
kintoneゲストユーザーの料金と使いどころ|無料になる条件を公式情報で検証【2026】
kintoneのゲストユーザーとは、顧客・取引先・協力会社など社外の人を「ゲストスペース」に招待し、そのスペース内の情報だけを利用してもらうためのユーザー区分である。通常のユーザーと違い、全体のポータルや他のスペースにはアクセスできない。料金は本体の契約コースに応じて1ユーザー月額700円または1,440円(税抜、一般法人の場合)で、kintone本体の契約とは別に加算される。
この記事のポイント(TL;DR)
- ゲストユーザーの料金は、ライトコースが1ユーザー月額700円、スタンダード・ワイドコースが1ユーザー月額1,440円です(税抜、一般法人の場合。学校法人・官公庁などは別価格)。kintoneの料金・仕様は2026年9月1日にサイボウズ公式ページで確認した記載に基づいています(記事末に参照元を列挙しています)。
- 見落とされがちですが、kintone本体のライト・スタンダードコースは最小10ユーザーからの契約です。ゲストを1人も招かなくてもスタンダードコースなら月18,000円(税抜)が先にかかり、ゲスト費用はそこへの上乗せになります。
- ゲストには初回ログインから30日間の試用期間があり、その間は費用が発生しません。30日以内に終わる案件なら、ゲスト費用はかからずに済みます。
- 課金は契約数に対して発生します。そのためゲストを停止・削除しただけでは請求は下がりません。契約数を減らす手続きまで行って、はじめて支払いが減ります。
- 「アカウントの共通化で無料になる」という情報が広く出回っていますが、支払いが実際に減るまでには5つの関門があります。とくに公式ヘルプが明記している「アカウントを共通化してゲストユーザーの利用料が無料になっても、請求金額は自動的には変わりません」という点に触れている解説は、2026年9月1日時点で確認した範囲では見当たりませんでした。
- ゲストの単価は、スタンダードコースでは本体の80%、ライトコースでは70%です。スタンダードコースなら2割しか安くならない代わりに機能制限を負うため、ゲストを選ぶ理由は価格ではなくアクセス範囲の分離にあります。
- ゲストから通常ユーザーへの変更、その逆、アカウント共通化の解除、アプリをあとからゲストスペースに出し入れすること、複数スレッド設定を一度ONにすること——この5つは戻せません。「とりあえずゲストで招く」運用ができず、顧客に見せるアプリは最初からゲストスペース内に作る必要があります。
kintoneのゲストユーザー・ゲストスペースとは
kintoneのゲストスペースとは、社外の人を招いて情報を共有するための専用スペースです。サイボウズの公式ページ(ゲストスペース・ゲストユーザー)は「『ゲストスペース』とは、顧客・取引先・協力会社など、社外の人を『ゲストユーザー』として招待し、キントーンを利用できるスペースのことです」と定義しています。そこに招待された社外の人がゲストユーザーです。
つまり、この機能の本質は「社外の人を安く入れる仕組み」ではなく、社外の人が見られる範囲を1つの部屋に閉じ込める仕組みです。この理解が、後述する料金の判断にそのまま効いてきます。
通常ユーザーと何が違うのか
もっとも大きな違いは、アクセスできる範囲です。同じ公式ページは「通常のユーザーは、全体のポータルや複数のスペースにアクセスすることができるのに対し、ゲストユーザーは、招待されたゲストスペース内の環境のみをご利用いただきます」と説明しています。
| 比較軸 | 通常のユーザー | ゲストユーザー |
|---|---|---|
| 全体ポータルへのアクセス | できる | できない |
| 複数スペースへのアクセス | できる | 招待されたゲストスペース内のみ |
| 1ユーザーあたりの月額 | 1,000円〜3,000円(コース別の内訳は次章) | 700円または1,440円(同上) |
| 最小ユーザー数 | ライト・スタンダードコースは10ユーザー、ワイドコースは1,000ユーザー | 1ユーザーから |
| 単独での契約 | — | できない(kintone本体の契約が前提) |
価格はいずれも1ユーザーあたりの月額・税抜です。ゲストユーザーは「1ユーザーよりご契約いただけます」と公式に明記されています。一方で「ゲストユーザーのみで契約することはできません」ともあり、kintone本体を契約していることが前提です。
ゲストスペースは隔離された部屋である
ゲストスペースは、通常のスペースとは別物として扱われます。社外の人が入ってくるのは常にこの隔離された部屋の中だけで、社内側が普段使っているポータルや他のスペースは見えません。
この分離の強さは、社外共有の安心材料になります。ただし裏返しとして、ゲスト側の使い勝手にはいくつかの制約がかかります。何ができて何ができないのかは、後の章で個別に見ていきます。
なお、顧客と一緒に案件を進める働き方そのものの整理は、クライアントワークの解説記事にまとめています。
kintoneのゲストユーザーの料金はいくらか
kintoneのゲストユーザーの料金は、本体の契約コースによって2種類に分かれます。ここでは単価だけでなく、実際に顧客を招いたときに毎月いくら出ていくのかまで計算します。
単価は700円と1,440円の2種類
2026年9月1日時点の公式料金は次のとおりです。この数値は、kintoneの料金ページのオプション欄と、ゲストスペースの機能紹介ページの2か所で同じ記載を確認しています。
| 本体の契約コース | ゲストユーザーの月額(1ユーザー・一般法人) | ゲストスペースの上限 |
|---|---|---|
| ライトコース | 700円 | 100個 |
| スタンダードコース | 1,440円 | 500個 |
| ワイドコース | 1,440円 | 500個 |
公式ページには「上記は税抜き料金です」と明記されています。
なお、これは一般法人向けの価格です。学校法人・官公庁・社会福祉法人・公益法人などが対象のアカデミック・ガバメントライセンスでは、ゲストユーザーはスタンダードで月額870円、ライトで月額420円(いずれも税抜)と別価格が設定されています。本体もスタンダード1,080円・ライト600円と安くなるため、対象団体であれば本記事の試算はそのまま当てはまりません。なお公式は、このライセンスの購入がサイボウズ オフィシャルパートナー経由になると案内しています。課金の期間については、ゲストユーザーの料金ページに「ゲストユーザーのコース(ライト・スタンダード・ワイド)及び契約区分(月額・年額)はkintone本体の契約体系に準じます」とあります。本体を月額で契約していればゲストも月額、年額であればゲストも年額という考え方です。
ゲスト費用の前に、本体10ユーザー分が固定でかかる
ゲストの単価だけを見ると安く感じますが、実際の支出を考えるときにはその手前に固定でかかる本体費用を先に置く必要があります。ここを飛ばすと、見積もりが実態から大きくずれます。
kintone本体の料金は、ライトコースが1ユーザー月額1,000円、スタンダードコースが1ユーザー月額1,800円、ワイドコースが1ユーザー月額3,000円です(税抜)。そしてライトコースとスタンダードコースは、最小10ユーザーからの契約です。
つまりスタンダードコースの場合、社内で使う人が3人しかいなくても、10ユーザー分の月18,000円(税抜)が先にかかります。ゲストユーザーの費用は、この18,000円への上乗せとして発生します。「ゲスト1ユーザー1,440円」という数字は、この固定費を負担した状態からのスタートだと理解しておく必要があります。
社外の人数で、総額はこう動く
ゲストユーザーの課金は人数に比例します。顧客を何社招くかではなく、社外の人が合計で何人ログインするかで決まります。スタンダードコース(ゲスト1ユーザー月額1,440円)で、1社あたりの人数と顧客社数の組み合わせごとに月額を出すと次のようになります。
| 1社あたりの人数 \ 顧客社数 | 1社 | 3社 | 5社 | 10社 |
|---|---|---|---|---|
| 2名 | 2,880円 | 8,640円 | 14,400円 | 28,800円 |
| 3名 | 4,320円 | 12,960円 | 21,600円 | 43,200円 |
| 5名 | 7,200円 | 21,600円 | 36,000円 | 72,000円 |
すべて月額・税抜で、ゲストユーザー分のみの金額です。表の見方として重要なのは、3社×5名と5社×3名がどちらも15名で月21,600円になることです。社数が違っても合計人数が同じなら金額は同じで、効いているのは社数ではなく合計人数だと、表の上で確認できます。
ここに本体費用が乗ります。社内10ユーザー・スタンダードコースで顧客3社(各3名)を招く場合、本体18,000円+ゲスト12,960円で月30,960円(税抜)です。
単純に12倍すれば年間371,520円(税抜)ですが、ゲスト分は次項の試用期間があるため実額はこれより低くなります。年額で契約する場合の扱いは本体の契約体系に準じ、期中に追加する際は「ゲストユーザーの人数分の月額料金を、残り月数分ご購入いただきます。(残り月数は、1か月未満を切り捨てて計算します)」と公式に記載があります。あわせて公式は「後から購入したゲストユーザーの契約終了日は、自動的に自社のキントーンの契約終了日と同じ日に設定されます」としています。ゲストの契約は本体の更新日に揃うため、見直しのタイミングも本体の更新日に固定されることになります。実際の請求額は契約形態によって変わるため、年額を検討する場合は個別に確認してください。
なお、ここまでの金額はゲストが有料に切り替わったあとの月額です。試用期間中のゲストは[試用期間中のゲストユーザー数]として別に数えられ、[有料ゲストユーザー数]には含まれないため、その間は契約数を発注する必要がありません(これらの数の関係は「請求は『契約数』に対して発生する」の用語表で整理します)。したがってゲスト分は初年度に短くなり、最大でも11か月分です。すでにkintone本体を月額で契約していて、ゲストだけを追加する場合なら、上の例で本体216,000円+ゲスト11か月分142,560円、初年度は358,560円という見当になります(税抜。30日を1か月として計算)。期中から招けば、さらに短くなります。なお試用期間の30日と、次項で触れる発注月の無償は同じゲスト回線で重なり得ます。両方が効けば実際の請求は10か月分に近づくため、上の358,560円は上限側の見当と考えてください。
kintoneをこれから新規に契約する場合、月額なら本体側にも発注月の無償が効くため、この額よりさらに低くなります。年額の場合は、次の段落のとおり無償月があっても1年分の請求額は変わりません。月をまたぐ場合の課金月数は契約形態によって変わるので、確定額は見積もりで確認してください。
発注のタイミングによる差もあります。サイボウズのライセンス案内は月額・年額とも「発注月は無償利用期間です」としていますが、意味は契約区分で変わります。月額はサービス期間が発注日の翌月1日から始まるため、発注から12か月のあいだに請求されるのは11か月分です。年額はサービス期間そのものが「発注日の翌月1日から1年間」なので、1年分の請求額は変わりません。公式FAQは「5月10日に年額サービスを発注した場合:5月31日まで無償利用期間となり、6月1日~翌年5月31日の1年間が年額サービスの契約期間となります」と例示しています。年額の無償期間は割引ではなく、サービス期間が始まるまでの追加利用日数です。
ゲストを増やしても増えないものもあります。ディスク容量です。公式ヘルプは「kintone、およびcybozu.comの各サービス(Garoonなど)で利用可能なディスク容量は、『契約ユーザー数 × 5GB』です」としたうえで、「ゲストユーザーは、契約ユーザーに含まれません」と明記しています。社内10ユーザーなら容量は50GBのままで、顧客とのファイルのやり取りもこの枠を消費します。不足する場合、料金ページのオプション欄にディスク増設が月額1,000円/10GBと記載されています。資料のやり取りが中心の案件では、人数課金に次ぐ2つ目の変動費になり得ます。
ゲスト費用の増え方には、はっきりした特徴があります。顧客側の人数がそのまま毎月の固定費になるということです。担当者1人だけを招くつもりでも、実際の案件では先方の上長・情報システム担当・現場担当と、確認に関わる人は増えていきます。1社あたり3名が5名になれば、10社なら月43,200円が72,000円になります。
そのため運用設計としては、「誰を招くか」を決める前に「何人までなら招いてよいか」の上限を先に決めておくほうが安全です。
ゲストの試用期間——最初の30日は無料
見落とされやすいのですが、ゲストユーザーには試用期間があります。公式ヘルプは「ゲストユーザーがはじめてkintoneにログインすると、自動的に30日間のお試し期間が開始されます」と説明しています。起点は契約日ではなく、そのゲストが初めてログインした日です。
そして「30日間のお試し期間が終了すると、ゲストユーザーのライセンスは自動的に[試用]から[有料]に切り替わります」とあります。ただし切り替わるのはライセンスの区分であって、請求が自動で始まるわけではありません。同じ公式ヘルプは「自動的に課金されることはありません」としつつ、ライセンスがないまま使用するとサービスを使用停止することがあると案内しています。
ここから実務上の含意が2つ出ます。
- 30日以内に終わる案件なら、ゲスト費用は発生しない。短期のスポット案件で顧客に確認してもらうだけなら、試用期間の中で完結します
- 使わなくなったら、期間内にステータスを[停止中]にする。公式ヘルプは「ゲストユーザーのアカウントを使用しない場合は、kintoneシステム管理の[ゲストユーザー管理]画面で、ゲストユーザーのステータスを[停止中]に変更してください」と案内しています。停止すると[有料ゲストユーザー数]に含まれなくなります。これは請求の対象になる契約数とは別の数です(詳細は次項)。期限内に手を打たないと、公式は「通知メールは、契約ユーザー数の上限を超えた日の翌日から毎日送信され、必要な対処が完了するまで停止できません」としています。ストア管理者に毎日メールが届き続けるため、放置は現実的な選択肢になりません
請求は「契約数」に対して発生する
本記事でもっとも重要な仕様がこれです。公式ヘルプは、ゲストユーザーのライセンス利用料について次のように説明しています。
「[有料ゲストユーザー数の契約数]に表示されている契約数分の、ゲストユーザーのライセンス利用料が発生しています」
ここで2つの数が出てきます。公式の画面表示と本記事の呼び方を、先に対応づけておきます。
| 本記事での呼び方 | 公式の表記 | 何を数えるか | 減らし方 |
|---|---|---|---|
| 契約数 | [有料ゲストユーザー数の契約数]。ライセンス案内では「契約ユーザー数」 | 申し込んでいる枠の数。請求はこれに対して発生する | 発注操作が必要(タイミングと窓口の制約は後述) |
| 有料ゲストユーザー数 | [有料ゲストユーザー数] | ライセンスが必要な頭数 | [停止中]にする/削除する/アカウントを共通化する |
| [試用期間中のゲストユーザー数] | [試用期間中のゲストユーザー数] | 初回ログインから30日以内の人数。有料の頭数には含まれない | 時間の経過で[有料]に移る |
ライセンスそのものにも区分があります。公式ヘルプは「ゲストユーザーのライセンスは、[試用]、[有料]、および[無料]の3種類です」とし、[無料]を「ゲストアカウントをkintoneアカウントと共通化した状態のライセンス」と説明しています。次章の「無料化」は、このライセンスが[有料]から[無料]に変わることを指します。
⚠️ 公式ヘルプでは、文脈によってどちらも「契約ユーザー数」と読める箇所があります。本記事では請求の対象になるほうを「契約数」と書き分けます。
課金の対象は、実際に使っているゲストの人数ではなく申し込んでいる契約数です。ここから、直感に反する結論が出ます。
ゲストユーザーを停止・削除しても、それだけでは請求は下がりません。 前項で[停止中]にすると減るのは[有料ゲストユーザー数]、つまりライセンスが必要な頭数であって、すでに申し込んでいる契約数ではないからです。請求を下げるには、契約数そのものを減らす手続きが別途必要になります。両者を混同すると、停止したのに請求が変わらない、という事態になります。
さらに、契約数を減らせるタイミングにも制約があります。ゲストユーザーの契約も本体の契約体系に準じるため、cybozu.com全体のルールが適用されます。サイボウズの「ライセンスに関するご案内(クラウド版)」によれば、月額サービスは「新規発注月およびユーザー数を追加した月を除き、任意のタイミングでユーザー数を削減できます」「変更発注日の翌月1日から変更後のユーザー数が適用されます」。一方で年額サービスは「サービス期間の途中では、契約ユーザー数の追加のみ可能です」「契約ユーザー数の削減は契約更新時のみ可能です」とされています。
つまり年額で契約している場合、共通化しても停止・削除しても、次の更新まで請求は下がりません。ゲストの入れ替わりが多い運用なら、この一点だけで月額と年額の選択が変わり得ます。
もう一点、手続きの窓口が契約経路によって変わります。公式は「サイボウズから直接購入されている場合は、ユーザー数の変更が可能です。変更可能なタイミングなどは、契約状況により異なります」としたうえで、「サイボウズ オフィシャルパートナー経由で購入される場合は、購入元のサイボウズ オフィシャルパートナーにご相談ください」と案内しています。kintoneはパートナー経由での導入も多いため、契約数を減らす手続きを自社の管理画面だけで完結できるとは限りません。以降で「契約数を減らす」と書いている箇所は、いずれもこの窓口の確認が前提になります。
この原則は、次章のアカウント共通化でもう一度、より厄介な形で出てきます。
費用を下げる・増やさない打ち手
ゲストユーザーの費用を下げる、または増やさない正規の打ち手は次のとおりです。それぞれの詳細は前後の各項で扱います。
表の読み方として、「効果」の列には金額の帰結だけを、「成立条件」の列には満たすべき前提だけを書いています。金額はいずれも月額・税抜です。
| 打ち手 | 効果 | 成立条件 |
|---|---|---|
| 30日間の試用期間に収める | その期間はゲスト費用が発生しない | 試用期間が終わるまで契約数を発注しないこと |
| 招く人数を絞る | 10社で1社あたり1名減らすと月14,400円減る | 社内で上限人数のルールを決められること |
| 本体をライトコースにする | ゲスト9名の例で月12,960円が6,300円になる(単価1,440円→700円) | 社内の使い方がライトコースの範囲で成立すること。ダウングレードの適用が翌月(年額は契約更新時)からで間に合うこと |
| アカウントを共通化する | 共通化できた人数分の請求がなくなる | 相手がkintone契約者であることなど5つの関門をすべて越えること(次章) |
| 使わないゲストを停止・削除し、契約数も減らす | 減らした契約数の分だけ請求が止まる | 削減タイミングに合わせられること(月額は翌月1日から。追加した月は削減発注ができない。年額は更新時のみ)。サイボウズ オフィシャルパートナー経由で購入している場合は、購入元へ依頼すること |
| ゲストを削除して再招待し、試用期間をもう一度使う | その30日間はライセンスが不要になり、契約数の買い足しを避けられる(既存の契約数は減らないため請求そのものは下がらない) | 同じメールアドレスでも別のゲストユーザーとして扱われ、それまでの登録データが同名の別ユーザーによるものになることを許容できること |
なお、1アカウントを顧客側の複数人で共有して費用を抑えることはできません(後述)。
ライトコースならゲスト単価は半分以下
ゲスト単価を下げる正攻法は、本体をライトコースにすることです。ゲストは1ユーザー月額700円になり、先ほどの3社×3名(9名)の例なら月6,300円と、スタンダードコースの12,960円から半分以下になります。本体も1,000円×10ユーザーで月10,000円になるため、合計は月16,300円(税抜)です。
ただしこれは「ゲストを安くするためにライトコースにする」という判断ではありません。ライトコースは本体側の機能が変わる選択なので、社内の使い方がライトコースの範囲で成立するかどうかが先です。
公式の料金ページで比較すると、ライトコースでは外部サービス連携とプラグインなどの拡張機能が使えず、kintone AIも対象外です。アプリ数の上限も1,000個から200個に、ポータルの追加やアプリごとのAPIリクエストも対象外になります(アプリ数200個がスペース数より先に効く点は、上限の章で扱います)。
とくに重いのがカスタマイズです。公式FAQは「ライトコースではAPIやJavaScriptを利用したカスタマイズができません」としています。後述する「アプリ単位のカスタマイズはゲストにも適用される」という救済策は、ライトコースではそもそも成立しません。kintoneを業務に合わせて作り込んで運用している場合、ここで失うものはゲスト費用の差額では埋まりません。
手続き上の制約もあります。月額でも「初回発注月、およびコースをアップグレードした月は、コースをダウングレードできません」とされ、適用は発注の翌月からです。またゲストユーザーを契約している場合、「ゲストユーザーの契約コースは、kintoneのユーザーの契約コースに準じます。kintoneのユーザーのコース変更と同時に、ゲストユーザーのコース変更も行う必要があります」とあり、手続きはサイボウズドットコム ストアから行います。
なお年額で契約している場合、コースのダウングレードは契約更新時にしかできません(アップグレードは期中も可能)。「今月から下げて安くする」という使い方はできない点にも注意が必要です。
「アカウント共通化で無料」はどこまで本当か
kintoneのゲストユーザーを調べると、ほぼ必ず「アカウントを共通化すれば無料になる」という説明に行き当たります。これは公式に書かれている事実で、間違いではありません。公式ヘルプにも「ゲストユーザーの利用料が無料になります」と明記されています。
ただし、この無料化が実際に支払いの減少につながるまでには、越えなければならない関門がいくつもあります。そして関門の中には、自社の一存では決められないものと、知らないと無料になっても払い続けてしまうものが含まれています。ここが、この機能でもっとも誤解されている部分です。
無料化の正体はライセンスが[無料]に変わること
まず仕組みを正確に押さえます。公式ヘルプは「アカウント共通化」を、kintoneを契約中のユーザーが別のkintoneのゲストスペースにゲストユーザーとして招待された場合に、両方のkintoneのアカウントを共通化することだと説明しています。
そのうえで、無料になる理由をこう書いています。「共通化したアカウントは契約ユーザー数にカウントされないため、アカウント共通化を行うことで、ゲストユーザーの利用料を無料にできます」
より正確な手がかりは、ライセンスの区分にあります。ゲストユーザーのライセンスは[試用][有料][無料]の3種類で、公式ヘルプは[無料]を「ゲストアカウントをkintoneアカウントと共通化した状態のライセンスです」と定義しています。つまり共通化とは、そのゲストのライセンスを[有料]から[無料]に移すことです。
重要なのは、これが割引ではないことです。前章の用語表でいう「契約数」(=申し込んでいる枠)が減るわけではありません。この差が、5つ目の関門になります。
支払いが実際に減るまでに越える5つの関門
公式ヘルプの記載を関門として整理すると、次の5つになります。1〜4は利用料が無料になるための条件、5は無料になった分が請求に反映されるための条件で、層が違う点に注意してください。
| # | 関門 | 誰が満たす必要があるか | 満たせないとどうなるか |
|---|---|---|---|
| 1 | 招待する相手が、すでに自社でkintoneを契約している | 相手 | 通常どおり1ユーザー月額700円または1,440円が課金される |
| 2 | 相手の自社kintoneが試用期間中ではない | 相手 | 共通化できない(公式ヘルプに「試用期間中はアカウントを共通化できません」と明記)。相手の自社kintoneが試用環境の場合、公式はエラーコード GAIA_UN11 として「指定したURLのkintoneは試用期間中のため、アカウントを共通化できません」を案内している。ゲスト自身の30日間の試用期間とは別 |
| 3 | 相手が自分で共通化の操作を行う | 相手 | 共通化されない。手順上、自社の管理画面からは実行できない |
| 4 | 一度共通化すると解除できないことを相手が受け入れる | 相手 | 相手の情報システム部門が承認しない可能性がある |
| 5 | 自社がゲストユーザーの契約数を減らす | 自社 | 利用料は無料でも請求金額は下がらない(次項で詳述) |
関門1から4までが、すべて相手側で満たすものである点に注目してください。無料化は自社の設定作業ではなく、相手企業に依頼して動いてもらう話です。
とくに関門3は見落とされがちです。共通化の操作は、招待された側がゲストスペースにログインし、設定から「アカウントの共通化」を選び、自社のkintoneのURLを入力して自社アカウントでログインする、という手順を踏みます。招待を受け取った時点で[kintoneアカウントで参加]から共通化する経路もあります。参加の流れの中で済むぶん、あとから設定を開いてもらうより依頼が通りやすいでしょう。いずれにしても手順上、自社の管理者が代わりに実行することはできません。
そして関門4が、依頼のハードルを上げます。公式ヘルプは「一度アカウントを共通化すると、解除できません」と明記しています。つまり相手企業に対して、取り消しのきかない設定変更をお願いすることになります。相手の情報システム部門が慎重な会社であれば、ここで止まることは十分あり得ます。
5つ目の落とし穴——請求は自動では下がらない
もっとも注意すべきなのが5つ目です。公式ヘルプには、次のようにはっきり書かれています。
「アカウントを共通化してゲストユーザーの利用料が無料になっても、請求金額は自動的には変わりません」
同じページは、対処もはっきり書いています。「請求金額を減らしたい場合には、ゲストユーザーの契約数を減らしてください。」
関門1から4までを苦労して満たし、相手に不可逆な操作までお願いしたうえで、最後の1手を忘れると支払いは1円も減りません。調査した範囲では、この一文に触れている解説を確認できませんでした(2026年9月1日時点)。無料化を前提に費用計画を立てるのであれば、共通化が完了した時点でゲストユーザーの契約数を見直す作業を、運用手順に組み込んでおく必要があります。なお前述のとおり、年額契約では契約数を減らせるのが更新時のみのため、見直しは更新前のタイミングに置くことになります。
なお、同じ相手を別のメールアドレスで複数のゲストスペースに招いている場合、自社ドメイン内で共通化できるのは1つだけです(詳細は上限の章)。
ただし、契約数を減らせない期間でも共通化が無意味になるわけではありません。共通化した分だけ契約数に空きが出ます。公式ヘルプは、契約数(この例では公式表記も「契約ユーザー数」)5名・ゲストユーザー数3名の例で、共通化を行っていない場合は「利用可能なユーザー数は、残り2名です」、1名のアカウントを共通化した場合は「利用可能なユーザー数は、残り3名です」と説明しています。この空きには追加購入なしで次のゲストを招けるため、年額契約で契約数を減らせない期間は、空きの再利用が共通化から得られる実質的な効果になります。
無料化は相手企業の人事に左右される
もう1点、公式ヘルプが触れている論点があります。共通化したあとに、相手企業側でそのkintoneユーザーが停止または削除されると、ゲストスペースにアクセスできなくなります。ゲストユーザーとして再度招待すればアクセスは復旧しますが、その時点で無料の前提は崩れます。しかも公式FAQによれば、共通化していた通常ユーザーを削除・使用停止したあとスペースから削除して再招待すると GAIA_IIU01 が出ることがあり、対処は「[ゲストユーザー管理]画面から該当のゲストユーザーを削除した後、再度招待します」とされています。後述する「まず停止」の原則の例外で、登録データの帰属が同名の別ユーザー扱いになることを受け入れる必要があります(後任者にあらためて共通化を依頼すれば、また無料にできます)。
相手企業の担当者が異動したり退職したりすれば起こり得ることです。つまり無料化は、一度成立すれば永続する状態ではなく、相手企業の状況に依存し続ける状態だと考えておくべきです。
相手に共通化を依頼するときに伝える4項目
共通化は相手に操作してもらう必要があるため、依頼の仕方で成否が変わります。とくに「解除できない」という性質があるため、説明を省くと相手の情報システム部門で止まりやすくなります。依頼時には次の4点を伝えておくと、判断してもらいやすくなります。
- 何をする操作なのか:御社のkintoneアカウントと、当社のゲストスペースのアカウントを1つにまとめる設定であること。これにより御社のkintoneから、当社のゲストスペースを開けるようになること
- 相手側の負担と利点:ログインするアカウントが1つになり、当社スペース用のIDとパスワードを別に管理しなくてよくなること。あわせて、参加中のゲストスペースの自分宛の未読通知数が御社のkintone側に表示されるようになること
- 取り消しができないこと:一度共通化すると解除できない仕様であること。これを伏せて依頼しないこと
- 前提条件:御社のkintoneが試用期間中だと共通化できないこと
なお、相手にとっての直接的な金銭メリットはありません。利用料が無料になるのは招待した側(自社)の費用であり、相手の支払いが減るわけではないからです。相手にとっては「ログインが1つにまとまる」ことが利点になります。この非対称を理解したうえで依頼しないと、説明がかみ合いません。
結論——受託・制作の現場では「課金される前提」で見積もる
ここまでを踏まえると、判断ははっきりします。
「アカウント共通化で無料になる」は事実ですが、それは相手もkintoneのユーザーである場合に限った話です。相手がすでにkintoneを契約していて、その契約が試用期間中でもなく、相手自身が共通化を操作してくれて、不可逆な設定変更に応じてくれて、こちらも契約数の見直しを忘れない。この5つが揃って初めて支払いが減ります。
社内で使うkintoneに関連会社やグループ会社を招くケースであれば、関門1が満たされていることも多いでしょう。一方で、受託・制作・コンサルのように業種の異なる一般企業の顧客を招く場合、相手がkintoneを契約している保証はありません。
したがって費用の見積もりは、全員が課金される前提で立てるのが安全です。そのうえで共通化できる相手がいれば、その分だけ下がる。これが順序としては正しい考え方です。無料化を前提に予算を組むと、関門1で外れた時点で計画が崩れます。
ゲストを選ぶ理由は価格ではない
料金の話でもう1つ押さえておきたいのが、ゲストと通常ユーザーの価格差です。ここを理解すると、ゲストユーザーを選ぶ理由が変わります。
ゲストの単価は本体の70%か80%(ワイドのみ48%)
公式の料金を並べると、ゲストが本体の何%にあたるかはコースによって異なることが分かります。
| コース | 通常ユーザー | ゲストユーザー | ゲストの比率 |
|---|---|---|---|
| ライトコース | 1,000円 | 700円 | 70% |
| スタンダードコース | 1,800円 | 1,440円 | 80% |
| ワイドコース | 3,000円 | 1,440円 | 48% |
価格はいずれも1ユーザーあたりの月額・税抜です。本記事が想定する規模帯で選ばれることが多いスタンダードコースでは、ゲストは通常ユーザーの80%にあたります。2割しか安くなりません。ライトコースでは70%です。
ワイドコースだけは48%と割安に見えますが、ワイドコースは最小1,000ユーザーからの契約であり、本記事が想定している受託・制作・コンサルの規模の外にあります。実務上の判断は、ライトコースとスタンダードコースの70%・80%で考えることになります。
では、ゲストが正解になるのはどんなときか
2割程度の差額と引き換えに、ゲストユーザーは機能面の制約を負います。招待されたゲストスペースの外に出られない、kintoneのモバイルアプリが使えない、アプリの新規作成や設定変更ができない、といった制限です(詳細は次章)。
この交換条件をどう見るかが判断の分かれ目です。価格を目的にゲストユーザーを選ぶと、期待を外します。スタンダードコースなら2割の節約のために、相手の使い勝手を大きく制限することになるからです。
逆に言えば、ゲストユーザーが正しく効くのは、見える範囲を区切ること自体に価値がある場合です。他の顧客の情報が絶対に見えてはいけない、社内のポータルや他部門のスペースに社外の人を入れたくない、といった要件があるなら、単価の差は本質的な論点ではありません。この目的がないのであれば、通常ユーザーとして招いたほうが制約なく使えます。
どんな条件のときに選ぶべきかは、制限の全体像を見たあとのほうが判断しやすいので、記事の後半で改めて整理します。
ゲストユーザーにできること・できないこと
料金の判断ができたら、次は機能面です。ここは招待したあとに「思っていたのと違う」となりやすい部分なので、できないことを中心に確認します。
できること
ゲストユーザーは、招待されたゲストスペースの中では通常のkintoneと同じように操作できます。アクセスできるのは、招待されたゲストスペースと、そのスペースに所属するアプリだけです。
- ゲストスペース内のアプリでレコードを閲覧・追加・編集する(管理者が設定した権限の範囲内)
- スペース内のスレッドで社内メンバーとやり取りする
- ファイルを添付して共有する
- 自分が作成したスレッドを編集・削除する
権限はスペースの管理者側で設定するため、「閲覧だけ許可して編集はさせない」といった細かい制御もできます。
ただし指定の粒度には制約があります。公式ヘルプは「ゲストスペース内のアプリでは、cybozu.com共通管理で設定した組織や任意で追加したグループ(ロール)は利用できません」「グループとして[Administrators]と[Everyone]のみが利用できます」としており、「ゲストスペース内のアプリでは、そのゲストスペースの利用者を対象に、ユーザーを一名ずつ指定してください」と案内しています。アクセス権も通知の宛先も、組織単位ではなく一名ずつの指定になります。 顧客ごとにスペースを分ける運用では、この手間が社数×人数で効いてきます。
できないこと
公式ヘルプの「ゲストユーザーには利用できないkintoneの機能や操作を知りたい」と、機能ページのFAQに挙げられているものを整理すると、次のようになります。ゲストユーザーには管理権限がないことが、制限の基本的な理由です。
| 分類 | できないこと |
|---|---|
| スペースの管理 | ゲストスペースの新規作成、基本設定の変更、お知らせ掲示板(スペース本文)の編集、ゲストスペースの削除、参加メンバーの追加・削除 |
| スレッド | 自分以外が作成したスレッドの削除、自分以外が作成したスレッド本文の編集 |
| アプリ | ゲストスペース内でのアプリの新規作成、スペース内のアプリの設定変更・削除(所属スペースの変更については「あとから戻せないこと」) |
| モバイル | kintoneモバイルアプリの利用 |
| 全体カスタマイズ | JavaScriptやCSSによるkintone全体のカスタマイズの適用(アプリ単位のカスタマイズは適用される) |
| ログインのセキュリティ設定 | 接続元の制御と一部の認証機能(適用範囲は下の表) |
| アクセス範囲 | 全体のポータル、招待されていない他のスペースへのアクセス |
| 組織・グループ | ゲストスペース内のアプリでの組織・グループの利用 |
このうち実務で効いてくるものを補足します。
JavaScriptやCSSによる全体カスタマイズが適用されない点は、kintoneを作り込んで運用している場合に影響します。ただし公式ヘルプは「アプリのカスタマイズは、ゲストユーザーにも適用されます」と切り分けており、適用されないのはkintone全体に対するカスタマイズだけです。アプリ単位で入れたカスタマイズはゲスト側でも動きます(ただしライトコースではAPI・JavaScriptによるカスタマイズ自体ができないため、この救済は使えません)。全体カスタマイズで整えた画面については、社内で見えている画面と顧客に見えている画面が異なる前提で説明する必要があります。
接続元の制御が効かない点は、セキュリティ要件のすり合わせで論点になります。公式ヘルプは「IPアドレス制限、Basic認証、セキュアアクセスは、ゲストユーザーに設定できません」としており、さらに踏み込んで「ゲストユーザーがアクセスするkintoneの環境にIPアドレス制限が設定されていても、ゲストユーザーのアクセスは制限されません」とも書いています。設定できないだけでなく、既存の制限が適用されないという理解が正確です。
顧客側の情報システム部門に説明する場面では、「できない」だけを伝えると話が止まります。適用される側も併せて把握しておくと話が早い箇所なので、公式の記載を整理しておきます。判定語は、適用される=本体の設定がそのまま効く、一部のみ適用=設定項目によって効き方が分かれる、設定できる=有効にすれば効く、適用されない・利用できない=ゲストには効かない、の4種類で使い分けています。
| ログインのセキュリティ設定 | ゲストアカウントでの扱い | 補足 |
|---|---|---|
| パスワードポリシー | 一部のみ適用 | 強度系(最小文字数、複雑さ、ログイン名と同じパスワードの禁止、有効期間、再利用禁止)は適用される。[パスワードの変更][パスワードのリセット]は適用されない(禁止してもゲストは変更・リセットできる)。[パスワードの変更要求]も適用されない(有効にしてもゲストには変更が要求されない) |
| ログインの簡略化 | 適用されない | ログイン画面の入力を省略する設定 |
| ログイン失敗時のメッセージ | 適用されない | 設定した内容はゲストのログイン失敗時には表示されない |
| API利用時の認証 | 適用されない | ゲストはセキュアアクセスを利用できないため設定の対象外 |
| ログインセッションの有効期間 | 適用される | — |
| 二段階認証 | 設定できる | 確認コードはログイン用のメールアドレス宛。設定はドメイン単位 |
| IPアドレス制限・Basic認証・セキュアアクセス | 適用されない | — |
| SAML認証によるシングルサインオン | 利用できない | ユーザーアカウントのみが対象 |
| [2要素認証] | 利用できない | 二段階認証とは別の機能 |
| アカウントのロックアウト | 適用されない | ログイン失敗を繰り返してもロックされない |
公式は[2要素認証]と二段階認証を別のものとして書き分けています。ゲストユーザーには二段階認証を設定可能で、[kintoneシステム管理]の[ゲストユーザーの認証]から[ゲストユーザーの認証に二段階認証を利用する]にチェックを入れて有効にします。接続元は絞れないがログイン認証は強化できる、という切り分けで説明するのが実態に合っています。
一方で、アカウントロックアウトが適用されない点は、要件として問われたときに正直に伝える必要があります。パスワードポリシーで強度を担保し、二段階認証を有効にする、という組み立てが現実的な回答になります。
記録の面では、ゲストの操作も監査ログに残ります。公式の監査ログ一覧には、ゲストのログイン・ログアウトのほか、ファイルのダウンロード、レコードやコメントの書き出し、スペースへの参加・退会が項目として定義されています。ただし閲覧はcybozu.com共通管理の[監査ログの閲覧とダウンロード]画面から行うため、共通管理者の権限が必要で、日常的に開く画面ではありません。証跡としての粒度にも限界があり、公式はレコードやコメントの書き出しについて「操作に使用した端末に関わらず、[接続元]には[127.0.0.1]と出力されます」と注記しています。「誰がいつ資料を見たか」を都度確認する用途ではなく、あとから経緯を追う用途と考えるのが実態に合っています。
1つのアカウントを複数人で使い回すことはできない
費用を抑える目的で、1つのゲストアカウントを顧客側の複数人で共有することはできません。サイボウズの公式ページ「ライセンスに関するご案内(クラウド版)」には「1つのユーザーアカウントを複数人で共有することはできません」と明記されています。
同じページには「契約ユーザー数や利用ユーザー数は、cybozu.comにログインする『人』を対象にカウントします」「cybozu.comを操作や閲覧などを行う人数に合わせてライセンスを購入いただきます」ともあります。カウントの基準はアカウントの数ではなくログインする人の数である、という考え方です。1台の端末を共有する場合でも、操作する人数分のライセンスが必要になります。
「モバイルアプリが使えない」が効いてくる場面
制限の中で、実務でもっとも体感しやすいのがモバイルアプリの非対応です。ゲストユーザーはスマートフォン用のkintoneモバイルアプリを利用できず、必要な場合はモバイルのWebブラウザーからアクセスすることになります。
これが効くのは、顧客側にデスクワーク中心でない人が含まれる場合です。現場に出ている担当者、店舗にいる責任者、移動が多い決裁者など、スマートフォンでの確認が中心になる相手にとっては、アプリからの通知や素早い起動が使えないことが利用頻度に直結します。
社内メンバーはアプリで快適に使えているのに、顧客側だけがブラウザーからログインし直している。この非対称は、招待する前に想定しておいたほうがよい点です。顧客に確認してもらう頻度が高い案件ほど、影響は大きくなります。
あとから戻せないこと
kintoneのゲストスペースには、一度決めるとあとから変更できない仕様があります。いずれも公式に明記されているものですが、招待したあとに気づくと取り返しがつきません。ここでは仕様として戻せないものを5つ挙げます。1〜4は招待の前に、5はスペースの設定をONにする前に決めておくべき項目です(運用中の操作としては、後述するゲストユーザーの削除も戻せません)。
1. ゲストユーザーを通常のユーザーに変更できない
公式のFAQは、ゲストユーザーをkintoneのユーザーに変更することはできない、と明記しています。ゲストとして招いた相手を、あとから社内メンバーと同じ通常ユーザーに切り替えることはできません。
2. 通常のユーザーをゲストユーザーに切り替えることもできない
同じFAQに、kintoneのユーザーをゲストユーザーに切り替えることもできない旨が記載されています。逆方向も不可です。
3. アカウントの共通化は解除できない
公式ヘルプが「一度アカウントを共通化すると、解除できません」と明記しています。「アカウント共通化で無料」はどこまで本当かで触れたとおり、相手に依頼する操作でもあります。
4. アプリは、あとからゲストスペースに出し入れできない
これは費用ではなく、作り直しの工数に直結する仕様です。公式ヘルプは「ゲストスペースに作成したアプリは、所属するスペースをあとから変更できません」「また、ゲストスペース以外で作成したアプリは、あとからゲストスペース内に移動できません」と、双方向とも不可であることを明記しています。操作一覧を見ても、アプリの所属スペースの変更は管理者・通常ユーザー・ゲストのいずれにも許可されていません。
受託・制作の現場でまず思いつくのは「社内で作り込んだ既存アプリを、そのまま顧客に見せる」という進め方です。これはできません。 顧客に見せるアプリは、最初からゲストスペースの中に作る必要があります。既存アプリを共有したい場合は、ゲストスペース内に作り直すことになります。
5. 複数スレッド設定は、一度ONにするとOFFに戻せない
公式ヘルプは[スペースのポータルと複数のスレッドを使用する]について「1つのスレッドのみ使用するスペースを、複数のスレッドを持つスペースに変更したい場合にチェックを付けます」「いったんチェックを付けて保存すると、チェックを外すことはできません」としています。あとからONにはできますが、一度ONにするとOFFには戻せません。
はじめの2つが意味するのは、「とりあえずゲストで招いて、必要になったら通常ユーザーにする」という運用ができないということです。区分を変えたい場合は、新しくユーザーを作り直す前提になります。3つ目は、無料化を狙って共通化を依頼する以上、相手に不可逆な操作をお願いすることになるという点です。依頼の前に説明しておく必要があります。4つ目が意味するのは、顧客に見せる範囲を、アプリを作り始める前に決めておく必要があるということです。そして5つ目は、スレッド構成を分けるかどうかもONにする前に決め切る必要があるということです。
ゲストスペースの上限(100個・500個)は効いてくるのか
ゲストスペースには作成できる数の上限があります。ライトコースで100個、スタンダード・ワイドコースで500個です。上限に達すると新しいゲストスペースは作成できません。
この数字は多くの解説記事に載っていますが、自社にとって実際に効いてくる制約なのかまで踏み込んだものは見当たりません(2026年9月1日時点で確認した範囲)。結論から言うと、次のように考えられます。
情報の分離を優先するなら、運用は「顧客1社につき1つのゲストスペース」が基本になります。この前提で数えると、ライトコースで100社、スタンダード・ワイドコースで500社まで持てる計算です。1社1スペース運用を前提とすれば、受託・制作・コンサルの規模感でこの上限に達することは考えにくいはずです。
つまりスペースの上限数は、多くの場合ボトルネックになりません。先に効いてくるのは、上限ではなく人数に比例する課金のほうです。
ただしライトコースだけは別の制約が先に来ます。ライトコースはアプリ数の上限が200個で、スペース数の上限100個に対して1スペースあたり2個の計算です。顧客ごとにスペースを分け、1社に複数のアプリを用意する運用では、スペース数よりアプリ数のほうが先に上限に当たります。ゲスト単価を下げる目的でライトコースを検討する場合は、この点も合わせて見ておく必要があります。
| 見るべき順序 | 指標 | 理由 |
|---|---|---|
| 1番目 | 社外の合計人数 | 毎月の費用に直接比例する |
| 2番目 | 案件終了後の停止・削除と契約数の削減 | 契約数を減らすまで課金が続く |
| 3番目 | アプリ数(ライトコースのみ) | 上限200個。1社に複数アプリを置くとスペース数より先に当たる |
| 4番目 | ディスク使用量 | 契約ユーザー数×5GB。ゲストは枠を増やさないが消費する |
| 5番目 | ゲストスペースの数 | 100個・500個に達することは稀 |
なお、アカウントを共通化できるゲストスペースの数には上限がないと公式のFAQに記載があります。ただしこれは相手が参加する他社ドメインのゲストスペース数の話です。一方、別の公式FAQ(エラーコード GAIA_SSO06)は「通常ユーザー1名を、1つのドメイン内の複数のゲストユーザーとアカウント共通化することはできません」としており、自社ドメイン内では相手1名につき共通化できるゲストユーザーは1つです。同じ人を別のメールアドレスで複数のゲストスペースに招いた場合、無料化できるのは1つに限られます。逆に言えば、同じゲストアカウントを複数のゲストスペースに参加させれば、1つの共通化のままで足ります。共通化を活かすなら、同じ相手にゲストスペースごとの別アカウントを作らないことが前提になります。
ゲストスペースの数を気にして1つのスペースに複数の顧客をまとめると、顧客同士が同じスペースに同席する構成になり、分離という本来の目的を損ないます。上限に余裕がある以上、1社1スペースを崩す理由はほとんどありません。
向いているケース・向いていないケース
ここまでの内容を、導入判断の形にまとめます。
向いているケース
- 見える範囲を確実に区切りたい。顧客ごとに情報を完全に分離する必要があり、他の顧客の情報が絶対に見えてはいけない
- すでにkintoneを本体で使っている。社内の業務がkintone上に乗っており、そこに社外の人を部分的に招きたい
- 招く人数が限定的で読める。1社あたり2〜3名程度で、人数が急に増えない
- 相手もkintoneユーザーである。グループ会社や関連会社など、共通化による無料化が現実的に見込める
- やり取りの中心がPC。顧客側もデスクワーク中心で、モバイルアプリの非対応が問題にならない
- 見える範囲を、あとから説明できる形にしておきたい。どの顧客に何を開示したかをスペース単位で示せ、操作は監査ログにも残る
向いていないケース
- 顧客側の人数が多い、または読めない。人数比例の課金のため、確認に関わる人が増えるほど費用が膨らむ
- 顧客にスマートフォン中心の利用者がいる。モバイルアプリが使えないため、確認の頻度が落ちやすい
- kintone本体を使っていない。ゲストユーザーのみでは契約できないため、社外共有だけを目的にkintoneを導入すると、本体の最小10ユーザー分の費用が先に発生する
- 顧客側に接続制御の要件がある。ゲストユーザーにはIPアドレス制限やセキュアアクセスを設定できない
- 社外の人を将来的に社内メンバーとして迎える可能性がある。ゲストから通常ユーザーへの変更ができない
迷ったら、この順で実額を出す
上の2つのリストが定性的な判断軸だとすれば、こちらは金額での判断です。次の順に実額を出すと結論が見えます。
- 本体の費用。kintoneを未導入なら、社外共有だけのためにスタンダードコース10ユーザー分の月18,000円(税抜)を負担する価値があるかを先に検討します。あわせて、やめるときの条件も確認しておきます。年額サービスは「サービス期間の途中で解約はできません」と公式に明記されており、また「キントーン自体を解約すると、ゲストユーザーも同時に解約されます。社内環境だけでなく、ゲストスペース内のデータも閲覧できなくなります」とされています。顧客とのやり取りをゲストスペースに集約している場合、解約はその記録へのアクセスを失うことも意味します。
- 社外の合計人数を数える。スタンダードコースなら10名で月14,400円、20名で月28,800円、30名で月43,200円が、本体費用への上乗せになります(いずれも税抜)。
- 1年後の想定人数で2をやり直す。その金額でも許容できるなら進めてよく、超えるなら1社あたりの上限人数を契約前に数字として確定させます。
ここまでで「kintoneのゲストスペースでは合わない」と判断した場合は、プロジェクト管理ツール12製品を顧客共有の観点で比較した記事で、各製品の社外ユーザー費用を公式の実額で確認できます。同じ「顧客を招く」観点でBacklogを検討するなら、Backlogに顧客を招待する手順と権限設計で権限の設計とプラン改定後のコストを扱っています。顧客に見せる面そのものをカテゴリとして検討するなら、顧客ポータルの解説が出発点になります。
ゲストユーザーの招待・確認・停止・削除の手順
招待を始める前に決めておくこと
操作に入る前に、運用として最初に一度だけ決めておく項目があります。
- 招く人数の上限(1社あたり何名までか)
- 案件終了時にゲストユーザーを停止・削除する運用と、その担当者
- 停止・削除や共通化のあと、ゲストユーザーの契約数を減らす手順と担当者
- ゲストスペースを作成できるユーザーを絞る([kintoneシステム管理]で制限できる)
この4項目は費用に直結します。とくに3つ目は忘れられがちです。
4つ目は社内ルールではなく設定で担保できる点が重要です。公式ヘルプは「ゲストスペースを作成できるユーザーを[kintoneシステム管理]で制限できます」としています。誰でもゲストスペースを作れる状態のままだと、招待とそれに伴う課金が管理の外で増えていきます。人数の上限を決めるだけでなく、作れる人を絞っておくのが確実です。
そのうえで、1人を招待するたびに次を確認します。
- この相手は、今後も社外の人として扱い続けるか(将来的に社内メンバーやグループ会社の一員として迎える可能性はないか)
- 相手に見せる範囲は、このゲストスペース内に収まっているか
- 相手にスマートフォンでの利用ニーズはあるか(あるならモバイルアプリが使えないことを事前に伝えたか)
- 社内向けに入れたJavaScriptやCSSのカスタマイズが効かないことを、説明の前提に織り込んだか
- 相手はすでにkintoneを契約しているか(共通化による無料化の可能性があるか)
- 共通化を依頼する場合、解除できないことを相手に説明したか
ここから実際の操作手順です。
ゲストスペースを作成する
前提として、ゲストスペース機能が有効になっている必要があります。公式ヘルプは「ゲストスペースを追加するには、kintoneのシステム管理の[利用する機能の選択]で、スペース機能とゲストスペース機能を有効にしている必要があります」と案内しています。なおスペース機能を無効にするとゲストスペースも無効になり、ゲストスペースだけを有効にすることはできません。
- kintoneでスペースを追加する際に、ゲストスペースとして作成します
- スペース名と、参加する社内メンバーを設定します
- 必要に応じて、スペース内にアプリやスレッドを用意します
アプリの作成は社内側の作業です。ゲストユーザーはゲストスペース内にアプリを新規作成できないため、招待する前に必要なアプリを用意しておきます。
ゲストユーザーを招待する
招待は、作成したゲストスペース側から行います。
- ゲストスペースを開き、右上の[オプション]から[ゲストメンバーを管理]を選びます
- [ゲストを招待]をクリックします
- [宛先]に相手のメールアドレスを入力します([本文]にメッセージを添えられます)
- [招待メール送信]で招待メールが届きます
実務で押さえておきたい点が2つあります。1つ目は、招待メールの有効期間が1週間であること。2つ目は、差出人が no-reply@cybozu.com のため、顧客側の迷惑メールフィルタに入ることがある点です。事前に一報を入れておくと、案件の立ち上がりで止まりません。
ゲストユーザーのステータスは[招待中][使用中][停止中]の3種類です。招待メールを送っただけの状態は[招待中]で、相手がログインすると[使用中]に変わります。
相手側の初回設定
招待メールを受け取った相手が、メール内のリンクをクリックして初期設定を行います。ここで相手がパスワードなどを設定して、はじめてゲストスペースにアクセスできるようになります。
この初回ログインの時点で、30日間の試用期間が始まります。招待メールを送った日ではなく、相手が実際に入った日が起点です。
相手がすでにkintoneを契約していて、無料化を狙う場合は、この後に相手側でアカウントの共通化を操作してもらいます。手順と、招待した側が代行できない理由は、前述の関門3で述べたとおりです。
登録状況とライセンスの使用状況を確認する
kintoneのシステム管理にある[ゲストユーザー管理]画面で、状況を確認できます。公式ヘルプによれば、この画面には「ゲストユーザーとしてkintoneに参加しているユーザーの一覧や、ライセンスの使用状況が表示されます」。
ただし、確認したい内容によって見る画面が違います。 公式ヘルプは[ゲストユーザーの一覧]について「招待中のゲストユーザーは、[ゲストユーザーの一覧]には表示されません」と明記しており、ここでのステータスは「[使用中]と[停止中]の2種類です」としています。
つまり「招待メールを送ったが、まだログインしていない相手」を確認したい場合、[ゲストユーザー管理]画面では見つかりません。招待の状況は[スペースの管理]ダイアログの[ゲスト]タブで確認します。こちらでは[招待中][使用中][停止中]の3つの状態が表示されます。
- 招待が届いて使い始めたかを確認したい → [スペースの管理]→[ゲスト]タブ
- 課金対象の頭数とライセンスの使用状況を確認したい → [kintoneシステム管理]→[ゲストユーザー管理]
ただし公式ヘルプは「ゲストがスペースに参加しないまま、招待メールの有効期限が過ぎた場合、招待したゲストは[ゲスト]タブに表示されなくなります」としています。期限が切れるとどちらの画面からも消えるため、招待したはずの相手が見つからない場合は、まず再送を疑うのが早道です。
案件開始前は前者、費用の棚卸しでは後者を見ることになります。
案件が終了したら——まず停止、削除は慎重に
案件が終了したときの選択肢は[停止中]にするか、削除するかの2つです。費用の面では両者は同じで、どちらも[有料ゲストユーザー数]から外れます(そして、どちらも契約数までは減らしません)。
違いは元に戻せるかどうかです。公式FAQは停止について「『停止中』のゲストユーザーには、ライセンスの契約は不要です。また、有料ゲストユーザー数にもカウントされません」「ステータスを『使用中』に変更することで、ゲストユーザーの使用を再開できます」としています。停止は可逆です。
一方、削除には戻せない副作用があります。公式FAQは「ゲストユーザーを削除すると、再度同じメールアドレスで招待しても、kintone上では新規ゲストユーザーとして認識します」「それまで該当のゲストユーザーで登録していたデータは、同名の別ユーザーが登録したものと認識されます」と説明しています。過去のレコードの登録者情報が、同名の別人によるものとして扱われます。
費用効果が同じである以上、まず[停止中]にするのが既定の運用です。削除は、履歴を残す必要がない場合か、意図的に試用期間をリセットしたい場合に限ります。同じ顧客と継続的に取引があるなら、停止のまま置いておくほうが安全です。
なお、削除して同じメールアドレスで再招待すると、試用期間をもう一度使えます。ただしこれで避けられるのは契約数の買い足しであって、すでに申し込んでいる契約数を減らさない限り請求そのものは下がりません。公式は「以下の操作をすることで、ゲストユーザーを再試用できます」と手順として案内しており、そのうえで「同一のメールアドレスを使用してゲストユーザーを再試用した場合でも、新しいゲストユーザーとして扱われます」と補足しています。短期のスポット案件が断続的に発生する相手には有効ですが、上の副作用と表裏一体である点は理解しておく必要があります。
削除する場合の注意
削除する場合の手順にも落とし穴があります。公式ヘルプは、ゲストスペースからゲストを外す操作について「この手順では、kintone自体からゲストユーザーは削除されません」と明記しています。スペースから外しただけではゲストユーザーは残り、[有料ゲストユーザー数]も減りません。
公式ヘルプは「ゲストユーザーのステータスやkintoneの利用状況を確認して、不要なアカウントがあれば、[ゲストユーザーの一覧]で、ゲストユーザーを削除できます」と説明しています。
ここが費用管理上の要点です。停止や削除に加えて契約数を減らすところまでが1つの手順です(理由と削減タイミング、パートナー経由の場合の窓口は「請求は『契約数』に対して発生する」で述べました)。案件の終了と同時に棚卸しする運用を決めておかないと、使われていないアカウントの契約が積み上がっていきます。
よくある質問(FAQ)
kintoneのゲストユーザーとは何ですか?
顧客・取引先・協力会社など社外の人を「ゲストスペース」に招待し、そのスペース内の情報だけを利用してもらうためのユーザー区分です。サイボウズの公式ページは、ゲストスペースを「顧客・取引先・協力会社など、社外の人を『ゲストユーザー』として招待し、キントーンを利用できるスペースのことです」と定義しています。通常のユーザーと違い、全体のポータルや他のスペースにはアクセスできません。
kintoneのゲストユーザー料金はいくらですか?
本体の契約コースによって変わります。ライトコースは1ユーザー月額700円、スタンダード・ワイドコースは1ユーザー月額1,440円です(いずれも税抜、一般法人の場合。2026年9月1日にサイボウズ公式ページで確認)。学校法人・官公庁などが対象のアカデミック・ガバメントライセンスでは、ゲストユーザーはスタンダード870円・ライト420円と別価格です。ゲストユーザーは1ユーザーから契約できますが、ゲストユーザーのみで契約することはできず、kintone本体の契約が前提になります。
kintoneのゲストスペースはいくらですか?
ゲストスペース自体に、スペース単位の料金はかかりません(金額はいずれも税抜・一般法人の場合)。課金されるのはゲストスペースに招待するゲストユーザーの人数で、1ユーザーあたり月額700円または1,440円(税抜)です。作成できるゲストスペースの数には上限があり、ライトコースで100個、スタンダード・ワイドコースで500個までです。
kintoneのゲストユーザーは無料ですか?
2つの意味で無料になる場合があります。1つは試用期間です。ゲストユーザーがはじめてkintoneにログインすると自動的に30日間のお試し期間が始まり、その間は費用が発生しません。お試し期間が終了すると、ライセンスは自動的に[試用]から[有料]に切り替わります。もう1つはアカウントの共通化ですが、こちらは無条件ではありません。招待する相手がすでに自社でkintoneを契約している場合、アカウントを共通化するとゲストユーザーの利用料が無料になります。共通化したアカウントは契約ユーザー数にカウントされなくなるためです。ただし成立には、相手の自社kintoneが試用期間中でないこと(ゲスト自身の30日間の試用期間とは別のものです)、共通化の操作を相手自身が行うこと、一度共通化すると解除できないこと、を満たす必要があります。さらに公式ヘルプには「アカウントを共通化してゲストユーザーの利用料が無料になっても、請求金額は自動的には変わりません」と記載があり、請求を下げるには自社側でゲストユーザーの契約数を減らす手続きが別途必要です。これはゲストユーザーのライセンス利用料が契約数に対して発生する仕組みのためで、ゲストを停止・削除した場合も同様に、契約数を減らすまで請求は下がりません。さらに年額契約の場合、契約数を減らせるのは契約更新時のみです。相手がkintoneを契約していない場合は、通常どおり課金されます。
kintoneのゲストユーザーにはどんな制限がありますか?
ゲストユーザーには管理権限がないため、複数の制限があります。招待されたゲストスペース内の環境のみを利用でき、全体のポータルや他のスペースにはアクセスできません。ゲストスペースの基本設定の変更、スペースの削除、参加メンバーの追加や削除はできません。ゲストスペース内にアプリを新規作成することや、スペース内のアプリを設定変更・削除することもできません。またkintoneモバイルアプリは利用できず、必要な場合はモバイルのWebブラウザーからアクセスします。JavaScriptやCSSを使用したkintone全体のカスタマイズは適用されず、IPアドレス制限やBasic認証、セキュアアクセスの設定もできません。アクセス権や通知では組織・グループの指定ができず、一名ずつ指定する必要があります。ただし認証がすべて弱くなるわけではなく、パスワードの強度に関する設定とログインセッションの有効期間は適用され、二段階認証も設定できます([パスワードの変更][パスワードのリセット]は禁止してもゲストが変更・リセットでき、[パスワードの変更要求]は有効にしてもゲストには要求されません)。
kintoneのゲストスペースでできないことは何ですか?
ゲストスペースに招待された人は、そのスペースの外にある情報にアクセスできません。またゲストスペースの中では、スペースの基本設定の変更や削除、参加メンバーの追加や削除、アプリの新規作成や設定変更、モバイルアプリの利用、組織・グループの指定ができません。運用面では、ゲストスペースの外で作ったアプリを中へ移すことも、中で作ったアプリを外へ出すこともできません。JavaScriptやCSSによるkintone全体のカスタマイズも適用されません。加えて、作成できるゲストスペースの数に上限があり、ライトコースで100個、スタンダード・ワイドコースで500個を超えると新しく作成できなくなります。
kintoneのゲストユーザーは使いまわしできますか?
できません。サイボウズの公式ページ「ライセンスに関するご案内(クラウド版)」には「1つのユーザーアカウントを複数人で共有することはできません」と明記されています。また「契約ユーザー数や利用ユーザー数は、cybozu.comにログインする『人』を対象にカウントします」「cybozu.comを操作や閲覧などを行う人数に合わせてライセンスを購入いただきます」とも記載されています。1つのゲストアカウントを顧客側の複数人で共有して費用を抑えることはできません。費用を下げる、または増やさない正規の打ち手は、初回ログインから30日間の試用期間に収める、招く人数を絞る、本体をライトコースにする、相手がkintone契約者である場合にアカウントを共通化する、使わないゲストを停止・削除したうえで契約数を減らす、削除して再招待し試用期間をもう一度使う、の6つです。最後の1つは、過去の登録データが同名の別ユーザー扱いになるうえ、既存の契約数を減らさない限り請求そのものは下がりません(契約数の買い足しを避けられるだけです)。
kintoneの最低人数は何人ですか?
kintone本体のライトコースとスタンダードコースは、最小10ユーザーからの契約です。ワイドコースは1,000ユーザーからになります。一方でゲストユーザーは1ユーザーから契約できます。そのため社内で使う人が10人未満でも、本体は10ユーザー分の費用が発生し、ゲストユーザーの費用はそこへの上乗せになります。
ゲストユーザーを通常のkintoneユーザーに変更できますか?
できません。サイボウズの公式FAQは、ゲストユーザーをkintoneのユーザーに変更することはできないと明記しています。またkintoneのユーザーをゲストユーザーに切り替えることもできず、逆方向の変更もできません。区分を変えたい場合は、あらためてユーザーを作成する必要があります。将来的に社内メンバーとして迎える可能性がある相手をゲストで招く場合は、この点を事前に考慮してください。
kintoneのスペースとゲストスペースの違いは何ですか?
最大の違いは、社外の人を招けるかどうかと、アクセスできる範囲です。通常のスペースは社内のユーザーが使うもので、参加者は全体のポータルや他のスペースにもアクセスできます。ゲストスペースは社外の人をゲストユーザーとして招待できるスペースで、招待された人はそのスペース内の情報しか見られません。情報の分離を目的とするなら、顧客1社につき1つのゲストスペースを用意する運用が基本になります。
kintoneのゲストスペースが向かないのはどんなケースですか?
主に5つのケースが考えられます。1つ目は、顧客側の人数が多い、または読めない場合です。人数に比例して課金されるため、確認に関わる人が増えるほど費用が膨らみます。2つ目は、顧客にスマートフォン中心の利用者がいる場合です。ゲストユーザーはモバイルアプリを使えないため、確認の頻度が落ちやすくなります。3つ目は、kintone本体を使っていない場合です。ゲストユーザーのみでは契約できないため、社外共有だけを目的に導入すると本体の最小10ユーザー分の費用が先に発生します。4つ目は、顧客側に接続制御の要件がある場合です。ゲストユーザーにはIPアドレス制限やセキュアアクセスを設定できません。5つ目は、招いた相手を将来的に社内メンバーとして迎える可能性がある場合です。ゲストユーザーから通常ユーザーへの変更はできません。
まとめ
kintoneのゲストユーザーとゲストスペースについて、費用と使いどころを整理しました。要点は次のとおりです。
料金。ゲストユーザーは、ライトコースで1ユーザー月額700円、スタンダード・ワイドコースで1ユーザー月額1,440円(いずれも一般法人の場合)です(税抜)。ただしその手前に、kintone本体の費用があります。ライト・スタンダードコースは最小10ユーザーからのため、スタンダードコースなら月18,000円が先に発生し、ゲスト費用はそこへの上乗せです。顧客3社(各3名)を招くなら、本体18,000円+ゲスト12,960円で月30,960円(税抜)になります。
無料化。「アカウント共通化で無料になる」は事実ですが、支払いが実際に減るまでには5つの関門があります。相手がkintone契約者であること、その相手のkintoneが試用期間中でないこと、相手自身が操作すること、解除できないことを受け入れてもらうこと、そして自社側でゲストユーザーの契約数を減らすことです。最後の1つを忘れると、利用料が無料になっても請求は下がりません。しかも年額契約では、契約数を減らせるのは更新時のみです。関門の大半が相手側にあるため、業種の異なる一般企業の顧客を招く場合は、課金される前提で見積もるのが安全です。
選ぶ理由。ゲストの単価は本体に対して、スタンダードコースで80%、ライトコースで70%です。本記事が想定する規模帯で選ばれることが多いスタンダードコースでは、2割しか安くなりません。価格を目的に選ぶ機能ではなく、社外の人が見られる範囲を確実に区切るための機能です。この目的に合っているかどうかで判断してください。
不可逆な仕様。ゲストから通常ユーザーへの変更、その逆、アカウント共通化の解除は、いずれもできません。加えて、ゲストスペースの外で作ったアプリをあとから中に移すことも、中で作ったアプリを外に出すこともできず、複数スレッド設定も、一度ONにするとOFFには戻せません。招待する前に、この相手を今後も社外の人として扱い続けるのかと、顧客に見せる範囲をどこまでにするかを決めておく必要があります。
見るべき順序。ゲストスペースの上限(100個・500個)が問題になることは多くありません。先に効いてくるのは社外の合計人数と、案件終了後に停止・削除したうえで契約数まで減らす運用です。なお、ゲストには初回ログインから30日間の試用期間があり、その期間は費用が発生しません。
なお、kintoneは業務アプリを自社で組み立てるためのプラットフォームであり、ゲストスペースはそこに社外の人を部分的に招く機能です。本記事を運営しているTerasuは、顧客と共有するページ・資料の確認状況・決定の記録をまとめる、顧客と進める案件の共有ワークスペースというカテゴリの製品で、kintoneと同じ土俵にあるわけではありません。
費用の面では、Terasuには社外ユーザーを無料にする仕組みがありません。Starterは月9,800円に3名、Businessは月29,800円に10名が含まれ、それを超えると1ユーザーあたり2,480円(Starter)または2,980円(Business)が加算されます。当社の利用規約は「表示価格は、特段の記載がない限り消費税別です」としており、kintoneの1,440円も税抜のため、同じ税基準で比べて1人あたりの単価はkintoneのゲストユーザーのほうが安くなります(最新の金額は当社の料金ページをご確認ください)。
総額で見ても結論は変わりません。本記事の試算例(社内10名・スタンダードコース+顧客3社×3名の計19名)で並べると、kintoneは本体18,000円+ゲスト12,960円で月30,960円(税抜)、Terasuは Starter で月49,480円、Business で月56,620円です(いずれも税抜。当社の公表値)。社外の人数が増えるほど、kintoneのほうが費用面では有利になります。社内の業務がすでにkintone上に乗っていて、招く社外の人数が読める範囲に収まっているのであれば、ゲストスペースで十分に成立します。
参考にした一次ソース
本記事のkintoneの料金・仕様は、以下のサイボウズ公式ページの記載に基づいています(すべて2026年9月1日確認)。タイトルは同日時点の実タイトルで、同名ページがある場合のみ括弧で区別しています。当社の料金は自社の公表値です。
| 内容 | ページ(タイトルは2026年9月1日時点の実タイトル) |
|---|---|
| kintone本体の料金、最低契約ユーザー数、ゲストユーザーの料金(オプション欄) | kintone「料金」(kintone.cybozu.co.jp/price/) |
| ゲストスペースの定義、通常ユーザーとの違い、ゲスト料金とスペース上限、契約体系、年額の残り月数購入、モバイルアプリ・宛先指定の制限 | kintone「ゲストスペース・ゲストユーザー」(kintone.cybozu.co.jp/feature/guestprice/) |
| ゲストユーザーが利用できない機能や操作、アプリ単位のカスタマイズは適用される旨 | kintone ヘルプ「ゲストユーザーには利用できないkintoneの機能や操作を知りたい」(jp.kintone.help/k/ja/trouble_shooting/guest/guest_unavailable) |
| アカウント共通化の手順と2つの経路、解除不可、試用期間中の制限、未読通知の表示 | kintone ヘルプ「ゲストの操作:ゲストアカウントをkintoneアカウントと共通化する」(jp.kintone.help/k/ja/guest/operation/guestuser_linkaccount) |
| 共通化と契約数の関係、請求は自動では変わらない旨 | kintone ヘルプ「「アカウント共通化」とは何ですか?」(jp.kintone.help/k/ja/trouble_shooting/guest/common_account) |
| [ゲストユーザー管理]画面でできること、削除の方法 | kintone ヘルプ「[ゲストユーザー管理]画面でできること」(jp.kintone.help/k/ja/guest/manage/manage_guest) |
| 請求が契約数に対して発生すること、停止中は有料ゲストユーザー数に含まれないこと | kintone ヘルプ「ゲストユーザーのライセンスの使用状況を確認する」(jp.kintone.help/k/ja/guest/manage/confirm_guest_license) |
| ゲストの30日間の試用期間、[停止中]への変更、自動的には課金されない旨 | kintone ヘルプ「ゲストユーザーはお試しできますか?」(jp.kintone.help/k/ja/trouble_shooting/guest/guest_trial) |
| 招待手順、招待メールの有効期間、差出人、ステータス | kintone ヘルプ「ゲストユーザーの管理(ゲストの招待)」(jp.kintone.help/k/ja/guest/space/guestspace_invite) |
| アカウントの共有不可、ライセンスのカウント基準、契約数を減らせるタイミング(月額・年額) | サイボウズ「ライセンスに関するご案内 - (クラウド版)」(cybozu.co.jp/products/license/cloud/) |
| ゲスト⇄通常ユーザーの相互変換が不可であること | kintone FAQ「ゲストユーザーをkintoneのユーザーに変更できますか?」(kintone-faq.cybozu.co.jp/hc/ja/articles/40851200267545) |
| 共通化できるゲストスペース数に上限がないこと | kintone FAQ「複数のゲストスペースとアカウントを共通化できますか?」(kintone-faq.cybozu.co.jp/hc/ja/articles/40851201291673) |
| ゲストスペース機能の有効化、作成できるユーザーの制限、アプリの所属スペースを変更できないこと、IPアドレス制限が適用されないこと | kintone ヘルプ「ゲストスペース」(jp.kintone.help/k/ja/guest) |
| ゲストスペースを追加する前提条件(スペース機能とゲストスペース機能の有効化)、複数スレッド設定を一度ONにするとOFFに戻せないこと | kintone ヘルプ「ゲストスペースを追加する」(jp.kintone.help/k/ja/guest/space/guestspace_add) |
| ゲストアカウントに適用される/適用されないログインのセキュリティ設定(パスワードポリシーの内訳、セッション、SAML、2要素認証、ロックアウト、ログインの簡略化、ログイン失敗時のメッセージ、API利用時の認証) | kintone ヘルプ「ゲストに適用される[ログインのセキュリティ設定]」(jp.kintone.help/k/ja/guest/manage/guest_login_security) |
| ゲストユーザーに二段階認証を設定する手順 | kintone ヘルプ「ゲストユーザーの二段階認証を有効にする」(jp.kintone.help/k/ja/guest/manage/guestauth) |
| [ゲストユーザーの一覧]に招待中が表示されないこと、ステータスが2種類であること | kintone ヘルプ「ゲストユーザーの一覧を確認する」(jp.kintone.help/k/ja/guest/manage/confirm_guest_list) |
| ゲストスペース内のアプリで組織・グループが使えず、一名ずつ指定すること | kintone ヘルプ「ゲストスペース内のアプリで「組織」や「グループ」を利用できますか?」(jp.kintone.help/k/ja/trouble_shooting/guest/guestspace_app_group) |
| 削除して再招待することで再試用できること、同一メールでも新しいゲストユーザーとして扱われること | kintone ヘルプ「ゲストユーザーの試用が終了しました。再試用できますか?」(jp.kintone.help/k/ja/trouble_shooting/guest/guest_users_trial) |
| 試用期間終了後にライセンスが不足している場合の通知メールが毎日送信され停止できないこと | kintone ヘルプ「ゲストユーザーの30日間のお試し期間が終了したらどうなりますか?」(jp.kintone.help/k/ja/trouble_shooting/guest/end_guest_trial) |
| [停止中]はライセンス契約が不要で有料ゲストユーザー数に含まれず、[使用中]に戻せること | kintone FAQ「ゲストユーザーの利用を停止する方法を教えてください。」(kintone-faq.cybozu.co.jp/hc/ja/articles/40851218446873) |
| スペースを無効にするとゲストスペースも無効になること | kintone FAQ「スペース、ゲストスペース、ピープル・メッセージの利用を停止したいです。」(kintone-faq.cybozu.co.jp/hc/ja/articles/40851219019673) |
| ディスク容量が契約ユーザー数×5GBで、ゲストユーザーが含まれないこと | kintone ヘルプ「ディスク容量とディスク使用量を知りたい」(jp.kintone.help/k/ja/trouble_shooting/disk_data/confirm_storage_capacity) |
| ゲストのログイン・ダウンロード・書き出しが監査ログに記録されること | kintone ヘルプ「ゲストスペース(監査ログ)」(jp.kintone.help/k/ja/admin/audit_logs/log/guest) |
| ライトコースでAPI・JavaScriptによるカスタマイズができないこと | kintone FAQ「コースごとの違いを教えてください。」(kintone-faq.cybozu.co.jp/hc/ja/articles/40851211561241) |
| コース変更の制約と、ゲストユーザーのコースを同時に変更する必要があること | kintone FAQ「kintoneの契約コースを変更できますか?」(kintone-faq.cybozu.co.jp/hc/ja/articles/40851227137049) |
| 年額サービスの無償利用期間と契約期間の関係 | kintone FAQ「発注後、いつから課金が開始されますか?」(kintone-faq.cybozu.co.jp/hc/ja/articles/55613653600025) |
| アカデミック・ガバメントライセンスのゲストユーザー価格(870円・420円) | サイボウズ「アカデミック・ガバメントライセンス」(npo.cybozu.co.jp/academic/) |
| 削除後の再招待時のデータ帰属、同一ドメイン内の共通化は1名につき1つ(GAIA_SSO06)、共通化後の後任対応(GAIA_IIU01)、試用環境では共通化不可(GAIA_UN11) | kintone FAQ「ゲストユーザーでログイン/ アカウント共通化できません。」(kintone-faq.cybozu.co.jp/hc/ja/articles/46127364065817) |


