ミューチュアルアクションプランのテンプレート|すぐ使えるMAP雛形と記入例
営業実践22 min read

ミューチュアルアクションプランのテンプレート|すぐ使えるMAP雛形と記入例

著者: Terasu 編集部

ミューチュアルアクションプランのテンプレート|すぐ使えるMAP雛形と記入例

ミューチュアルアクションプランのテンプレートのイメージ

MAPテンプレートとは、売り手と買い手が商談のゴール・タスク・スケジュールを合意するための定型フォーマットであり、マイルストーン・タスク・ステークホルダー・評価基準・スケジュールの5要素で構成される。

ミューチュアルアクションプラン(MAP)の概念は理解したものの、「具体的にどう書けばいいの?」と悩む方に向けて、すぐに使えるテンプレートと記入例を紹介します。

MAPは商談の停滞を防ぎ、受注率を高める効果的な手法です。HubSpotの調査では、MAP完了率が70%以上の商談の受注率は未導入と比較して2.3倍高いと報告されています(HubSpot, 2025)。本記事のテンプレートをそのまま使って、次の商談から効果を実感してください。

MAPテンプレートの全体構成

MAPは以下の5セクションで構成します。

セクション内容記入量の目安
ヘッダー案件名・ゴール・関係者5行
マイルストーン意思決定ポイント(3-5個)3-5行
タスク一覧誰が・いつまでに・何を(10個以内)6-10行
評価基準何をもって成功とするか3-5行
スケジュール全体タイムライン1行(逆算)

セクション1: ヘッダー

テンプレート

案件名: [顧客名] × [製品名] 導入プロジェクト
ゴール: [いつまでに] [何を達成するか]
作成日: YYYY/MM/DD
更新日: YYYY/MM/DD

記入例

案件名: ABC株式会社 × Terasu 導入プロジェクト
ゴール: 2026年6月30日までに契約締結し、7月中に初期設定を完了する
作成日: 2026/05/01
更新日: 2026/05/15

ヘッダーには「いつまでに何を達成するか」を具体的に書くことが重要です。「導入を検討する」ではなく「6月30日までに契約締結する」と日付付きのゴールを設定することで、双方の認識が揃います。

セクション2: ステークホルダーに関するビジュアル

セクション2: ステークホルダー

テンプレート

名前所属役割関与フェーズ
最終承認者交渉〜契約
推進担当(チャンピオン)全フェーズ
技術評価評価フェーズ
法務レビュー契約フェーズ

記入例

名前所属役割関与フェーズ
田中部長営業部最終承認者交渉〜契約
鈴木課長営業企画推進担当全フェーズ
佐藤さん情報システム技術評価評価フェーズ
山田さん法務部契約レビュー契約フェーズ

ステークホルダー管理のポイント

ステークホルダーの記載で見落としがちなのが「反対派・懸念者」の把握です。特にエンタープライズ商談では、IT部門のセキュリティ担当者や法務担当者が後から参加し、商談を止めるケースが多くあります。チャンピオン(推進担当者)に「他に確認が必要な方はいらっしゃいますか?」と確認し、全関係者を事前に把握しておくことが商談停滞の防止につながります。

セクション3: マイルストーンとタスク

テンプレート

#マイルストーンタスク担当期日状態
1[意思決定ポイント][具体的なアクション]売り手/買い手MM/DD未着手/進行中/完了

記入例(SaaS導入商談)

#マイルストーンタスク担当期日状態
1技術評価完了デモ環境を提供売り手5/15完了
2情シスによるセキュリティレビュー買い手5/22進行中
3セキュリティチェックシートの回答売り手5/20完了
4トライアル完了営業チーム5名でのトライアル実施買い手6/5未着手
5トライアル結果レポートの作成売り手6/8未着手
6経営プレゼン経営向けプレゼン資料の作成売り手6/12未着手
7経営会議の日程調整買い手6/10未着手
8契約締結最終見積もりの提出売り手6/20未着手
9契約書の法務レビュー買い手6/25未着手
10契約書の最終確認・署名双方6/30未着手

タスク設計の3つの原則

1. 買い手側タスクを必ず入れる

「Mutual(相互の)」という名の通り、MAPには買い手側のタスクが欠かせません。買い手のタスクが入ることで、顧客も「自分もアクションが必要だ」という認識を持ち、商談の当事者意識が高まります。

2. タスクは10個以内に絞る

細かすぎるタスクは管理コストを上げ、買い手の負担感を増やします。1つのマイルストーンに対してタスクは3個以内を目安にしましょう。

3. 期日は双方で合意する

営業担当者が一方的に期日を設定すると、买い手に「管理されている感」を与えます。「〇〇は△日までにいただけますか?」と相談しながら設定することが重要です。

セクション4: 評価基準・成功条件

テンプレート

導入判断の基準:
1. [技術要件]: [基準]
2. [運用要件]: [基準]
3. [コスト要件]: [基準]

トライアル成功条件:
- [定量指標]: [目標値]

記入例

導入判断の基準:
1. セキュリティ: ISO27001準拠のアクセス制御
2. 操作性: 営業担当者が30分以内に基本操作を習得
3. CRM連携: Salesforceとの双方向データ同期
4. コスト: 月額10万円以内(5ユーザー)

トライアル成功条件:
- 全5名がルームを1つ以上作成する
- 顧客への資料共有を3件以上実施する
- 営業チームのNPSが30以上

評価基準合意の重要性

評価基準を事前に合意しておくことで、トライアル終了後の「もう少し考えたい」という返答を防げます。評価基準は顧客と一緒に作ることで、顧客自身が「この基準をクリアしたら導入する」という自律的な推進が生まれます。これがMAPの最も重要な効果の一つです。

セクション5: スケジュール(逆算タイムライン)

ゴールから逆算してタイムラインを設計します。

6/30: 契約締結 ← ゴール
6/25: 法務レビュー完了
6/20: 最終見積もり提出
6/12: 経営プレゼン
6/8:  トライアル結果レポート
6/5:  トライアル完了
5/22: セキュリティレビュー完了
5/15: デモ環境提供 ← 開始

逆算設計の利点は、各タスクの「締め切り感」が生まれることです。「6/30の契約締結に向けて、5/15にデモ環境を提供しないと間に合わない」という因果関係が可視化されます。

商談タイプ別のカスタマイズ

エンタープライズ商談(大企業向け)

  • マイルストーンを5個に増やす(セキュリティ・法務・予算承認を個別に)
  • ステークホルダーに「反対派」も記載し、懸念を事前に把握する
  • スケジュールを3-6ヶ月スパンに設定
  • セキュリティ評価フェーズを独立したマイルストーンとして設ける

エンタープライズ向けマイルストーン例

  1. 技術評価完了(情報システム部門)
  2. セキュリティレビュー完了(セキュリティチーム)
  3. 法務レビュー完了(法務部門)
  4. 予算承認(経営企画)
  5. 最終承認・契約締結(意思決定者)

SMB商談(中小企業向け)

  • マイルストーンを3個に減らす(評価 → 承認 → 契約)
  • タスクを6個以内に絞る
  • スケジュールを2-4週間に短縮
  • 意思決定者が1-2名のため、ステークホルダー管理をシンプルに

SMB向けマイルストーン例

  1. 評価完了(デモ + 見積もり確認)
  2. 社内承認(経営判断)
  3. 契約締結

既存顧客のアップセル

  • 技術評価フェーズを省略(既に利用中のため)
  • 追加機能のデモとROI試算に重点を置く
  • 既存の信頼関係を活かし、よりオープンに課題を共有する

アップセル向けマイルストーン例

  1. 現状課題の確認(ROI振り返り)
  2. 追加機能のデモ・検証
  3. 拡張契約締結

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MAP運用のベストプラクティス

初回ミーティングで一緒に作る

MAPは会議の場で顧客と一緒にドラフトを作るのが最も効果的です。「次のステップを整理しませんか」と切り出し、画面共有しながら5分で骨格を作ります。

特に効果的なのは「ゴールを一緒に決める」ところから始めることです。「いつまでに導入できればベストですか?」と聞き、顧客が答えた日付をゴールに設定します。顧客自身が決めたゴールなので、その後の推進もスムーズになります。

週次で進捗を確認する

毎週のフォローアップで、MAPの進捗を確認します。完了タスクにチェックを入れ、遅延があれば原因と対策を合意します。フォローアップのメールやチャットにMAPへのリンクを貼り付けると、顧客も自然に確認する習慣が生まれます。

DSR内で管理する

MAPを資料共有・チャットと同じ場所で管理すると、コンテキストが失われません。「このタスクに必要な資料はこちら」とリンクできるのがDSRの強みです。

Excelやスプレッドシートでも始められますが、資料の閲覧データとMAPを統合的に管理できるDSRツールの方が、長期的な商談管理には効果的です。

更新頻度を保つ

MAPの最大の失敗パターンは「作ったけど更新しない」ことです。少なくとも週1回はMAPを見直し、完了タスクにチェックを入れましょう。更新されたMAPを顧客に共有することで、「商談が着実に進んでいる」という安心感を与えられます。

DSRとMAPを統合する効果

デジタルセールスルームでMAPを管理すると、資料閲覧データとタスク進捗を統合した形で商談の健全性を把握できます。

例えば「技術仕様書が未読のままセキュリティレビューが完了した」という状態は、レビューの品質に疑問が生まれるシグナルです。資料閲覧とMAP進捗を合わせて見ることで、こうした見落としを防げます。

商談進捗の可視化ガイドでは、閲覧データとMAPを組み合わせた商談管理の実践方法を詳しく解説しています。

よくある質問

MAPのテンプレートはExcelでも作れますか?

作れます。上記のテンプレートをExcelに転記し、顧客とファイル共有してください。ただしExcelでは閲覧追跡やリアルタイム共同編集が限定的です。DSRツールなら双方がリアルタイムで更新できます。Excelから始めて効果を実感したら、DSRへの移行を検討するのがおすすめです。

タスクは何個くらいが適切ですか?

10個以内が推奨です。細かすぎると管理コストが上がり、買い手の負担感が増します。エンタープライズ商談でも15個が上限と考えてください。タスクが増えてきたら、複数のタスクを1つのタスクにまとめるか、マイルストーンを細かくする方向で整理しましょう。

顧客がMAPの更新に協力してくれない場合は?

まず「MAPのどの部分が負担か」を確認してください。タスクが多すぎる可能性があります。それでも協力が得られない場合は、商談への関心度自体が低い可能性があり、商談の見直しが必要です。

MAPを顧客に提案するタイミングはいつがベストですか?

初回提案後、顧客の関心が確認できた段階がベストです。「ぜひ前向きに検討したい」という反応があったら、その場で「では次のステップを一緒に整理しませんか?」と切り出すのがスムーズです。あまり早い段階(ニーズが確認できていない状態)では、顧客に「急かされている」と感じさせる可能性があります。

MAPのフォーマットを顧客ごとにカスタマイズすべきですか?

基本フォーマットは統一し、細部をカスタマイズするのがベストプラクティスです。マイルストーン・タスク・ステークホルダーという構成は同じで、顧客の意思決定プロセスに合わせてマイルストーンの数やタスクの内容を調整してください。毎回ゼロから作るのは非効率なので、業種・企業規模別のテンプレートを数種類用意しておくと効率的です。

MAPは商談のどのフェーズから使い始めるべきですか?

初回提案後(ニーズ確認後)から使い始めるのが理想です。評価フェーズ・交渉フェーズでは特に効果を発揮します。一方、初回接触の前に詳細なMAPを送るのは時期尚早です。顧客の購買意欲が確認できた段階で、「一緒に進め方を整理しましょう」とMAPを導入するのがベストタイミングです。

まとめ

MAPテンプレートの5要素を整理します。

  1. ヘッダー: 案件名・ゴール・日付
  2. ステークホルダー: 全関係者の名前・役割・関与フェーズ
  3. マイルストーンとタスク: 意思決定ポイント + 担当者・期日付きタスク(10個以内)
  4. 評価基準: 導入判断の基準とトライアル成功条件
  5. スケジュール: ゴールから逆算したタイムライン

テンプレートを使うことで、商談の構造が整理され、次に何をすべきかが明確になります。まずは次の商談でこのテンプレートを使ってみてください。

MAPを定着させるためのチームへの展開方法

個人でMAPの効果を実感したら、次はチーム全体に展開するフェーズです。MAPを組織的に定着させるには、以下のステップが効果的です。

1. 成功事例を作る

まず自分の1件の商談でMAPを試し、「受注率が向上した」「商談サイクルが短縮した」という具体的な数値を記録しておきます。チームメンバーへの展開では、抽象的な説明より「自分の商談でこんな効果があった」という実例の方が説得力を持ちます。

2. テンプレートを標準化する

業種・商談規模別に数種類のテンプレートを用意し、チーム共有フォルダに格納します。テンプレートが整備されることで、新しいメンバーでもすぐにMAPを使い始められます。

3. 週次商談レビューにMAPを組み込む

マネージャーとの1on1や週次の商談レビューで「MAPの完了率」を確認する習慣を作ります。フェーズや金額だけでなく、「MAP完了率70%以上の商談が何件あるか」を可視化することで、データドリブンな商談評価が実現します。

4. フィードバックを集めて改善する

チームからのフィードバックを集め、テンプレートを改善し続けることが重要です。「この業種ではセキュリティレビューのタスクを必ず入れる」「このフェーズでは法務タスクを前倒しにする」といった知見を蓄積することで、組織全体の商談力が向上します。

MAPとセールスイネーブルメントの連携

MAPは単独のツールではなく、セールスイネーブルメント戦略全体の一部として機能します。

コンテンツ管理との連携: MAPのタスク「技術仕様書の確認」に、最新の技術仕様書へのリンクを貼ることで、顧客がすぐにアクセスできます。資料管理ツールとMAPを統合することで、商談のコンテキストを保ちながら必要な情報を届けられます。

CRMとの連携: MAPの完了率をSFAの商談フィールドに記録することで、パイプラインの精度が向上します。「MAP完了率80%以上かつフェーズが交渉」の商談は受注予測の精度が高く、マネジメント上の優先度をデータで判断できます。

商談進捗の可視化との連携: 資料閲覧データとMAP進捗を組み合わせることで、商談の健全性をより正確に評価できます。「資料は読まれているがMAPが進まない」場合は顧客の社内事情、「MAPは進んでいるが資料閲覧が少ない」場合は意思決定者の関与不足という仮説が立てられます。

MAPの詳細な作り方と活用事例は、ミューチュアルアクションプラン完全ガイドで解説しています。また、DSRの作り方を合わせて読むことで、MAPとDSRを統合した商談管理の全体像が理解できます。

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