
プロジェクト管理ツール比較12選|顧客・社外と共有するなら何が変わるか【2026】
プロジェクト管理ツールとは、タスク・進捗・期限・担当・資料を1か所に集約し、プロジェクトの現在地をチーム全員が同じ画面で確認できるようにするソフトウェアである。多くの製品は「社内チームで使う」ことを前提に設計されているため、顧客や外部パートナーを同じ場所に招く場合は、料金の増え方・情報の見せ分け・記録の残り方という3つの前提が変わる。
この記事のポイント(TL;DR)
- 12製品の料金は、すべて2026年8月31日に各社の公式ページで確認した実額です。第三者のまとめサイトの数字は使っていません。
- 一般的な選び方は「管理手法・費用と規模・外部連携」の3軸ですが、受託・制作・コンサルのように顧客と一緒に案件を進める場合は「誰と使うか」という第4の軸が必要になります。
- 顧客10名を招いたときの追加月額は0円から24,800円まで割れます。同じ「社外共有できる」でもコスト構造がまったく違い、最も高くなるのは本記事を運営しているTerasuです。
- Backlogは乗り換えの対象ではありません。ヌーラボ自身が顧客・外部パートナーとの共同利用の導入事例を公開しており、併用して役割を分けるのが現実解です。
- 比較表の判定は「標準機能で可能/条件付きで可能/不可/公式情報で確認できず」の4語だけを使いました。確認の手順も、確認できなかった項目も、本文でそのまま開示しています。
- 「顧客共有で手戻りが何%減る」といった効果の数値は、一次ソースが存在しないため書いていません。その理由も最後に説明します。
プロジェクト管理ツールとは?何が可視化されるのか
プロジェクト管理ツールとは、複数人・複数工程で進む仕事の「誰が・何を・いつまでに・どこまで」を1か所に集約し、遅れと停滞を早く見つけるための道具です。紙やメールでも管理はできますが、情報が個人の受信箱に散るため、全体像を持っている人が1人もいない状態が生まれます。それを構造的に防ぐのがツールの役割です。
可視化されるのは主に次の4つです。
- 作業の分解: 大きな目標を、担当者が着手できる単位のタスクに分ける
- 順序と依存: どのタスクが終わらないと次に進めないか
- 時間軸: いつ始まり、いつ終わる予定で、いまどれだけずれているか
- 根拠となる資料: その判断のもとになった見積・仕様・議事録がどこにあるか
似た名前のカテゴリと混同しやすいので、先に線を引いておきます。
| カテゴリ | 主な目的 | 中心にあるもの |
|---|---|---|
| プロジェクト管理ツール | 期限のある仕事を完了まで運ぶ | タスクと工程 |
| タスク管理ツール | 個人・小チームのやることを整理する | 個人のToDo |
| 情報共有ツール・社内Wiki | 知識やドキュメントを蓄積する | ページ |
| 工数管理ツール | 誰が何にどれだけ時間を使ったかを測る | 時間 |
| 案件管理ツール | 案件ごとの進捗と金額を社内で把握する | 案件レコード |
このうち案件管理ツールは「社内で案件の状態を把握する」ことが目的で、本記事のテーマである「顧客と一緒に仕事を進める」とは目的が異なります。顧客と進める仕事そのものの定義はクライアントワークとはで扱っています。社内側の管理を整えたい場合は案件管理ツールの比較を参照してください。本記事は、顧客が同じ場所に入ってくる前提で読み進めてください。
プロジェクト管理ツールの主な機能6分類
製品ごとに名前は違いますが、機能はおおむね次の6つに整理できます。自社に必要なのがどれかを先に決めると、比較が一気に楽になります。
1. タスク・課題管理
作業を登録し、担当者と期限を設定して、状態(未対応・処理中・完了など)を変えていく機能です。すべてのツールの土台であり、ここが使いにくい製品は他の機能がどれだけ揃っていても定着しません。開発案件では、バグや仕様変更を「課題」として1件ずつ追跡できるかが分かれ目になります。
2. ガントチャート・WBS
タスクを時間軸の横棒で並べ、依存関係と全体の期間を見る機能です。WBS(作業分解構成図)が「仕事を分解した一覧」であるのに対し、ガントチャートは「分解した仕事を時間に並べた図」です。この2つは対立するものではなく、WBSで分けたものをガントで並べる、という順番の関係にあります。
3. 進捗の可視化とレポート
未完了タスクの残数、期限超過の件数、担当者ごとの負荷などをダッシュボードで見る機能です。定例会議の資料を毎回手で作っている場合、ここが効きます。
4. ファイル・資料の共有
仕様書、デザインデータ、見積、議事録を、タスクに紐づけて置ける機能です。ファイルが単独で存在するのではなく「どの作業の根拠か」が分かる形で置けるかどうかで、後から見返したときの価値が変わります。
5. コミュニケーション
コメント、メンション、通知の機能です。チャットツールと重複しますが、タスクに紐づいた会話が残る点が異なります。チャットで決まったことはすぐ流れますが、タスク上のコメントは対象と一緒に残ります。
6. 工数・コスト管理
各タスクに実績時間を記録し、見積との差を見る機能です。受託・制作では粗利に直結するため重要ですが、顧客に見せる情報ではありません。後半の「見せ分け」で扱う中心的な論点になります。
失敗しない選び方4軸
検索結果の上位記事とGoogleのAI Overviewが提示している選び方は、おおむね次の3軸に集約されます。まずこの3軸を押さえたうえで、本記事では4つ目の軸を足します。
軸1: 管理手法が合うか
ガントチャート型(工程と期限が決まっている案件に向く)、カンバン型(状態を動かしながら進める運用に向く)、アジャイル・スプリント型(開発の反復に向く)のどれを主に使うかを決めます。多くの製品は複数のビューを持っていますが、どのビューが「主」として作られているかは製品ごとに明確な差があります。
制作案件のように納品日から逆算する仕事はガント型が、問い合わせ対応のように流れ続ける仕事はカンバン型が噛み合います。自社の仕事がどちらかを先に決めてください。
軸2: 費用と規模 — 「1人あたり月額」ではなく「実際に払う総額」で見る
比較記事の多くは「1ユーザー月額◯円」だけを並べますが、実際の請求額はそれだけでは決まりません。次の4つが効きます。
- 最低契約ユーザー数: kintoneのライト・スタンダードコースは最小10ユーザーからです
- 定額かユーザー課金か: Backlogはプラン定額、AsanaやNotionは人数課金です。人数が増えたときの伸び方が根本的に違います
- 年払いと月払いの差: Asanaは年払い1,200円に対し月払い1,475円、Jootoは年間契約417円に対し月額契約500円です
- 社外メンバーの扱い: 後述しますが、ここが最も見落とされます
契約基準を揃えて比べます。10人のチームを月払いで揃えると、定額のBacklogスタンダード(月16,000円。スターター月2,700円でも30ユーザーまで収まりますが、プロジェクト数が5を超える前提でスタンダードとしています)と人数課金のAsana Starter(月1,475円×10人=14,750円)はほぼ同水準です。しかし30人になると、Backlogは定額のまま16,000円、Asanaは44,250円へと開きます。人数の増え方を先に見積もり、年払いと月払いのどちらで比べているかを揃えてください。(この定額の前提は2027年1月1日以降の最初の契約更新日までです。それ以降、30人構成のBacklogはビジネスプラン月36,300円になります。後述の注意を参照してください。)
軸3: 既存ツールとの連携
Slack、Microsoft Teams、Google Workspace、GitHubなど、すでに毎日開いているツールと繋がるかどうかです。通知が既存の場所に届かないツールは、見に行く習慣が続かず形骸化します。
軸4: 誰と使うか — 社内だけか、顧客も入るか
ここが本記事の主題です。
「プロジェクト管理ツール」の日本語検索結果(2026年8月31日時点、上位19枠とAI Overviewを実査。うち本文まで読み込んだのは上位2記事)を確認しましたが、選び方の軸として「誰と使うか」を挙げている記事は見当たりませんでした。社外共有に触れているのは、ある大手メディアの次の一文だけです。
権限付与をすることで「社外のメンバーがアクセスできるツール」もあるため、メール添付で共有するよりもスムーズで、宛先間違いなどが起こらないため安心して共有できます。
— マネーフォワード クラウド「【中小企業向け】無料から使えるプロジェクト管理ツール12選を比較!」(2026年8月31日確認)
言っていることは正しいのですが、どの製品が・いくらで・どこまで見せられるのかは書かれていません。受託開発・Web制作・コンサルのように、顧客が案件の当事者として同じ場所に入ってくる働き方では、この一文の先にある具体が意思決定を左右します。
この軸を無視すると、次のいずれかが起きます。
- 導入してから顧客の人数分の追加料金に気づく
- 顧客を招いたら社内の見積根拠まで見えてしまう
- 見せたくない情報を隠すために別ツールへ転記し、二重管理が始まる
後半でこの3つをすべて扱います。まずは主流の比較から見ていきましょう。
プロジェクト管理ツール比較12選
12製品を、タイプ・無料プラン・有料の最小構成・ガントチャート・社外ユーザーの招待コストで並べます。
機能欄の判定には、次の4語だけを使います。この記事は全製品にこの4語を適用し、確認できなかった項目を推測で埋めていません。
| 判定語 | 意味 |
|---|---|
| 標準機能で可能 | 公式の料金ページ・ヘルプ・機能ページに明記がある |
| 条件付きで可能 | 上位プラン限定、オプション課金、回避策が必要。条件を必ず併記する |
| 不可 | 公式に非対応と明記されている、または上位プランへの変更では解消できない別課金(社外ユーザー1人ごとの従量課金など)が必要 |
| 公式情報で確認できず | 公式ページを確認したが、該当する記載を見つけられなかった |
| 製品 | タイプ | 無料プラン | 有料の最小構成(すべて税抜) | ガントチャート | 社外ユーザーを追加費用なしで招けるか |
|---|---|---|---|---|---|
| Backlog | 課題管理・国産 | なし | スターター 月2,700円(30ユーザー・5プロジェクト・月払) | 標準機能で可能 | 条件付きで可能(ゲストもユーザー数に含まれるとみられる。スターターは30ユーザーまで。人数無制限はスタンダード月16,000円以上。2027年1月1日以降の契約更新日から上限あり) |
| Jira | 開発・アジャイル | 最大10ユーザーが永久に無料 | Standard 1ユーザー月1,085円(課金サイクルは公式情報で確認できず) | 標準機能で可能(公式の機能比較表に「タイムライン ビュー」) | 条件付きで可能(Standard以上。Freeは対象外) |
| Asana | 汎用・多ビュー | Personal 0円 | Starter 1ユーザー月1,200円(年払) | 公式情報で確認できず | 条件付きで可能(Starter以上。無制限の無料ゲスト) |
| Trello | カンバン | Free USD 0(10ボード・10コラボレーター) | Standard 1ユーザー月USD 5(年払) | 公式情報で確認できず | 公式情報で確認できず |
| Notion | ドキュメント統合 | フリー 0円(外部ゲスト10) | プラス 1ユーザー月1,650円(課金サイクルは公式情報で確認できず) | 標準機能で可能(タイムラインビュー。公式は「ガントチャート」と呼んでいない) | 条件付きで可能(フリーはゲスト10名まで。プラス以上は無制限で有料シートを消費しない) |
| monday.com | 汎用・カスタム | 無料(最大2ユーザー・3ボード・3ドキュメント) | ベーシック 1ユーザー月1,300円(年払) | 公式情報で確認できず | 公式情報で確認できず |
| Wrike | 大規模・部門横断 | Free USD 0(ボードビュー・テーブルビュー) | Team 1ユーザー月USD 10(2〜15ユーザー・年一括請求) | 標準機能で可能 | 公式情報で確認できず |
| ClickUp | 全部入り | Free Forever USD 0(60MB・タスク数無制限) | Unlimited 1ユーザー月USD 7(年払) | 条件付きで可能(Unlimited以上) | 公式情報で確認できず(Unlimited以上に「Guests With Permission Control」の記載はあるが、追加費用の有無は確認できず) |
| Jooto (2027年7月31日 提供終了) | カンバン・国産 | 無料 0円(1ユーザー・100MB) | スターター 1ユーザー月417円(年間契約・10人まで) | 公式情報で確認できず | 公式情報で確認できず |
| kintone | 業務アプリ・国産 | なし | ライト 1ユーザー月1,000円(最小10ユーザー・課金サイクルは公式情報で確認できず) | 公式情報で確認できず | 不可(ゲストユーザーは1人月700円または1,440円が別途必要) |
| Microsoft Planner | Microsoft 365統合 | Microsoft 365に同梱 | Planner Plan 1 1ユーザー月1,499円相当(年払) | 条件付きで可能(Plan 1以上のタイムライン) | 公式情報で確認できず |
| Redmine | オープンソース | ソフトウェアは無料(自己ホスト) | ライセンス費なし・サーバー運用が必要 | 標準機能で可能 | 公式情報で確認できず |
価格はすべて2026年8月31日に各社の公式ページで確認した税抜表記です。 Trello・Wrike・ClickUpは米ドル建てで表記されているため、為替で陳腐化しないよう円換算していません。
繰り返しになりますが、「公式情報で確認できず」は本記事が各社の公式ページを確認した範囲で見つけられなかったという記録であり、その機能がないという意味ではありません。確認の手順とその適用範囲は、後半の「この記事の判定に使っている言葉について」で全文開示します。
Jootoについての注意(2026年8月31日確認)
Jootoは公式サイトで「Jootoは、2027年7月31日をもちまして、一般提供を終了することとなりました」と告知しています。同サイトには2026年8月31日付の追記があり、提供終了までのスケジュール、契約・料金の取り扱い、データの出力・移行についての案内資料が公開されています。
検索上位に表示される他社の比較記事の複数が、いまもJootoを候補として掲載していますが、これから新規に導入するツールとしては選べません。比較の材料として表には残していますが、現在Jootoを利用している場合は移行先の検討が必要です。
Backlog
ヌーラボが提供する、国内の受託開発・Web制作で広く使われている国産ツールです。課題(チケット)管理を中心に、ガントチャート、Wiki、Git/Subversionのリポジトリまで1つに収まっています。プラン定額でユーザー数が増えても料金が変わらないため、人の出入りが多い案件で計算しやすいのが特徴です。スタンダード(月16,000円)以上はユーザー数が「無制限」と明記されています。
Backlogのプラン改定についての注意(2026年9月1日追記)
Backlogは2027年1月1日からプラン体系を改定し、現在のスタンダードプランに相当する枠のユーザー数無制限が終了します。適用開始日は「2027年1月1日以降の最初の契約更新日」で、スペースごとに異なります。
改定後、スタンダードは条件を満たせばエコノミープラン(月21,000円・15ユーザー・30プロジェクトが上限)へ自動移行します。ユーザー16名以上またはプロジェクト31以上の場合は、ビジネスプラン(月36,300円)以上を事前に予約する必要があります。スタータープランには移行先の新プランがありません。
本記事の以降の記述で「Backlogはユーザー数無制限」としている箇所は、すべてこの期日までの前提です。 顧客を招く運用は15ユーザーの枠を超えやすいため、影響が大きく出ます。詳細と実額の試算はBacklogに顧客を招待する手順と権限設計で扱っています。
向くのは、開発課題やバグを1件ずつ追跡する必要があるチーム。向かないのは、そこまで細かい課題管理を必要としない少人数の運用です。
Jira
アトラシアンが提供する、ソフトウェア開発向けの製品です。スプリント、バックログ、カスタムワークフローを備えています。Freeプランは「最大10ユーザーが永久に無料」と明記されており、小規模な開発チームなら費用ゼロで始められます。
向くのは開発組織。向かないのは、非エンジニアが主役の案件です。設定項目の多さがそのまま学習コストになります。
Asana
複数のビューを切り替えてタスクを管理できる汎用ツールです。社外コラボレーションの扱いが明快で、公式の料金ページに「無制限の無料ゲスト」と記載されています。
向くのは、部門をまたいで複数案件を並行させるチーム。向かないのは、Gitや課題テンプレートまで一体で必要な開発現場です。
Trello
Jiraと同じアトラシアンが提供する、カード形式のカンバンに特化した製品です。学習コストの低さが特徴です。無料プランは公式に「ワークスペースあたり 10 コラボレーターまで無料」「ワークスペースあたり 10 枚のボード」と記載されています。
向くのは、まずシンプルに可視化したい小規模チーム。向かないのは、依存関係や工数を厳密に管理したい案件です。
Notion
ドキュメント、データベース、タスクを1つのページ構造に統合できるツールです。なお公式は課金対象の利用者を「メンバー」と呼びます(本記事の表では他製品と揃えて「1ユーザー」と表記しています)。プロジェクト管理専用ではないぶん自由度が高く、そのぶん設計を自分で決める必要があります。ゲストはページ単位で招待でき、公式ヘルプに「ゲストは有料シートを消費しません」と明記されています。フリープランは外部ゲスト10名までです。
向くのは、議事録や仕様書とタスクを同じ場所に置きたいチーム。向かないのは、設計を担当する人がいない組織です。なお、Notionで案件を管理する際に生じる制約はNotionで案件管理をする際の限界で詳しく扱っています。
monday.com
カスタマイズ性の高いボード型ツールです。無料プランは最大2ユーザー・3ボードまでで、実質は試用枠です。有料はベーシック(1ユーザー月1,300円・年払)からです。
向くのは、独自の業務フローを画面に落としたいチーム。向かないのは、設定に時間をかけられないチームです。
Wrike
部門横断・大規模案件向けの製品です。Teamプランが1ユーザー月USD 10で2〜15ユーザー、Businessが1ユーザー月USD 25で5〜200ユーザーと、プランごとに対象人数の帯が決まっている点が他社と異なります。公式のガントチャート機能ページには、タスクの依存関係の作成とクリティカルパスの表示が明記されています。
向くのは、複数部門が関わる中〜大規模案件。向かないのは、10人未満の単一チームです。
ClickUp
タスク、ドキュメント、ホワイトボード、チャットまで1つに詰め込んだ製品です。Free Foreverでもメンバー数は無制限(ストレージ60MB)で、Unlimited(1ユーザー月USD 7・年払)から公式の機能一覧にある「Guests With Permission Control」(権限を制御できるゲスト)と「Unlimited Gantt Charts」が使えます。
向くのは、複数ツールを1つにまとめたいチーム。向かないのは、機能の多さが混乱に変わる組織です。
Jooto
国産のカンバン型ツールです。無料プランは1ユーザー・1組織あたり100MBまで、スタータープランが年間契約で1ユーザー月417円(月額契約なら500円)・10人まで、ビジネスプランが年間契約で月980円(月額契約なら1,300円)です。
向くのは、現在Jootoを利用していて提供終了までの運用を続けるチーム。向かないのは、これから導入するすべてのチームです。前述のとおり2027年7月31日で一般提供が終了するため、新規導入の候補にはなりません。現在利用中であれば、提供終了までに移行先を決める必要があります。
kintone
サイボウズが提供する製品で、厳密にはプロジェクト管理専用ではなく、業務アプリを自作するプラットフォームです。案件管理・進捗管理のアプリを自社の業務に合わせて作れる自由度が最大の価値です。ライトコース1ユーザー月1,000円、スタンダードコース月1,800円で、いずれも最小10ユーザーからの契約になります。
向くのは、自社固有の業務フローがあり、それを崩したくない企業。向かないのは、すぐに使い始めたいチームです。なお公式の機能一覧にガントチャートの記載は見当たりませんでした(2026年8月31日確認)。これは非対応という意味ではなく、本記事が確認した範囲で記載を見つけられなかったという記録です。ガントチャートが必須要件なら、標準機能で足りるかをサイボウズに直接確認することをおすすめします。
Microsoft Planner
Microsoft 365を契約していれば追加費用なしで使えます。ただし同梱の範囲ではガントチャートが使えず、有料の Planner Plan 1 が必要になります(金額と機能の線引きは後述の「Microsoft・Google・Teamsで足りるか」で詳しく扱います)。
向くのは、すでにMicrosoft 365が全社導入済みで、工程の依存関係までは扱わないチーム。向かないのは、ガントチャートが前提の案件です。同梱で足りず追加費用が発生するため、他社と同じ土俵で比較する必要があります。なお社外ユーザーを追加費用なしで招けるかは、Planner の公式ページでは確認できませんでした。
Redmine
オープンソースのプロジェクト管理アプリケーションです。公式サイトに「can be self-hosted」「released under the terms of the GNU General Public License v2 (GPL)」と明記されており、ソフトウェア自体のライセンス費用はかかりません。機能としてガントチャートとカレンダー、ロールベースのアクセス制御を備えています。
向くのは、サーバーを自社で運用でき、カスタマイズを厭わない組織。向かないのは、インフラ運用の担当者がいないチームです。無料に見えて、サーバー費用と運用工数は発生します。
無料で使える範囲と、無料プランで詰まる場所
「プロジェクト管理ツール 無料」は検索需要の大きいキーワードですが、無料プランはどこで詰まるかを先に知っておくと選定が速くなります。次の内容は、2026年8月31日に各社の公式料金ページで確認したものです。
| 製品 | 無料プランの主な上限 |
|---|---|
| Jira | 最大10ユーザー・2GBのストレージ・自動化は月100回 |
| Trello | ワークスペースあたり10ボード・10コラボレーター |
| Asana | 公式情報で確認できず(Personalプラン 0円の上限は取得できず) |
| Notion | 外部ゲスト制限10名 |
| monday.com | 最大2ユーザー・最大3ボード・最大3ドキュメント |
| ClickUp | 60MBストレージ・タスク数無制限・メンバー数無制限 |
| Jooto(2027年7月31日 提供終了) | 1ユーザー・1組織あたり100MB・1ファイル10MB |
| Wrike | 公式情報で確認できず(Freeプランでボードビュー・テーブルビューが使える旨のみ記載) |
| Redmine | 上限なし(オープンソース。ただしサーバーの用意と運用が必要) |
| Microsoft Planner | 無料プランなし(Microsoft 365 に同梱。同梱範囲は4ビューまで) |
| Backlog | 無料プランなし |
| kintone | 無料プランなし(30日間の試用あり) |
無料プランで詰まる場所は、経験的に次の3つに集約されます。
- 人数の壁: monday.comの2ユーザー、Jootoの1ユーザーのように、実質1〜2名でしか使えない設計のものがあります
- 容量の壁: 制作案件はデザインデータや動画で容量を使います。ClickUpの60MB、Jootoの100MBは、実務では早い段階で到達します
- 社外メンバーの壁: これが最大の壁です。Notionのフリープランは外部ゲスト10名まで、Jiraのゲスト無料はStandard以上が対象で、Freeプランは対象外です
つまり、無料で始められるかどうかと、顧客を招いても無料のままかどうかは別の問題です。ここから後半に入ります。
Excelでのプロジェクト管理は成立するか
結論から言えば、条件つきで成立します。エクセルのプロジェクト管理表は、Microsoftが公式にテンプレートを配布しており、ガントチャートも条件付き書式や横棒グラフで作れます。おすすめできるかどうかは、次の条件を満たすかで決まります。
成立する条件は次のとおりです。
- 関わる人が5名程度までで、同時編集の頻度が低い
- 工程が変わりにくく、依存関係が単純
- 更新する人が1人に決まっている
逆に、壊れる条件はこうです。
- 複数人が同時に編集する(クラウド保存でも、行の挿入と削除が競合すると崩れます)
- 工程の入れ替えが頻繁に起きる(ガントの手作業更新が追いつかない)
- ファイルを顧客に送る
3つ目が本記事の論点です。Excelを顧客にメール添付で送った瞬間、そのファイルは分岐します。顧客の手元にあるのは送った時点のコピーで、こちらが更新しても反映されません。次の打ち合わせで「もらった表と違う」という話になり、どちらが最新かを確認する時間が発生します。ファイル名に日付を入れる運用は、この問題を軽減はしますが解決はしません。「最新版はどれか」を人間が判断し続ける必要が残るからです。
Excelは社内の下書きとしては優秀です。顧客と共有する瞬間に、道具を変える判断が必要になると理解してください。
【本題】顧客・社外メンバーを入れると何が変わるか
ここからが、上位の比較記事にもAI Overviewにも書かれていない領域です。
変わるのは機能ではなく「情報の置き場所」
顧客をプロジェクト管理ツールに招くとき、多くの人は「社外の人を招待できるか」という機能の可否を確認します。しかし実際に効いてくるのは、招待できるかどうかではありません。招いた結果、どの情報がどこに置かれることになるかです。
社内だけで使っているとき、1つのプロジェクトには次の情報が混在しています。
- 顧客に見せる情報: 進捗、成果物、期限、依頼事項、決定事項
- 顧客に見せない情報: 見積の内訳、実績工数と粗利、社内の懸念、体制の事情、他社案件の状況
社内だけなら混在していても問題ありません。ところが顧客を招いた瞬間、この混在がそのままリスクになります。だから多くのチームは「顧客用は別に作る」という判断をし、その結果として転記の手間が生まれ、転記が滞って顧客側の情報だけが古くなる、という次の問題に移動します。
この構造を理解したうえで、まずコストから見ていきます。
社外メンバーを入れたときの追加コスト比較
「顧客10名を新たに招く」という同一条件で、追加で発生する月額を各社の公式料金から算出しました。金額はすべて税抜、2026年8月31日に確認した公式表記に基づきます。
下表の本体プランは最安構成ではなく、社外招待が成立する代表的な構成を各社1つずつ選んだものです。 プランの選び方次第で総額は変わります。kintoneはライトコース(1ユーザー月1,000円)ならゲストが1人月700円になり、顧客10名の追加は7,000円まで下がります。Terasuは Business(月29,800円・10名込み)も選べますが、総額では13名でも20名でも40名でも Starter のほうが安いため、下表は Starter を採っています。
| ツール | 社外を入れる方式 | 顧客10名の追加月額 | 前提となる本体プラン | 出典(2026年8月31日確認) |
|---|---|---|---|---|
| Backlog | ゲスト権限(ユーザー数に含まれるとみられる) | 0円 | スターター 月2,700円でも30ユーザー枠内なら0円。スタンダード 月16,000円以上はユーザー数無制限(2027年1月1日以降の契約更新日から上限あり) | backlog.com 料金ページ |
| Jira | ゲスト | 0円 | Standard 1ユーザー月1,085円以上(Freeプランは対象外) | atlassian.com 料金ページ |
| Asana | 無制限の無料ゲスト | 0円 | Starter 1ユーザー月1,200円以上 | asana.com 料金ページ |
| Notion | ゲスト(有料シートを消費しない) | 0円 | プラス 1ユーザー月1,650円以上(フリーはゲスト10名まで) | notion.com 料金ページ・ヘルプ |
| kintone | ゲストユーザー(別途課金) | 14,400円 | スタンダード 1ユーザー月1,800円・最小10ユーザー | kintone ゲストスペース料金ページ |
| Terasu | Room単位で外部メンバーを招待 | 24,800円 | Starter 月9,800円(3名込み・追加1ユーザー2,480円)。込みの3席を社内が使う前提。社外ユーザーを無料にする記載は公式料金ページにない | 公開料金ページ |
各社の公式表記を原文のまま引用します。
- Asana: 「追加料金やユーザー数への影響を心配することなく、社外のコラボレーターをプロジェクトに招待できます。」
- Notion: 「ゲストは有料シートを消費しません」
- kintone: ゲストユーザーはライトコースが1ユーザー月700円、スタンダード・ワイドコースが1ユーザー月1,440円。「顧客・取引先・協力会社など、社外の人を『ゲストユーザー』として招待し、キントーンを利用できるスペース」
- Backlog: スタンダードプラン以上は「無制限のユーザー数」(推奨最大10,000人)。ただし2027年1月1日以降の最初の契約更新日から、この枠はエコノミープラン(15ユーザー・30プロジェクト上限)に変わります
- Terasu(自社): 公開料金ページに Free「基本的な閲覧ログ」、Starter 以上「詳細な閲覧分析」と記載。社外ユーザーを無料にする記載はない。見せ分けは「外部招待ユーザーには共有ページだけを見せ、社内メモやAI回答の根拠はRoom内で管理」と公開ページに記載
この表で最も高くつくのは、本記事を運営しているTerasuです。 Asana(Starter以上)、Notion(プラス以上)、Jira(Standard以上)、Backlog(スタンダード以上)は社外メンバーを追加コストなしで招けますが、Terasuの公開料金ページには社外ユーザーを無料にする記載がありません。込みユーザー数を超えれば1ユーザーあたり2,480円(Starter)または2,980円(Business)が加算されるため、顧客10名では24,800円となり、表中で最も高くなります。自社に不利な結果でも、他社と同じ計算を当てはめた以上そのまま載せます。なおBacklogの0円は2027年1月1日以降の最初の契約更新日までの前提で、それ以降は15ユーザーを超えるとビジネスプラン(月36,300円)が必要になります。
読み取るべきことは「安い順に選べ」ではありません。同じ「社外共有できる」でもコストの構造が根本的に違うということです。
- 定額型(Backlog): 顧客が何人増えても料金は動かない。人の出入りが多い案件で予算が読める
- ゲスト無料型(Asana Starter以上・Notion プラス以上・Jira Standard以上): 社内メンバー分だけ払う。社内が少人数で顧客側が多い案件に効く。いずれも無料プランは対象外
- ゲスト課金型(kintone): 顧客が増えるほど比例して増える。招く人数を絞る運用設計が前提になる
社内10名+顧客10名(計20名)の総額で並べると、kintoneスタンダードは本体18,000円+ゲスト14,400円=32,400円です。Terasuは Starter が3名込みのため、残り17名分の追加が必要で、9,800円+2,480円×17名=51,960円になります(Business なら29,800円+2,980円×10名=59,600円で、Starterのほうが安く済みます)。追加額でも総額でも、本記事を運営しているTerasuが最も高くなります。「社外共有できます」という一言の裏にある差は、この規模です。
この記事の判定に使っている言葉について
比較記事は、書き手が売りたい製品に有利な評価が入りやすい構造を持っています。◎○△×のような記号は、基準を書かずに優劣を作れてしまうためです。本記事ではそれを避けるために、記事を書く前に判定の言葉を4つに固定し、どの製品にも同じ言葉だけを使いました。適用の深さは製品群によって違うため、その範囲も下に開示します。
判定語の意味は前掲のとおりです(標準機能で可能/条件付きで可能/不可/公式情報で確認できず)。
確認の手順は次の順に1回ずつです。
- 公式の料金ページ
- 公式のヘルプ・ドキュメント
- 公式の機能ページ・リリースノート
適用範囲も開示します。 この3段の手順を全項目に通したのは、社外共有を主題とする5製品(Backlog・kintone・Notion・Asana・Terasu)です。12製品表については、料金は全12製品を公式ページで取得し、機能欄は各社の公式ページの記載に基づいて同じ4語で判定しています。手順を通しても記載が見つからなかった項目は、埋めずに「公式情報で確認できず」と書いています。
ここで重要なのは、「公式情報で確認できず」は「その機能がない」という意味ではないことです。 本記事が確認した範囲で見つけられなかった、という記録にすぎません。製品によってドキュメントの粒度も公開範囲も違うため、この欄の多さを製品の評価として読まないでください。レビューサイトの評点や第三者ブログは、判定の根拠にしていません。
この手順で確認した結果が次の表です。
| 確認項目 | Backlog | kintone | Notion | Asana | Terasu |
|---|---|---|---|---|---|
| 社外ユーザーを追加費用なしで招けるか | 条件付きで可能(ゲストもユーザー数に含まれるとみられる。スタンダード月16,000円以上はユーザー数無制限。2027年1月1日以降の契約更新日から上限あり) | 不可(ゲストユーザーは1人月700円または1,440円が別途必要) | 条件付きで可能(フリーはゲスト10名まで。プラス以上は無制限で有料シートを消費しない) | 条件付きで可能(Starter以上) | 不可(込みユーザー数を超えると1ユーザー2,480円〜が加算される) |
| 社内用と顧客用の見せ分け | 条件付きで可能(プロジェクト単位+ゲストへの機能制限) | 標準機能で可能(ゲストは招待されたゲストスペース内のみ) | 標準機能で可能(ゲストは招待された特定ページのみ) | 条件付きで可能(管理者がゲストのアクセス範囲を管理) | 標準機能で可能(外部招待ユーザーには共有ページのみ) |
| 誰が資料を閲覧したかの記録 | 条件付きで可能(プラチナプラン 月75,000円のアクセスログで共有ファイルの参照履歴を確認できる。毎月10日ごろに前月分をZIPで受け取る) | 公式情報で確認できず | 標準機能で可能(ページアナリティクス。対象プランは公式ガイドに明記がなく確認できず) | 公式情報で確認できず | 条件付きで可能(ページ単位の閲覧時間・閲覧通知。Freeは「基本的な閲覧ログ」、詳細な閲覧分析はStarter以上) |
| ゲストのAI機能利用 | 不可(公式ヘルプにゲストはBacklog AIアシスタントを利用できないと明記) | 公式情報で確認できず | 公式情報で確認できず | 公式情報で確認できず | 公式情報で確認できず |
Backlogの公式ヘルプは、ゲストの権限をこう定義しています。
課題、Wiki、ファイル、リポジトリなどの機能を一般ユーザーと同じように利用できます。自分が所属しているチームのみを参照できます。プロジェクト管理者になることはできません。
つまりBacklogのゲストは、参加している範囲の中ではほぼ一般ユーザーと同じです(公式の表現は「自分が所属しているチームのみを参照できます」)。加えて管理者は「制限なし・課題の登録のみ・課題の閲覧のみ」の機能制限を設定できます。見せ分けの単位はプロジェクトと、この3段階の制限になります。
kintoneのゲストは方式が異なり、「招待された『ゲストスペース』内の情報のみを閲覧できる」設計です。全体ポータルや他のスペースには一切アクセスできません。そのぶん、モバイルアプリが使えない、ゲストスペース内では組織単位の宛先指定ができない、といった制約があります。分離が強い代わりに、ゲスト側の使い勝手が制限されるというトレードオフです。
社内用と顧客用を「分ける」か「分けない」か
顧客を招くと決めたあと、必ず突き当たるのがこの判断です。正解は1つではありませんが、選ばなかった側の代償を知らないまま決めると必ず後悔します。
分けない運用の実例
ヌーラボは2026年3月3日に、Web制作会社の株式会社ベイジの導入事例を公開しています。
社内用と顧客用でプロジェクトを分けず、同一プロジェクト上でタスク管理・進捗共有・日々の連絡を実施。顧客や外部パートナーも同じ環境に参加
規模は「プロジェクト数は100以上、アカウント数は約400ユーザーにのぼります」とされています。効果として、タスクの「抜け漏れ」の解消、「コミュニケーションコストも大幅に削減」、「見積精度が向上」が挙げられています。
注記: この事例で語られている効果は、公開されている記述に数値が示されていません。本記事でも定性的な表現のまま引用し、削減率などの数字に置き換えることはしていません。
重要なのは、ツールを売っている側が、分けない運用を成功事例として公開しているという事実です。「顧客と同じプロジェクトで進めるのは危ない」という一般論は、少なくとも実務では覆されています。
分けない方式:利点と代償
利点
- 情報が1か所に集まり、二重管理がゼロになる
- 顧客からの依頼が、そのままタスクとして登録される(メールからの転記が消える)
- 「いつ誰が何を依頼し、いつ完了したか」が自動的に時系列で残る
- 顧客が自分で進捗を見に来るため、進捗報告のための資料作成が減る
代償
- 社内の見積根拠・実績工数・体制の事情を、そのプロジェクトに置けなくなる
- 社内の率直な議論(「この要件は赤字になる」等)の置き場所を別に用意する必要がある
- 一度顧客が入ったプロジェクトは、後から情報を分離するのが困難
- 顧客側の担当者が多いと、通知の量が増えて重要な連絡が埋もれる
分ける方式:利点と代償
利点
- 見せる情報を明示的に選べる
- 社内の議論を制約なく行える
- 顧客側に見せる画面を整理でき、情報過多を避けられる
代償
- 転記コストが常時発生する。しかもこのコストは、忙しい時期ほど払えなくなる
- 転記が滞ると顧客側の情報だけが古くなり、「聞いていない」の温床になる
- どちらが正なのかが曖昧になり、社内でも参照先が割れる
- 決定の根拠が社内側にしかなく、検収時に顧客と突き合わせられない
分ける方式の代償は、導入直後ではなく数か月後に現れます。 立ち上げ時は丁寧に転記できても、案件が重なった月に真っ先に止まるのが転記作業だからです。
どちらを選ぶか:判断軸4つ
| 判断軸 | 分けない方が向く | 分ける方が向く |
|---|---|---|
| 案件の期間 | 3か月以上の継続案件 | 短期・単発 |
| 顧客側の関与人数 | 1〜3名で、窓口が固定 | 4名以上、または関係者が流動的 |
| 扱う情報の機密度 | 成果物と進捗が中心 | 顧客側の機密情報や個人情報を扱う |
| 検収の重さ | 検収の証跡が重要 | 納品が単純で争点になりにくい |
4つのうち3つ以上が同じ側に寄った方を選んでください。割れる場合は、分けないほうを選び、後述のガードをかけるほうが実務では回りやすいと考えます。転記は忙しい時期に真っ先に止まるため、情報が見えるリスクより先に問題化しやすいと考えます。
分けない運用を選ぶ場合の実務ガード
- 社内メモの置き場所を、顧客を招く前に決めておく。「あとで考える」と、必ず顧客が見える場所に書かれます
- 工数と見積の記録を社内側に逃がす。原価に関する情報は、プロジェクト管理ツールの外か、顧客の入らない領域に置きます
- 顧客を招く前に、既存の課題・コメントを棚卸しする。過去の社内議論が残ったまま招待すると、遡って読まれます
Microsoft・Google・Teamsで足りるか
関連検索を見ると「プロジェクト管理ツール Microsoft」「同 Google」「同 Teams」が並びます。すでに契約している環境で済ませたい、という意図です。順に答えます。
Microsoft 365の場合
Microsoft Plannerは Microsoft 365 に含まれています。ただし同梱の範囲で使えるのはグリッド・ボード・スケジュール・チャートの4ビューまでです。カレンダー、タイムライン(ガント)、People ビューとタスクの依存関係の作成は Planner Plan 1(1ユーザー月1,499円相当・年払・税抜)が必要です。さらに上位の Planner and Project Plan 3(同4,497円相当)もあります。
つまり「Microsoft 365があるからガントチャートも使える」は正しくありません。ガントが要るなら追加費用が発生します。この金額は、Jira Standard(1,085円)やAsana Starter(1,200円・年払)と比較検討すべき水準です。なおJiraの課金サイクルは公式ページで確認できませんでした。
Google Workspaceの場合
Google Workspaceには、プロジェクト管理の専用アプリが含まれていません。スプレッドシートでガントを作る、Google ToDoリストで管理する、といった運用は可能ですが、これは前述の「Excelでのプロジェクト管理」と同じ構造です。共同編集ができるぶんメール添付より優れていますが、依存関係の管理と進捗の自動集計は自作になります。
社外の人を入れた瞬間に増える3つの論点
既存スタックで足りるかどうかは、社内だけなら「機能が足りるか」の話です。しかし顧客を入れると、次の3つが加わります。
- ゲストアクセスが技術的に可能か: 外部ユーザーを招く仕組みがあるか、自社の契約プランで有効かを、管理者に確認してください
- 自社の外部共有ポリシーが許すか: 情報システム部門が外部共有を制限している企業は珍しくありません
- 顧客側のIT統制が許すか: これが最大の関門です。顧客の企業が外部テナントへの参加を禁止している場合、こちらがどれだけ準備しても顧客は入れません
3つ目は自社の努力で解決できません。顧客側の情報システム部門の審査が必要になるかどうかを、提案の段階で確認してください。
判定フロー
- 顧客側の関与者は何名か → 1〜2名なら既存スタックのゲスト招待で足りる可能性が高い
- 資料の機密度は高いか → 高いならアクセス権を細かく設定できる専用ツールを検討する
- 顧客側のIT統制は厳しいか → 厳しいなら自社テナントへの招待は成立しない。ブラウザで開けるだけの共有方式が要る
- ガントチャートが要るか → 要るならMicrosoft Planner同梱では不足。追加費用を含めて他社と比較する
Backlogとの併用設計|置き換えずに役割を分ける
先に明確にしておきます。Backlogは「顧客と共有できないツール」ではありません。 前述のとおり、ヌーラボ自身が顧客・外部パートナーとの共同利用の導入事例を公開しています。すでにBacklogが定着しているチームに乗り換えを勧めるのは、事実にも実務にも合いません。
現実的な選択肢は、役割を分けて併用することです。
| 場面 | 置き場所 | 理由 |
|---|---|---|
| 開発課題・バグ・仕様変更のチケット | Backlog | 課題管理の深さは専用ツールが勝る |
| ガントチャート・工程 | Backlog | 同上 |
| リポジトリ連携 | Backlog | Git/Subversionと一体で扱える |
| 顧客への資料提示・進捗共有 | 顧客共有レイヤー | 先方が読んだかどうかが分かる |
| 決定と根拠の記録(議事録から決定へ) | 顧客共有レイヤー | 検収と手戻り防止の証跡になる |
| 社内の見積根拠・実績工数・懸念 | 社内側(顧客が入らない場所) | 見せ分けの対象 |
二重管理にしないための線引き
併用の最大のリスクは二重管理です。次の1点を守れば防げます。
同じ情報を両方に置かない。片方には「もう一方への参照」だけを置く。
具体的には、
- タスクの正はBacklog。顧客共有レイヤーには「今週完了した項目の要約」と「顧客に判断してほしいこと」だけを置く
- 決定事項の正は顧客共有レイヤー。Backlogの課題には「決定事項へのリンク」を貼る
- 資料の正は顧客共有レイヤー。Backlogに同じファイルをアップロードし直さない
この線引きをせずに「どちらにも全部置く」運用を始めると、必ず片方が古くなります。併用は、置き場所を決める作業とセットでのみ成立します。
ゲストとAI機能の関係
もう1点、実務上の分岐になる事実があります。Backlogの公式ヘルプによれば、ゲスト権限のユーザーはBacklog AIアシスタントを利用できません。社内メンバーはAIの支援を受けられますが、招待した顧客側は同じ体験になりません。
顧客側にもAIによる要約や検索を提供したい場合は、この制約が併用を検討する具体的な理由になります。打ち合わせの記録をAIで扱う場合の設計はAI議事録で扱っています。逆に、AIは社内だけで使えれば十分という場合は、Backlog単体で完結させる判断も合理的です。
顧客と同じ場所で案件を進めるとどうなるか
Terasuは、顧客と共有するページ・資料の閲覧状況・決定の記録を1か所にまとめるワークスペースです。課題管理は既存ツールのまま、顧客との接点だけを移す使い方から始められます。
無料ではじめる顧客が同じ場所にいることで起きる失敗5パターン
一般的な「ツール導入の失敗例」ではなく、顧客が同じ場所にいるからこそ起きる失敗に絞ります。
1. 社内の工数・見積根拠が顧客から見えた
顧客をプロジェクトに招いたあと、社内メンバーが従来どおり工数の実績や見積の内訳をコメントに書いてしまうケースです。多くの場合、書いた本人は顧客が見える場所だと認識していません。
- 気づける段階: 顧客を招待する直前の棚卸し
- 防ぎ方: 招待前に「このプロジェクトには顧客がいる」ことを全員に共有し、原価に関する情報の置き場所を先に決める
2. 顧客が入っていない場所で決まり、記録が残らなかった
打ち合わせや電話で決まったことが、誰のタスクにもならず、どこにも書かれないまま進むケースです。検収の段階で「その仕様は依頼していない」「いや合意した」という食い違いになります。
- 気づける段階: 決定事項が翌日までに書かれていないとき
- 防ぎ方: 決まったことを、決定日・決定者・根拠の3点セットで顧客が見える場所に残す運用にする。決定事項を記録として残す設計はAI議事録で扱っています
3. 顧客側の担当交代で経緯がゼロリセット
顧客の窓口が異動・退職し、後任が経緯を知らないまま「なぜこの仕様なのか」を最初から問い直すケースです。こちら側は説明のために過去のメールを掘り返すことになります。
- 気づける段階: 顧客側から交代の連絡があった時点
- 防ぎ方: 決定と根拠が時系列で顧客も読める場所に残っていれば、後任が自分で読めます。個人のメール受信箱に経緯があると、この移行は必ず失敗します
4. 招待したが顧客がログインせず、メール添付に戻った
実務でよく見る失敗です。ツールを導入し、顧客を招待し、しかし顧客はログインせず、結局「メールで送ってください」と言われて元に戻ります。
- 気づける段階: 招待から1週間、顧客側のアクセスがないとき
- 防ぎ方: 招待できることと使われることは別です。顧客側に新しいアカウント作成やアプリのインストールを求める設計は、それだけで定着率が下がります。顧客側の負担が最小の共有方式を選び、初回は画面を一緒に開いて確認する時間を取ってください
この失敗は、顧客側のアクセスが記録されるツールであれば早期に検知できます。逆に閲覧の記録がないツールでは、「見ているはず」という前提のまま数週間が過ぎます。
5. ツールを分けた結果、転記が滞り顧客側の情報だけが古くなった
社内用と顧客用を分けた運用で、案件が立て込んだ月に転記が止まるケースです。顧客は古い情報を見て判断し、その判断に基づいて依頼が来ます。
- 気づける段階: 顧客からの依頼が、社内の最新状況と噛み合わなくなったとき
- 防ぎ方: 分ける運用を選ぶなら、転記を誰か1人の善意に依存させない。定例のタイミングで必ず更新する、更新していない状態を検知できるようにする、のいずれかが要ります
自社の状況からの逆引き選定フロー
製品名から入るのではなく、いま困っていることから逆に辿ります。表に出てくる「顧客共有レイヤー」は、顧客に見せるページ・資料・決定事項を置く層を指します(考え方は表の後で説明します)。
本記事はおすすめ順のランキング形式をとっていません。プロジェクト管理ツールのランキングは、評価者が何を重視するかで順位が入れ替わるため、自社の課題と一致していなければ意味を持たないからです。順位ではなく、次の逆引き表で自社の状況に近い行から見てください。
| いま困っていること | 見るべきタイプ | 候補 |
|---|---|---|
| 開発課題やバグが追跡しきれない | 課題管理型 | Backlog / Jira / Redmine |
| 工程と期限の全体像が見えない | ガントチャート・タイムラインを公式に明記している製品 | Backlog / Jira / Wrike / Redmine / Notion / ClickUp(Unlimited以上)/ Microsoft Planner(Plan 1以上) |
| とにかく無料で小さく始めたい | 無料枠が広いもの | Jira(10ユーザーまで)/ Trello / ClickUp |
| 自社固有の業務フローを崩したくない | プラットフォーム型 | kintone |
| 議事録や仕様とタスクを同じ場所に置きたい | ドキュメント統合型 | Notion / ClickUp |
| すでにMicrosoft 365を使っている | 既存スタック活用 | Microsoft Planner(ガントが要るならPlan 1) |
| 顧客を人数を気にせず招きたい | ゲスト無料型・定額型 | Asana(Starter以上)/ Notion(プラス以上)/ Jira(Standard以上)/ Backlog(スタンダード以上。2027年1月1日以降の契約更新日からビジネスプラン以上) |
| 顧客の確認待ちで止まる/資料の版が乱れて最新がどれか分からない | 顧客共有レイヤー(下記) | 他社製品は本記事の検証対象外のため実名を挙げていません(自社製品は下記で別途説明) |
「顧客共有レイヤー」という考え方
最後の2行は、これまでのカテゴリでは解けません。どちらも社内の可視化ではなく、顧客との接点で起きている問題だからです。
そこで、プロジェクト管理を2つのレイヤーに分けて考えます。
- レイヤー1: 社内可視化レイヤー — タスク、工程、課題、工数を社内で管理する(Backlog、Jira、kintone など)
- レイヤー2: 顧客共有レイヤー — 顧客に見せるページ、資料、決定事項を管理し、先方の確認状況を把握する
多くのチームはレイヤー1だけを導入し、レイヤー2をメールとファイル添付で運用しています。前半で見たとおり、そこが最も壊れやすい場所です。
この層の他社製品を表に挙げていないのは、本記事が一次ソースで検証したのが前掲の12製品と社外共有5製品に限られるためです。 未検証の製品を候補として並べると、ここまで維持してきた判定基準が崩れます。以下は自社製品についての説明であり、他社との比較ではないことを断ったうえで書きます。
Terasu はこのレイヤー2を担う製品です。顧客ごとのワークスペース(Room)に資料・ページ・タスク・決定事項をまとめ、外部招待したユーザーには共有ページだけを見せます。資料はページ単位で閲覧時間が記録されるため、失敗パターン4の「招待したが読まれていない」を早い段階で検知できます(詳細な閲覧分析はStarter以上、Freeは基本的な閲覧ログのみ)。
ただし、前掲のコスト表のとおりTerasuは社外ユーザーを無料にする料金体系ではありません。招く人数が多く、コストを最優先するなら、Asana や Notion のゲスト無料枠、あるいは Backlog の定額プランのほうが合理的です。レイヤー2の要件(誰が読んだか・見せ分け・決定の記録)が実際に自社の問題かどうかを先に確かめてください。
顧客と共有する仕組みそのものをカテゴリとして理解したい場合は、クライアントポータルとはで定義と機能範囲を整理しています。
製品単位で比べたい場合はクライアントポータルソフトの比較を、弁護士・税理士など士業に固有の運用は士業の顧客ポータル構築を参照してください。
よくある質問(FAQ)
ガントチャートとWBSの違いは何ですか?
WBS(作業分解構成図)は、プロジェクト全体を実行可能な作業単位まで分解した「一覧」です。ガントチャートは、分解した作業を時間軸の横棒で並べた「図」です。対立する概念ではなく、WBSで分けたものをガントチャートで時間に並べる、という順序の関係にあります。まずWBSで作業の抜け漏れをなくし、そのあとガントで期間と依存関係を確認する流れが基本です。
プロジェクト管理ツールで無料のアプリは?
2026年8月31日時点で無料プランがあるのは、Jira(最大10ユーザーが永久に無料)、Trello(ワークスペースあたり10ボード)、Asana(Personalプラン)、Notion(外部ゲスト10名まで)、monday.com(最大2ユーザー)、ClickUp(Free Forever・ストレージ60MB)、Wrike(Freeプラン)です。Jootoにも無料プラン(1ユーザー)がありますが、2027年7月31日で一般提供が終了するため、新規導入の候補にはなりません。Redmineはオープンソースでソフトウェア自体は無料ですが、サーバーの用意と運用が必要です。Backlogとkintoneは無料プランがなく、試用期間のみです。
エクセルはプロジェクト管理ツールとして使えますか?
条件つきで使えます。関わる人が5名程度まで、同時編集の頻度が低い、工程が変わりにくい、更新担当が1人に固定されている、という条件が揃えば十分に機能します。壊れるのは、複数人が同時に行の挿入や削除を行う場合、工程の入れ替えが頻繁な場合、そしてファイルを顧客に送る場合です。詳しくは本文の「Excelでのプロジェクト管理は成立するか」を参照してください。
Excelでガントチャートは作れますか?
作れます。条件付き書式でセルを塗る方法、積み上げ横棒グラフを使う方法、Microsoftが配布しているテンプレートを使う方法があります。ただし工程が変わるたびに手作業で更新する必要があり、依存関係の自動再計算はできません。工程の入れ替えが月に何度も起きる案件では、更新が追いつかなくなります。
無料のガントチャートはExcelでできますか?
Excelのライセンスを既に持っていれば、追加費用なしで作成できます。Microsoftは公式にプロジェクト管理向けのテンプレートを配布しています。Googleスプレッドシートでも同じ方法で作成でき、こちらはアカウントがあれば無料です。ただしどちらも、依存関係の自動計算と進捗の自動集計は自作になります。
マイクロソフトのガントチャートは無料で作れますか?
Excelを使う方法であれば、Excelのライセンス内で作成できます。一方、Microsoft Plannerでガントチャートを使う場合は追加費用が発生します。Microsoft 365への同梱範囲ではタイムライン(ガントチャート)が使えず、Planner Plan 1(1ユーザー月1,499円相当・年払・税抜、2026年8月31日時点の公式表記)が必要です。「Microsoft 365を契約しているからガントも使える」という理解は正確ではありません。
ガントチャートは簡単に作れますか?
ツールを使えば、タスクに開始日と終了日を入れるだけで自動生成されます。難しいのは作図ではなく、その前段のWBS(作業の分解)です。分解が粗いとガントチャートも粗くなり、遅れを早く見つける役に立ちません。まず作業を担当者が着手できる単位まで分解してください。
PMOはどんな人が向いていますか?
PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)は、個別のプロジェクト管理ではなく、組織全体のプロジェクト運営の標準化・可視化・支援を担う役割です。複数案件の状況を横並びで見て問題を早期に見つける観察力、現場の反発を招かずにルールを浸透させる調整力、そして数字で状況を説明する力が求められます。特定案件の成果より、組織全体の再現性に関心を持てる人が向いています。
プロジェクト管理におすすめのツールは?
自社の困りごとによって答えが変わるため、本記事は順位づけをしていません。開発課題の追跡が中心ならBacklog・Jira・Redmine、工程と期限の可視化ならBacklog・Jira・Wrike・Redmine・Notion・ClickUp(Unlimited以上)・Microsoft Planner(Plan 1以上)、無料で小さく始めたいならJira・Trello・ClickUp、自社固有の業務フローを崩したくないならkintone、顧客を人数を気にせず招きたいならAsana(Starter以上)・Notion(プラス以上)・Jira(Standard以上)・Backlog(スタンダード以上)です。Asana・Notion・Jiraの無料プランは対象外で、Backlogには無料プランがありません。なおBacklogは2027年1月1日以降の最初の契約更新日からプランが改定され、人数を気にせず招くにはビジネスプラン以上が必要になります。本文の逆引き表から自社の状況に近い行を選んでください。
顧客や取引先を招待すると料金は上がりますか?
製品によってまったく異なります。2026年8月31日時点の公式料金では、Asana(Starter以上)は「無制限の無料ゲスト」、Notion(プラス以上)は「ゲストは有料シートを消費しません」、Jira(Standard以上)はゲストが無料、Backlog(スタンダード以上)はユーザー数が無制限のため、いずれも顧客を招いても追加費用は発生しません。ただしAsana・Notion・Jiraの無料プランはこの対象外で、Notionのフリープランは外部ゲスト10名までです。一方kintoneはゲストユーザーが別途課金で、ライトコース1ユーザー月700円、スタンダード・ワイドコース1ユーザー月1,440円です。顧客10名を招くとスタンダードコースで月14,400円が上乗せされます。なおTerasuの公開料金ページには社外ユーザーを無料にする記載がなく、込みユーザー数を超えると1ユーザーあたり2,480円(Starter)または2,980円(Business)が加算されます。Backlogについては期限があります。2027年1月1日以降の最初の契約更新日から、スタンダードプランに相当する枠はエコノミープラン(15ユーザー・30プロジェクトが上限)に変わり、ユーザー16名以上ならビジネスプラン月36,300円以上が必要になります。
社内用と顧客用でプロジェクトは分けるべきですか?
案件の期間、顧客側の関与人数、扱う情報の機密度、検収の重さの4つで判断してください。3か月以上の継続案件で顧客側の窓口が1〜3名に固定され、扱うのが成果物と進捗中心で、検収の証跡が重要なら、分けない運用が向きます。逆に短期案件、顧客側の関係者が4名以上または流動的、顧客の機密情報を扱う場合は分ける方が安全です。判断軸の表と、分けない運用を選ぶ場合の実務ガードは本文にあります。
Backlogを使っていますが、別のツールに乗り換えるべきですか?
乗り換える必要はありません。ヌーラボ自身が、顧客や外部パートナーを同じプロジェクトに参加させる導入事例を公開しており、Backlogで顧客と共有する運用は実務的に成立しています。検討する価値があるのは、乗り換えではなく併用です。開発課題・チケット・ガントチャート・リポジトリ連携はBacklogに残し、顧客への資料提示と決定事項の記録だけを別のレイヤーに置く、という分け方です。併用する場合は「同じ情報を両方に置かない」ことだけ守ってください。両方に全部置くと必ず片方が古くなります。なおBacklogの公式ヘルプによれば、ゲスト権限のユーザーはBacklog AIアシスタントを利用できません。顧客側にもAIの支援を提供したい場合は、これが併用を検討する具体的な理由になります。
Microsoft TeamsやGoogle Workspaceだけで足りますか?
社内だけで使うなら足りる場合があります。顧客を入れる場合は3つの確認が必要です。技術的にゲスト招待が可能か、自社の外部共有ポリシーが許すか、そして顧客側のIT統制が外部テナントへの参加を許すかです。3つ目は自社の努力で解決できないため、提案の段階で確認してください。またガントチャートが必要な場合、Microsoft 365への同梱範囲では使えず、Planner Plan 1以上の追加費用が必要です。詳細は本文の「Microsoft・Google・Teamsで足りるか」を参照してください。
まとめ|「社内で回す」から「顧客と同じものを見る」へ
プロジェクト管理ツールの比較記事は数多くありますが、そのほとんどは「社内のチームで使う」ことを前提に書かれています。管理手法、費用、外部連携という3つの軸は、それを前提にすれば十分な軸です。
しかし受託開発・Web制作・コンサルのように、顧客が案件の当事者として関わる仕事では、4つ目の軸「誰と使うか」が費用にも運用にも直接効いてきます。同じ「社外共有できます」という説明でも、顧客10名を招いた追加費用は0円から24,800円まで割れ、見せ分けの単位もプロジェクト単位・スペース単位・ページ単位とばらばらです。
判断の順序をまとめます。
- 自社の仕事がガント型かカンバン型かを決める
- 「1人あたり月額」ではなく、最低契約人数と人の増え方を含めた実際に払う総額で比べる
- 顧客を入れるかを決め、入れるなら社外メンバーの追加コストと見せ分けの単位を公式ページで確認する
- 社内用と顧客用を分けるか分けないかを、4つの判断軸で決める
- すでに定着しているツールがあるなら、乗り換えではなく役割を分けた併用を先に検討する
最後に、本記事で書かなかったことを明記しておきます。
「顧客と共有すると手戻りが何%減る」「進捗確認の工数が何時間削減できる」といった効果の数値は、本記事には一切書いていません。この種の数字は比較記事で頻繁に見かけますが、信頼できる一次ソースが存在しないからです。ヌーラボが公開している導入事例でも、効果は「抜け漏れの解消」「コミュニケーションコストの削減」「見積精度の向上」という定性的な表現で述べられており、数値は示されていません。本記事もその表現のまま引用し、削減率などに変換していません。
同じ理由で、比較表には「公式情報で確認できず」という欄が複数あります。埋めようと思えば推測で埋められますが、それをすると表全体が信用できなくなります。確認できたことだけを、他社にも自社にも同じ基準で書くという原則が、この記事で唯一お約束できることです。
