付ファイルの参照履歴や、ダウンロードの履歴を把握することはできますか?」(2026年9月1日確認)

実務に引き直すと、こういうことです。監査ログを契約しても「顧客が課題を読んだか」は分かりません。参照操作が記録の対象外だからです。プラチナプラン(改定後はプロフェッショナル、月100,000円)まで上げればファイルの参照履歴は取れますが、届くのは翌月10日ごろのZIPファイルです。

しかも改定後は、監査ログの条件がさらに厳しくなります。 前述のとおりエコノミープランではNulab Passを契約できないため、監査ログを取得する手段自体がなくなります。

これらはセキュリティ監査のための仕組みであり、案件の進行中に「先方はどの資料を見て、どこで止まっているか」を確認する用途には設計されていません。機能がないのではなく、目的が違うというのが正確な整理です。

2. 顧客向けと社内メモを同じ案件で出し分ける

判定は不可です。理由は前章のとおりで、ゲスト権限が守るのはプロジェクトの外周だけだからです。

ここで、プラン改定と噛み合います。回避策である「1案件あたり社内用と顧客用の2プロジェクト」は、改定後のエコノミープラン(プロジェクト30が上限)では15案件で天井に当たります。しかもアーカイブ済みのプロジェクトも上限に加算されるため、実際にはそれより手前です。分ければ上限に当たり、分けなければ社内メモの置き場所がない、という二択になります。

実務上の折衷案は、社内向けの記録をBacklogの外に置き、Backlogのプロジェクトは顧客と共有する前提で統一することです。議事録と決定事項の記録をどこに置くかは、この判断と直結します。

3. 顧客側にAIの支援を届ける

判定は不可です。しかも二重にゲートがあります。

1つ目はプランです。Backlog AIアシスタントはプレミアムプラン以上で利用できます(改定後はビジネスプラン以上)。 2つ目は権限です。公式ヘルプによれば、ゲストユーザーはBacklog AIアシスタントの対象外で、2026年3月5日以降は「AI要約」ボタンが表示されなくなっています。利用できるのは管理者または一般ユーザーだけで、利用可否の設定はスペース単位でしか行えず、設定できるのは管理者権限を持つメンバーのみです。

つまり、どのプランを契約しても、ゲスト権限で招いた顧客はAIの支援を受けられません。 社内メンバーは長い課題を要約できるのに、招いた顧客は自分で全部読むことになります。

顧客側にも要約や検索を提供したい場合、これは併用を検討する具体的な理由になります。逆に、AIは社内で使えれば十分という判断であれば、Backlog単体で完結させて問題ありません。

置き換えずに役割を分ける

3つの要件はいずれも「Backlogが劣っている」という話ではありません。Backlogは課題管理とプロジェクト進行のツールとして設計されており、ここまで挙げたのはその設計の外側にある要件です。したがって現実的な選択肢は、乗り換えではなく役割分担です。

何をBacklogに残すか

扱う情報置き場所理由
課題・バグ・仕様変更のチケットBacklog課題管理の深さは専用ツールが勝る
ガントチャート・工程Backlogスタンダード以上の標準機能である(改定後、6か月以上の期間表示とプロジェクト横断表示はビジネス以上になる)
リポジトリ連携(Git/Subversion)Backlog開発と一体で扱える
日々の進捗のやり取りBacklog顧客も課題にコメントできる
顧客に提示する資料と、その閲覧状況別レイヤー参照履歴はプラチナプランの月次ログでしか取れない
決定事項と、その根拠別レイヤー案件終了後も参照されるため、課題に埋もれると探せなくなる
社内向けのメモ・原価・懸念別レイヤー同一プロジェクト内では顧客から隠せない

この分け方は、顧客ポータルと呼ばれるカテゴリの考え方と重なります。社内の案件管理とも役割が違うため、3つを混ぜないほうが結果的に運用が軽くなります。

「同じ情報を両方に置かない」

併用で失敗する原因はほぼ1つで、両方に同じ情報を置くことです。必ず片方が古くなり、どちらが正なのか誰も分からなくなります。

守るルールは3つだけです。

  1. タスクの正はBacklog。 顧客共有レイヤーには「今週完了した項目」と「顧客に判断してほしいこと」だけを置く
  2. 決定事項の正は顧客共有レイヤー。 Backlogの課題には決定事項へのリンクを貼る
  3. 資料の正は顧客共有レイヤー。 同じファイルをBacklogに再アップロードしない

なお、コストを最優先するなら併用は最適解ではありません。Terasuの公開料金は Terasu Starter が月9,800円(3名込み・追加1ユーザーあたり月2,480円)、Terasu Business が月29,800円(10名込み・追加1ユーザーあたり月2,980円)で、いずれも税込です。社外ユーザーを無料にする記載はありません。本記事のBacklogの金額はすべて税抜のため、両者を並べるときは基準を揃えてください(Backlogのビジネスプラン月36,300円は税込で39,930円に相当します)。

招く人数が多く費用だけで判断するなら、Backlogのビジネスプランに集約するほうが安く収まる場合があります。閲覧状況・見せ分け・決定の記録という3つの要件が実際に自社の課題かどうかを先に確かめてください。

よくある質問

Backlogでユーザーを招待するにはどうすればいいですか?

グローバルバーの「+」アイコンをクリックし、「ユーザー追加」を選びます。招待したいメンバーのメールアドレスを入力し、権限をプルダウンから選択して、参加させるプロジェクトを指定し、「招待する」ボタンを押します。社外のメンバーを招く場合は権限に「ゲスト」を選んでください。招待される側は、Nulabアカウントを持っていなければ作成し、持っていれば既存のアカウントで招待を受けられます。この2択があることを事前に伝えておくと問い合わせが減ります。

Backlogのゲストと一般ユーザーの違いは何ですか?

参加しているプロジェクトの中での作業はほぼ同じで、公式ヘルプも「ゲストでも、一般ユーザーと同じように課題・ファイルなどの操作が行なえます」と明記しています。差が出るのは組織・契約まわりの参照です。ゲストは、Backlog AIアシスタントを利用できず、プロジェクト管理者になれず、ユーザーを招待できず、組織内のメンバー一覧やチームの一覧を閲覧できず、チームを追加できず、プランや契約者情報も閲覧できません。参照できるチーム情報は自分が所属しているチームのチーム名とメンバーに限られます。

Backlogでメンバーを追加するにはどうすればいいですか?

2種類の操作があります。スペースに新しく人を迎える場合はグローバルバーの「+」から「ユーザー追加」を使い、すでにスペースに参加している人を特定のプロジェクトに加える場合はプロジェクト設定の「参加ユーザー」から追加します。前者はアカウントの発行を伴い、後者は既存アカウントの参加範囲を広げる操作です。社外メンバーを追加するときは、あわせて取引先ごとのチームを作り、招待時に所属するチームを変更してください。初期設定では組織全員が参加するチームに所属するため、変更しないと招いた相手が社内メンバー全員の名前を参照できる状態になります。

Backlogに招待されたらどうすればいいですか?

届いた招待メールのリンクを開き、Nulabアカウントを作成して参加します。すでにNulabアカウントを持っている場合は、既存のアカウントで招待を受けることもできます。招待メールが見当たらないときは、迷惑メールフォルダを確認してください。それでも見つからない場合は、招待した側にメールアドレスの綴りと、別のアドレスで既存アカウントを持っていないかを確認してもらうのが早道です。参加後に閲覧できる範囲は、付与された権限と機能制限によって変わります。

Backlogの招待メールが届かないのはなぜですか?

主な原因は3つです。1つ目は迷惑メールフォルダへの振り分けで、最も多いケースです。2つ目は招待時に入力したメールアドレスの誤りです。3つ目は、招待された人がすでに別のメールアドレスでNulabアカウントを持っており、想定と違うアドレス宛に通知が届いている場合です。顧客企業の情報システム部門が外部ドメインをフィルタしていることもあるため、招待の前に「Backlogから招待メールが届きます」と一報を入れておくと確認がスムーズになります。

Backlogで複数の担当者を設定できますか?

課題の担当者は1名を設定する仕様で、複数人を同時に担当者にすることはできません。複数人で扱う必要がある場合は、お知らせ(メンション)で関係者を指定するか、作業単位で子課題に分割してそれぞれに担当者を割り当てる方法が公式に案内されています。責任の所在を1人に保つための設計です。なお、ゲスト権限のユーザーがお知らせできるチームは自分が所属しているチームに限られるため、顧客から社内の別チームへ直接メンションすることはできません。

ゲストに機能制限をかけると、顧客は資料を見られますか?

見られなくなります。機能制限を「課題の登録のみ」または「課題の閲覧のみ」に設定すると、ゲスト権限のユーザーは共有ファイルの閲覧ができません。追加や編集だけでなく、閲覧そのものができなくなります。Wikiとドキュメントはどちらの制限下でも閲覧できますが、追加・編集・削除はできません。顧客に資料を見せることが目的であれば、機能制限は「制限なし」を選ぶ必要があります。その場合、顧客は共有ファイルの追加・編集・削除もできるようになる点にも注意してください。

2027年のプラン改定で、顧客を招く運用は何が変わりますか?

2027年1月1日以降の最初の契約更新日から、現在のスタンダードプランに相当する枠はエコノミープランに変わり、ユーザー数が無制限から15名、プロジェクト数が100から30に変わります。顧客を招いてユーザーが16名以上になる場合、またはプロジェクトが31以上ある場合は、ビジネスプラン以上を事前に予約する必要があります。月額は税抜でスタンダード16,000円からビジネス36,300円となり、月20,300円の増額です。エコノミーとビジネスの差は月15,300円のため、16人目を招くかどうかが費用の判断になります。予約の目安は銀行振込が適用開始日の64日前まで、クレジットカードが2日前までです。スタータープランには移行先の新プランがなく、予約しなければ利用できなくなる可能性があるため特に注意してください。まず自社の契約更新日を確認することをおすすめします。

まとめ

Backlogに顧客を招くことは標準機能で可能です。ヌーラボ自身が共同利用を導入事例として公開しています。

招くときに押さえる設定は4点です。顧客に見せるプロジェクトを分けること、招待とプロジェクト追加は別操作であること、ゲスト権限を使い取引先ごとにチームを分けること、そして招待時に所属するチームを初期設定から変更することです。最後の1点を見落とすと、招いた顧客に社内メンバー全員の名前が見えます。機能制限の設定にも注意が必要です。

いま最優先で確認すべきは自社の契約更新日です。2027年1月1日以降の最初の更新日から「スタンダード=ユーザー数無制限」は終了し、15ユーザーまたは30プロジェクトを超えるならビジネスプラン(月36,300円・税抜)の事前予約が必要になります。スタータープランには移行先そのものがありません。銀行振込の予約の目安は適用開始日の64日前です。

残る3つの要件(資料の閲覧状況・同一案件内での出し分け・顧客側のAI)が自社の実際の課題であれば、課題管理はBacklogに残したまま、顧客と共有する面だけを分ける設計が現実的です。守るルールは1つ、同じ情報を両方に置かないことです。

顧客と進める案件を、ひとつの場所に

顧客ごとのワークスペースに、共有する資料・ページ・決定事項をまとめられます。課題管理はBacklogのまま、まずは1案件だけ顧客との接点を移して試せます。

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