
kintoneゲストユーザーの料金と使いどころ|無料になる条件を公式情報で検証【2026】
kintoneのゲストユーザーとは、顧客・取引先・協力会社など社外の人を「ゲストスペース」に招待し、そのスペース内の情報だけを利用してもらうためのユーザー区分である。通常のユーザーと違い、全体のポータルや他のスペースにはアクセスできない。料金は本体の契約コースに応じて1ユーザー月額700円または1,440円(税抜)で、kintone本体の契約とは別に加算される。
この記事のポイント(TL;DR)
- ゲストユーザーの料金は、ライトコースが1ユーザー月額700円、スタンダード・ワイドコースが1ユーザー月額1,440円です(税抜)。kintoneの料金・仕様は2026年9月1日にサイボウズ公式ページで確認した記載に基づいています(記事末に参照元を列挙しています)。
- 見落とされがちですが、kintone本体のライト・スタンダードコースは最小10ユーザーからの契約です。ゲストを1人も招かなくてもスタンダードコースなら月18,000円(税抜)が先にかかり、ゲスト費用はそこへの上乗せになります。
- ゲストには初回ログインから30日間の試用期間があり、その間は費用が発生しません。30日以内に終わる案件なら、ゲスト費用はかからずに済みます。
- 課金は契約数に対して発生します。そのためゲストを停止・削除しただけでは請求は下がりません。契約数を減らす手続きまで行って、はじめて支払いが減ります。
- 「アカウントの共通化で無料になる」という情報が広く出回っていますが、支払いが実際に減るまでには5つの関門があります。とくに公式ヘルプが明記している「アカウントを共通化してゲストユーザーの利用料が無料になっても、請求金額は自動的には変わりません」という点に触れている解説は、2026年9月1日時点で確認した範囲では見当たりませんでした。
- ゲストの単価は、スタンダードコースでは本体の80%、ライトコースでは70%です。スタンダードコースなら2割しか安くならない代わりに機能制限を負うため、ゲストを選ぶ理由は価格ではなくアクセス範囲の分離にあります。
- ゲストから通常ユーザーへの変更、その逆、アカウント共通化の解除——この3つはあとから戻せません。「とりあえずゲストで招く」運用ができない点に注意してください。
kintoneのゲストユーザー・ゲストスペースとは
kintoneのゲストスペースとは、社外の人を招いて情報を共有するための専用スペースです。サイボウズの公式ページ(ゲストスペース・ゲストユーザー)は「『ゲストスペース』とは、顧客・取引先・協力会社など、社外の人を『ゲストユーザー』として招待し、キントーンを利用できるスペースのことです」と定義しています。そこに招待された社外の人がゲストユーザーです。
つまり、この機能の本質は「社外の人を安く入れる仕組み」ではなく、社外の人が見られる範囲を1つの部屋に閉じ込める仕組みです。この理解が、後述する料金の判断にそのまま効いてきます。
通常ユーザーと何が違うのか
もっとも大きな違いは、アクセスできる範囲です。同じ公式ページは「通常のユーザーは、全体のポータルや複数のスペースにアクセスすることができるのに対し、ゲストユーザーは、招待されたゲストスペース内の環境のみをご利用いただきます」と説明しています。
| 比較軸 | 通常のユーザー | ゲストユーザー |
|---|---|---|
| 全体ポータルへのアクセス | できる | できない |
| 複数スペースへのアクセス | できる | 招待されたゲストスペース内のみ |
| 1ユーザーあたりの月額 | 1,000円〜3,000円(コース別の内訳は次章) | 700円または1,440円(同上) |
| 最小ユーザー数 | ライト・スタンダードコースは10ユーザー、ワイドコースは1,000ユーザー | 1ユーザーから |
| 単独での契約 | — | できない(kintone本体の契約が前提) |
価格はいずれも1ユーザーあたりの月額・税抜です。ゲストユーザーは「1ユーザーよりご契約いただけます」と公式に明記されています。一方で「ゲストユーザーのみで契約することはできません」ともあり、kintone本体を契約していることが前提です。
ゲストスペースは隔離された部屋である
ゲストスペースは、通常のスペースとは別物として扱われます。社外の人が入ってくるのは常にこの隔離された部屋の中だけで、社内側が普段使っているポータルや他のスペースは見えません。
この分離の強さは、社外共有の安心材料になります。ただし裏返しとして、ゲスト側の使い勝手にはいくつかの制約がかかります。何ができて何ができないのかは、後の章で個別に見ていきます。
なお、顧客と一緒に案件を進める働き方そのものの整理は、クライアントワークの解説記事にまとめています。
kintoneのゲストユーザーの料金はいくらか
kintoneのゲストユーザーの料金は、本体の契約コースによって2種類に分かれます。ここでは単価だけでなく、実際に顧客を招いたときに毎月いくら出ていくのかまで計算します。
単価は700円と1,440円の2種類
2026年9月1日時点の公式料金は次のとおりです。この数値は、kintoneの料金ページのオプション欄と、ゲストスペースの機能紹介ページの2か所で同じ記載を確認しています。
| 本体の契約コース | ゲストユーザーの月額(1ユーザー) | ゲストスペースの上限 |
|---|---|---|
| ライトコース | 700円 | 100個 |
| スタンダードコース | 1,440円 | 500個 |
| ワイドコース | 1,440円 | 500個 |
価格はいずれも1ユーザーあたりの月額・税抜です。公式ページには「上記は税抜き料金です」と明記されています。課金の期間については、ゲストユーザーの料金ページに「ゲストユーザーのコース(ライト・スタンダード・ワイド)及び契約区分(月額・年額)はkintone本体の契約体系に準じます」とあります。本体を月額で契約していればゲストも月額、年額であればゲストも年額という考え方です。
ゲスト費用の前に、本体10ユーザー分が固定でかかる
ゲストの単価だけを見ると安く感じますが、実際の支出を考えるときにはその手前に固定でかかる本体費用を先に置く必要があります。ここを飛ばすと、見積もりが実態から大きくずれます。
kintone本体の料金は、ライトコースが1ユーザー月額1,000円、スタンダードコースが1ユーザー月額1,800円、ワイドコースが1ユーザー月額3,000円です(税抜)。そしてライトコースとスタンダードコースは、最小10ユーザーからの契約です。
つまりスタンダードコースの場合、社内で使う人が3人しかいなくても、10ユーザー分の月18,000円(税抜)が先にかかります。ゲストユーザーの費用は、この18,000円への上乗せとして発生します。「ゲスト1ユーザー1,440円」という数字は、この固定費を負担した状態からのスタートだと理解しておく必要があります。
社外の人数で、総額はこう動く
ゲストユーザーの課金は人数に比例します。顧客を何社招くかではなく、社外の人が合計で何人ログインするかで決まります。スタンダードコース(ゲスト1ユーザー月額1,440円)で、1社あたりの人数と顧客社数の組み合わせごとに月額を出すと次のようになります。
| 1社あたりの人数 \ 顧客社数 | 1社 | 3社 | 5社 | 10社 |
|---|---|---|---|---|
| 2名 | 2,880円 | 8,640円 | 14,400円 | 28,800円 |
| 3名 | 4,320円 | 12,960円 | 21,600円 | 43,200円 |
| 5名 | 7,200円 | 21,600円 | 36,000円 | 72,000円 |
すべて月額・税抜で、ゲストユーザー分のみの金額です。表の見方として重要なのは、3社×5名と5社×3名がどちらも15名で月21,600円になることです。社数が違っても合計人数が同じなら金額は同じで、効いているのは社数ではなく合計人数だと、表の上で確認できます。
ここに本体費用が乗ります。社内10ユーザー・スタンダードコースで顧客3社(各3名)を招く場合、本体18,000円+ゲスト12,960円で月30,960円(税抜)です。
単純に12倍すれば年間371,520円(税抜)ですが、ゲスト分は次項の試用期間があるため実額はこれより低くなります。年額で契約する場合の扱いは本体の契約体系に準じ、期中に追加する際は「ゲストユーザーの人数分の月額料金を、残り月数分ご購入いただきます。(残り月数は、1か月未満を切り捨てて計算します)」と公式に記載があります。実際の請求額は契約形態によって変わるため、年額を検討する場合は個別に確認してください。
なお、ここまでの金額はゲストが有料に切り替わったあとの月額です。試用期間中のゲストは[試用期間中のゲストユーザー数]として別に数えられ、[有料ゲストユーザー数]には含まれないため、その間は契約数を発注する必要がありません。したがって初年度に短くなるのはゲスト分だけで、最大でも11か月分です(本体は12か月分かかります)。上の例なら本体216,000円+ゲスト11か月分142,560円で、初年度は358,560円になります(税抜。30日を1か月として計算。月をまたぐ場合の課金月数は契約形態により異なります)。期中から招けば、さらに短くなります。
この増え方には、はっきりした特徴があります。顧客側の人数がそのまま毎月の固定費になるということです。担当者1人だけを招くつもりでも、実際の案件では先方の上長・情報システム担当・現場担当と、確認に関わる人は増えていきます。1社あたり3名が5名になれば、10社なら月43,200円が72,000円になります。
そのため運用設計としては、「誰を招くか」を決める前に「何人までなら招いてよいか」の上限を先に決めておくほうが安全です。
ゲストの試用期間——最初の30日は無料
見落とされやすいのですが、ゲストユーザーには試用期間があります。公式ヘルプは「ゲストユーザーがはじめてkintoneにログインすると、自動的に30日間のお試し期間が開始されます」と説明しています。起点は契約日ではなく、そのゲストが初めてログインした日です。
そして「30日間のお試し期間が終了すると、ゲストユーザーのライセンスは自動的に[試用]から[有料]に切り替わります」とあります。ただし切り替わるのはライセンスの区分であって、請求が自動で始まるわけではありません。同じ公式ヘルプは「自動的に課金されることはありません」としつつ、ライセンスがないまま使用するとサービスを使用停止することがあると案内しています。
ここから実務上の含意が2つ出ます。
- 30日以内に終わる案件なら、ゲスト費用は発生しない。短期のスポット案件で顧客に確認してもらうだけなら、試用期間の中で完結します
- 使わなくなったら、期間内にステータスを[停止中]にする。公式ヘルプは「ゲストユーザーのアカウントを使用しない場合は、kintoneシステム管理の[ゲストユーザー管理]画面で、ゲストユーザーのステータスを[停止中]に変更してください」と案内しています。停止すると[有料ゲストユーザー数]に含まれなくなります。これは請求の対象になる契約数とは別の数です(詳細は次項)
請求は「契約数」に対して発生する
本記事でもっとも重要な仕様がこれです。公式ヘルプは、ゲストユーザーのライセンス利用料について次のように説明しています。
「[有料ゲストユーザー数の契約数]に表示されている契約数分の、ゲストユーザーのライセンス利用料が発生しています」
ここで2つの数が出てきます。公式の画面表示と本記事の呼び方を、先に対応づけておきます。
| 本記事での呼び方 | 公式の表記 | 何を数えるか | 減らし方 |
|---|---|---|---|
| 契約数 | [有料ゲストユーザー数の契約数]。ライセンス案内では「契約ユーザー数」 | 申し込んでいる枠の数。請求はこれに対して発生する | 発注操作が必要(タイミングの制約は後述) |
| 有料ゲストユーザー数 | [有料ゲストユーザー数] | ライセンスが必要な頭数 | [停止中]にする/削除する/アカウントを共通化する |
⚠️ 公式ヘルプでは、文脈によってどちらも「契約ユーザー数」と読める箇所があります。本記事では請求の対象になるほうを「契約数」と書き分けます。
課金の対象は、実際に使っているゲストの人数ではなく申し込んでいる契約数です。ここから、直感に反する結論が出ます。
ゲストユーザーを停止・削除しても、それだけでは請求は下がりません。 前項で[停止中]にすると減るのは[有料ゲストユーザー数]、つまりライセンスが必要な頭数であって、すでに申し込んでいる契約数ではないからです。請求を下げるには、契約数そのものを減らす手続きが別途必要になります。両者を混同すると、停止したのに請求が変わらない、という事態になります。
さらに、契約数を減らせるタイミングにも制約があります。ゲストユーザーの契約も本体の契約体系に準じるため、cybozu.com全体のルールが適用されます。サイボウズの「ライセンスに関するご案内(クラウド版)」によれば、月額サービスは「新規発注月およびユーザー数を追加した月を除き、任意のタイミングでユーザー数を削減できます」「変更発注日の翌月1日から変更後のユーザー数が適用されます」。一方で年額サービスは「サービス期間の途中では、契約ユーザー数の追加のみ可能です」「契約ユーザー数の削減は契約更新時のみ可能です」とされています。
つまり年額で契約している場合、共通化しても停止・削除しても、次の更新まで請求は下がりません。ゲストの入れ替わりが多い運用なら、この一点だけで月額と年額の選択が変わり得ます。
この原則は、次章のアカウント共通化でもう一度、より厄介な形で出てきます。
費用を下げる打ち手
ゲストユーザーの費用を正規の方法で下げる手段は、次のとおりです。それぞれの詳細は前後の各項で扱います。
| 打ち手 | 効果 | 成立条件 |
|---|---|---|
| 30日間の試用期間を使い切る | その期間はゲスト費用が発生しない | 試用期間が終わるまで契約数を発注しないこと |
| 招く人数を絞る | もっとも確実。1社あたり1名減らせば10社で月14,400円(税抜)の差 | 社内で上限人数のルールを決められること |
| 本体をライトコースにする | ゲスト単価が1,440円から700円に下がる | 社内の使い方がライトコースの範囲で成立すること |
| アカウントを共通化する | 契約数を減らせば、対象ゲスト分の請求がなくなる | 相手がkintone契約者であることなど5つの関門をすべて越えること(次章) |
| 使わないゲストを停止・削除し、契約数も減らす | 契約数を減らして初めて請求が下がる | 削減タイミングの制約に合わせられること(月額は翌月1日から。追加した月は削減発注ができない。年額は更新時のみ) |
なお、費用を抑える目的で1つのゲストアカウントを顧客側の複数人で共有することはできません。この点は後述します。
ライトコースならゲスト単価は半分以下
ゲスト単価を下げる正攻法は、本体をライトコースにすることです。ゲストは1ユーザー月額700円になり、先ほどの3社×3名(9名)の例なら月6,300円と、スタンダードコースの12,960円から半分以下になります。本体も1,000円×10ユーザーで月10,000円になるため、合計は月16,300円(税抜)です。
ただしこれは「ゲストを安くするためにライトコースにする」という判断ではありません。ライトコースは本体側の機能が変わる選択なので、社内の使い方がライトコースの範囲で成立するかどうかが先です。ゲスト費用の差額だけを理由にコースを下げると、社内側で困ることになります。
「アカウント共通化で無料」はどこまで本当か
kintoneのゲストユーザーを調べると、ほぼ必ず「アカウントを共通化すれば無料になる」という説明に行き当たります。これは公式に書かれている事実で、間違いではありません。公式ヘルプにも「ゲストユーザーの利用料が無料になります」と明記されています。
ただし、この無料化が実際に支払いの減少につながるまでには、越えなければならない関門がいくつもあります。そして関門の中には、自社の一存では決められないものと、知らないと無料になっても払い続けてしまうものが含まれています。ここが、この機能でもっとも誤解されている部分です。
無料化の正体は[有料ゲストユーザー数]から外れること
まず仕組みを正確に押さえます。公式ヘルプは「アカウント共通化」を、kintoneを契約中のユーザーが別のkintoneのゲストスペースにゲストユーザーとして招待された場合に、両方のkintoneのアカウントを共通化することだと説明しています。
そのうえで、無料になる理由をこう書いています。「共通化したアカウントは契約ユーザー数にカウントされないため、アカウント共通化を行うことで、ゲストユーザーの利用料を無料にできます」
より正確な手がかりは、ライセンスの区分にあります。ゲストユーザーのライセンスは[試用][有料][無料]の3種類で、公式ヘルプは[無料]を「ゲストアカウントをkintoneアカウントと共通化した状態のライセンスです」と定義しています。つまり共通化とは、そのゲストのライセンスを[有料]から[無料]に移すことです。
重要なのは、これが割引ではないことです。前章の用語表でいう「契約数」(=申し込んでいる枠)が減るわけではありません。この差が、5つ目の関門になります。
支払いが実際に減るまでに越える5つの関門
公式ヘルプの記載を関門として整理すると、次の5つになります。1〜4は利用料が無料になるための条件、5は無料になった分が請求に反映されるための条件で、層が違う点に注意してください。
| # | 関門 | 誰が満たす必要があるか | 満たせないとどうなるか |
|---|---|---|---|
| 1 | 招待する相手が、すでに自社でkintoneを契約している | 相手 | 通常どおり1ユーザー月額700円または1,440円が課金される |
| 2 | 相手の自社kintoneが試用期間中ではない | 相手 | 共通化できない(公式ヘルプに「試用期間中はアカウントを共通化できません」と明記)。※公式は主語を明示していないが、条件欄の並びから相手の自社kintoneの試用期間を指すと読める。ゲスト自身の30日間の試用期間とは別 |
| 3 | 相手が自分で共通化の操作を行う | 相手 | 共通化されない。手順上、自社の管理画面からは実行できない |
| 4 | 一度共通化すると解除できないことを相手が受け入れる | 相手 | 相手の情報システム部門が承認しない可能性がある |
| 5 | 自社がゲストユーザーの契約数を減らす | 自社 | 利用料は無料でも請求金額は下がらない(次項で詳述) |
関門1から4までが、すべて相手側で満たすものである点に注目してください。無料化は自社の設定作業ではなく、相手企業に依頼して動いてもらう話です。
とくに関門3は見落とされがちです。共通化の操作は、招待された側がゲストスペースにログインし、設定から「アカウントの共通化」を選び、自社のkintoneのURLを入力して自社アカウントでログインする、という手順を踏みます。招待を受け取った時点で[kintoneアカウントで参加]から共通化する経路もあります。参加の流れの中で済むぶん、あとから設定を開いてもらうより依頼が通りやすいでしょう。いずれにしても手順上、自社の管理者が代わりに実行することはできません。
そして関門4が、依頼のハードルを上げます。公式ヘルプは「一度アカウントを共通化すると、解除できません」と明記しています。つまり相手企業に対して、取り消しのきかない設定変更をお願いすることになります。相手の情報システム部門が慎重な会社であれば、ここで止まることは十分あり得ます。
5つ目の落とし穴——請求は自動では下がらない
もっとも注意すべきなのが5つ目です。公式ヘルプには、次のようにはっきり書かれています。
「アカウントを共通化してゲストユーザーの利用料が無料になっても、請求金額は自動的には変わりません」
同じページは、対処もはっきり書いています。「請求金額を減らしたい場合には、ゲストユーザーの契約数を減らしてください。」
関門1から4までを苦労して満たし、相手に不可逆な操作までお願いしたうえで、最後の1手を忘れると支払いは1円も減りません。調査した範囲では、この一文に触れている解説を確認できませんでした(2026年9月1日時点)。無料化を前提に費用計画を立てるのであれば、共通化が完了した時点でゲストユーザーの契約数を見直す作業を、運用手順に組み込んでおく必要があります。なお前述のとおり、年額契約では契約数を減らせるのが更新時のみのため、見直しは更新前のタイミングに置くことになります。
ただし、契約数を減らせない期間でも共通化が無意味になるわけではありません。共通化した分だけ契約数に空きが出ます。公式ヘルプは、契約数(この例では公式表記も「契約ユーザー数」)5名・ゲストユーザー数3名の例で、共通化を行っていない場合は「利用可能なユーザー数は、残り2名です」、1名のアカウントを共通化した場合は「利用可能なユーザー数は、残り3名です」と説明しています。この空きには追加購入なしで次のゲストを招けるため、年額契約で契約数を減らせない期間は、空きの再利用が共通化から得られる実質的な効果になります。
無料化は相手企業の人事に左右される
もう1点、公式ヘルプが触れている論点があります。共通化したあとに、相手企業側でそのkintoneユーザーが停止または削除されると、ゲストスペースにアクセスできなくなります。ゲストユーザーとして再度招待すればアクセスは復旧しますが、その時点で無料の前提は崩れます(後任者にあらためて共通化を依頼すれば、また無料にできます)。
相手企業の担当者が異動したり退職したりすれば起こり得ることです。つまり無料化は、一度成立すれば永続する状態ではなく、相手企業の状況に依存し続ける状態だと考えておくべきです。
相手に共通化を依頼するときに伝える4項目
共通化は相手に操作してもらう必要があるため、依頼の仕方で成否が変わります。とくに「解除できない」という性質があるため、説明を省くと相手の情報システム部門で止まりやすくなります。依頼時には次の4点を伝えておくと、判断してもらいやすくなります。
- 何をする操作なのか:御社のkintoneアカウントと、当社のゲストスペースのアカウントを1つにまとめる設定であること。これにより御社のkintoneから、当社のゲストスペースを開けるようになること
- 相手側の負担と利点:ログインするアカウントが1つになり、当社スペース用のIDとパスワードを別に管理しなくてよくなること。あわせて、参加中のゲストスペースの自分宛の未読通知数が御社のkintone側に表示されるようになること
- 取り消しができないこと:一度共通化すると解除できない仕様であること。これを伏せて依頼しないこと
- 前提条件:御社のkintoneが試用期間中だと共通化できないこと
なお、相手にとっての直接的な金銭メリットはありません。利用料が無料になるのは招待した側(自社)の費用であり、相手の支払いが減るわけではないからです。相手にとっては「ログインが1つにまとまる」ことが利点になります。この非対称を理解したうえで依頼しないと、説明がかみ合いません。
結論——受託・制作の現場では「課金される前提」で見積もる
ここまでを踏まえると、判断ははっきりします。
「アカウント共通化で無料になる」は事実ですが、それは相手もkintoneのユーザーである場合に限った話です。相手がすでにkintoneを契約していて、その契約が試用期間中でもなく、相手自身が共通化を操作してくれて、不可逆な設定変更に応じてくれて、こちらも契約数の見直しを忘れない。この5つが揃って初めて支払いが減ります。
社内で使うkintoneに関連会社やグループ会社を招くケースであれば、関門1が満たされていることも多いでしょう。一方で、受託・制作・コンサルのように業種の異なる一般企業の顧客を招く場合、相手がkintoneを契約している保証はありません。
したがって費用の見積もりは、全員が課金される前提で立てるのが安全です。そのうえで共通化できる相手がいれば、その分だけ下がる。これが順序としては正しい考え方です。無料化を前提に予算を組むと、関門1で外れた時点で計画が崩れます。
ゲストを選ぶ理由は価格ではない
料金の話でもう1つ押さえておきたいのが、ゲストと通常ユーザーの価格差です。ここを理解すると、ゲストユーザーを選ぶ理由が変わります。
ゲストの単価は本体の70%か80%(ワイドのみ48%)
公式の料金を並べると、ゲストが本体の何%にあたるかはコースによって異なることが分かります。
| コース | 通常ユーザー | ゲストユーザー | ゲストの比率 |
|---|---|---|---|
| ライトコース | 1,000円 | 700円 | 70% |
| スタンダードコース | 1,800円 | 1,440円 | 80% |
| ワイドコース | 3,000円 | 1,440円 | 48% |
価格はいずれも1ユーザーあたりの月額・税抜です。本記事が想定する規模帯で選ばれることが多いスタンダードコースでは、ゲストは通常ユーザーの80%にあたります。2割しか安くなりません。ライトコースでは70%です。
ワイドコースだけは48%と割安に見えますが、ワイドコースは最小1,000ユーザーからの契約であり、本記事が想定している受託・制作・コンサルの規模の外にあります。実務上の判断は、ライトコースとスタンダードコースの70%・80%で考えることになります。
では、ゲストが正解になるのはどんなときか
2割程度の差額と引き換えに、ゲストユーザーは機能面の制約を負います。招待されたゲストスペースの外に出られない、kintoneのモバイルアプリが使えない、アプリの新規作成や設定変更ができない、といった制限です(詳細は次章)。
この交換条件をどう見るかが判断の分かれ目です。価格を目的にゲストユーザーを選ぶと、期待を外します。スタンダードコースなら2割の節約のために、相手の使い勝手を大きく制限することになるからです。
逆に言えば、ゲストユーザーが正しく効くのは次のような場合です。
- 社外の人に、特定の案件の情報だけを見せたい(他の顧客の情報は絶対に見せられない)
- 社内のポータルや他部門のスペースに、社外の人を入れたくない
- 情報の見える範囲を、あとから説明できる形にしておきたい
この目的に合っているなら、単価の差は本質的な論点ではありません。逆にこの目的がないのであれば、通常ユーザーとして招いたほうが制約なく使えます。
ゲストユーザーにできること・できないこと
料金の判断ができたら、次は機能面です。ここは招待したあとに「思っていたのと違う」となりやすい部分なので、できないことを中心に確認します。
できること
ゲストユーザーは、招待されたゲストスペースの中では通常のkintoneと同じように操作できます。アクセスできるのは、招待されたゲストスペースと、そのスペースに所属するアプリだけです。
- ゲストスペース内のアプリでレコードを閲覧・追加・編集する(管理者が設定した権限の範囲内)
- スペース内のスレッドで社内メンバーとやり取りする
- ファイルを添付して共有する
- 自分が作成したスレッドを編集・削除する
権限はスペースの管理者側で設定するため、「閲覧だけ許可して編集はさせない」といった細かい制御もできます。
できないこと
公式ヘルプの「ゲストユーザーには利用できないkintoneの機能や操作を知りたい」と、機能ページのFAQに挙げられているものを整理すると、次のようになります。ゲストユーザーには管理権限がないことが、制限の基本的な理由です。
| 分類 | できないこと |
|---|---|
| スペースの管理 | ゲストスペースを新たに作成すること、基本設定の変更、お知らせ掲示板(スペース本文)の編集、ゲストスペースの削除、参加メンバーの追加や削除 |
| スレッド | 自分以外が作成したスレッドの削除、自分以外が作成したスレッド本文の編集 |
| アプリ | ゲストスペース内にアプリを新規作成すること、スペース内のアプリを設定変更・削除すること |
| モバイル | kintoneモバイルアプリの利用(必要に応じてモバイルのWebブラウザーからアクセスする) |
| カスタマイズ | JavaScriptやCSSを使用したkintone全体のカスタマイズは適用されない |
| セキュリティ設定 | IPアドレス制限、Basic認証、セキュアアクセスの設定 |
| 範囲 | 全体のポータルや、招待されていない他のスペースへのアクセス |
| 通知 | ゲストスペース内での組織単位の宛先指定(一人ずつ指定する必要がある) |
このうち実務で効いてくるものを2つ補足します。
JavaScriptやCSSによる全体カスタマイズが適用されない点は、kintoneを作り込んで運用している場合に影響します。ただし公式ヘルプは「アプリのカスタマイズは、ゲストユーザーにも適用されます」と切り分けており、適用されないのはkintone全体に対するカスタマイズだけです。アプリ単位で入れたカスタマイズはゲスト側でも動きます。全体カスタマイズで整えた画面については、社内で見えている画面と顧客に見えている画面が異なる前提で説明する必要があります。
IPアドレス制限やセキュアアクセスを設定できない点は、セキュリティ要件のすり合わせで論点になります。社内ユーザーにはIP制限をかけていても、ゲストユーザーには同じ制限を適用できません。顧客側の情報システム部門から接続制御について問われる場合に備えて、把握しておくべき仕様です。
1つのアカウントを複数人で使い回すことはできない
費用を抑える目的で、1つのゲストアカウントを顧客側の複数人で共有することはできません。サイボウズの公式ページ「ライセンスに関するご案内(クラウド版)」には「1つのユーザーアカウントを複数人で共有することはできません」と明記されています。
同じページには「契約ユーザー数や利用ユーザー数は、cybozu.comにログインする『人』を対象にカウントします」「cybozu.comを操作や閲覧などを行う人数に合わせてライセンスを購入いただきます」ともあります。カウントの基準はアカウントの数ではなくログインする人の数である、という考え方です。1台の端末を共有する場合でも、操作する人数分のライセンスが必要になります。
「モバイルアプリが使えない」が効いてくる場面
制限の中で、実務でもっとも体感しやすいのがモバイルアプリの非対応です。ゲストユーザーはスマートフォン用のkintoneモバイルアプリを利用できず、必要な場合はモバイルのWebブラウザーからアクセスすることになります。
これが効くのは、顧客側にデスクワーク中心でない人が含まれる場合です。現場に出ている担当者、店舗にいる責任者、移動が多い決裁者など、スマートフォンでの確認が中心になる相手にとっては、アプリからの通知や素早い起動が使えないことが利用頻度に直結します。
社内メンバーはアプリで快適に使えているのに、顧客側だけがブラウザーからログインし直している。この非対称は、招待する前に想定しておいたほうがよい点です。顧客に確認してもらう頻度が高い案件ほど、影響は大きくなります。
あとから戻せない3つのこと
kintoneのゲストユーザーには、一度決めるとあとから変更できない仕様が3つあります。いずれも公式に明記されているものですが、招待したあとに気づくと取り返しがつきません。
1. ゲストユーザーを通常のユーザーに変更できない
公式のFAQは、ゲストユーザーをkintoneのユーザーに変更することはできない、と明記しています。ゲストとして招いた相手を、あとから社内メンバーと同じ通常ユーザーに切り替えることはできません。
2. 通常のユーザーをゲストユーザーに切り替えることもできない
同じFAQに、kintoneのユーザーをゲストユーザーに切り替えることもできない旨が記載されています。逆方向も不可です。
3. アカウントの共通化は解除できない
公式ヘルプが「一度アカウントを共通化すると、解除できません」と明記しています。前章で触れたとおり、相手に依頼する操作でもあります。
この3つが意味するのは、「とりあえずゲストで招いて、必要になったら通常ユーザーにする」という運用ができないということです。区分を変えたい場合は、新しくユーザーを作り直す前提になります。
ゲストスペースの上限(100個・500個)は効いてくるのか
ゲストスペースには作成できる数の上限があります。ライトコースで100個、スタンダード・ワイドコースで500個です。上限に達すると新しいゲストスペースは作成できません。
この数字は多くの解説記事に載っていますが、自社にとって実際に効いてくる制約なのかまで踏み込んだものは見当たりません(2026年9月1日時点で確認した範囲)。結論から言うと、次のように考えられます。
情報の分離を優先するなら、運用は「顧客1社につき1つのゲストスペース」が基本になります。この前提で数えると、ライトコースで100社、スタンダード・ワイドコースで500社まで持てる計算です。1社1スペース運用を前提とすれば、受託・制作・コンサルの規模感でこの上限に達することは考えにくいはずです。
つまり上限数は、多くの場合ボトルネックになりません。先に効いてくるのは、上限ではなく人数に比例する課金のほうです。
| 見るべき順序 | 指標 | 理由 |
|---|---|---|
| 1番目 | 社外の合計人数 | 毎月の費用に直接比例する |
| 2番目 | 案件終了後の停止・削除と契約数の削減 | 契約数を減らすまで課金が続く |
| 3番目 | ゲストスペースの数 | 100社・500社に達することは稀 |
なお、アカウントを共通化できるゲストスペースの数には上限がないと公式のFAQに記載があります。共通化の側で数の制約を心配する必要はありません。
ゲストスペースの数を気にして1つのスペースに複数の顧客をまとめると、顧客同士が同じスペースに同席する構成になり、分離という本来の目的を損ないます。上限に余裕がある以上、1社1スペースを崩す理由はほとんどありません。
向いているケース・向いていないケース
ここまでの内容を、導入判断の形にまとめます。
向いているケース
- 見える範囲を確実に区切りたい。顧客ごとに情報を完全に分離する必要があり、他の顧客の情報が絶対に見えてはいけない
- すでにkintoneを本体で使っている。社内の業務がkintone上に乗っており、そこに社外の人を部分的に招きたい
- 招く人数が限定的で読める。1社あたり2〜3名程度で、人数が急に増えない
- 相手もkintoneユーザーである。グループ会社や関連会社など、共通化による無料化が現実的に見込める
- やり取りの中心がPC。顧客側もデスクワーク中心で、モバイルアプリの非対応が問題にならない
向いていないケース
- 顧客側の人数が多い、または読めない。人数比例の課金のため、確認に関わる人が増えるほど費用が膨らむ
- 顧客にスマートフォン中心の利用者がいる。モバイルアプリが使えないため、確認の頻度が落ちやすい
- kintone本体を使っていない。ゲストユーザーのみでは契約できないため、社外共有だけを目的にkintoneを導入すると、本体の最小10ユーザー分の費用が先に発生する
- 顧客側に接続制御の要件がある。ゲストユーザーにはIPアドレス制限やセキュアアクセスを設定できない
- 社外の人を将来的に社内メンバーとして迎える可能性がある。ゲストから通常ユーザーへの変更ができない
迷ったら、この順で実額を出す
上の2つのリストが定性的な判断軸だとすれば、こちらは金額での判断です。次の順に実額を出すと結論が見えます。
- 本体の費用。kintoneを未導入なら、社外共有だけのためにスタンダードコース10ユーザー分の月18,000円(税抜)を負担する価値があるかを先に検討します。
- 社外の合計人数を数える。スタンダードコースなら10名で月14,400円、20名で月28,800円、30名で月43,200円が、本体費用への上乗せになります(いずれも税抜)。
- 1年後の想定人数で2をやり直す。その金額でも許容できるなら進めてよく、超えるなら1社あたりの上限人数を契約前に数字として確定させます。
ここまでで「kintoneのゲストスペースでは合わない」と判断した場合は、プロジェクト管理ツール12製品を顧客共有の観点で比較した記事で、各製品の社外ユーザー費用を公式の実額で確認できます。同じ「顧客を招く」観点でBacklogを検討するなら、Backlogに顧客を招待する手順と権限設計で権限の設計とプラン改定後のコストを扱っています。顧客に見せる面そのものをカテゴリとして検討するなら、顧客ポータルの解説が出発点になります。
ゲストユーザーの招待・確認・削除の手順
招待を始める前に決めておくこと
操作に入る前に、運用として最初に一度だけ決めておく項目があります。
- 招く人数の上限(1社あたり何名までか)
- 案件終了時にゲストユーザーを停止・削除する運用と、その担当者
- 停止・削除や共通化のあと、ゲストユーザーの契約数を減らす手順と担当者
この3項目は費用に直結します。とくに3つ目は忘れられがちです。
そのうえで、1人を招待するたびに次を確認します。
- この相手は、今後も社外の人として扱い続けるか(将来的に社内メンバーやグループ会社の一員として迎える可能性はないか)
- 相手に見せる範囲は、このゲストスペース内に収まっているか
- 相手にスマートフォンでの利用ニーズはあるか(あるならモバイルアプリが使えないことを事前に伝えたか)
- 社内向けに入れたJavaScriptやCSSのカスタマイズが効かないことを、説明の前提に織り込んだか
- 相手はすでにkintoneを契約しているか(共通化による無料化の可能性があるか)
- 共通化を依頼する場合、解除できないことを相手に説明したか
ここから実際の操作手順です。
ゲストスペースを作成する
- kintoneでスペースを追加する際に、ゲストスペースとして作成します
- スペース名と、参加する社内メンバーを設定します
- 必要に応じて、スペース内にアプリやスレッドを用意します
アプリの作成は社内側の作業です。ゲストユーザーはゲストスペース内にアプリを新規作成できないため、招待する前に必要なアプリを用意しておきます。
ゲストユーザーを招待する
招待は、作成したゲストスペース側から行います。
- ゲストスペースを開き、右上の[オプション]から[ゲストメンバーを管理]を選びます
- [ゲストを招待]をクリックします
- [宛先]に相手のメールアドレスを入力します([本文]にメッセージを添えられます)
- [招待メール送信]で招待メールが届きます
実務で押さえておきたい点が2つあります。1つ目は、招待メールの有効期間が1週間であること。2つ目は、差出人が no-reply@cybozu.com のため、顧客側の迷惑メールフィルタに入ることがある点です。事前に一報を入れておくと、案件の立ち上がりで止まりません。
ゲストユーザーのステータスは[招待中][使用中][停止中]の3種類です。招待メールを送っただけの状態は[招待中]で、相手がログインすると[使用中]に変わります。
相手側の初回設定
招待メールを受け取った相手が、メール内のリンクをクリックして初期設定を行います。ここで相手がパスワードなどを設定して、はじめてゲストスペースにアクセスできるようになります。
この初回ログインの時点で、30日間の試用期間が始まります。招待メールを送った日ではなく、相手が実際に入った日が起点です。
相手がすでにkintoneを契約していて、無料化を狙う場合は、この後に相手側でアカウントの共通化を操作してもらいます。手順と、招待した側が代行できない理由は、前述の関門3で述べたとおりです。
登録状況とライセンスの使用状況を確認する
kintoneのシステム管理にある[ゲストユーザー管理]画面で、状況を確認できます。公式ヘルプによれば、この画面には「ゲストユーザーとしてkintoneに参加しているユーザーの一覧や、ライセンスの使用状況が表示されます」。招待メールを送っただけでは利用開始になっていないことがあるため、案件開始前に確認しておくと安全です。
ゲストユーザーを削除する
案件が終了したら、ゲストユーザーを削除します。ここで1つ落とし穴があります。公式ヘルプは、ゲストスペースからゲストを外す操作について「この手順では、kintone自体からゲストユーザーは削除されません」と明記しています。スペースから外しただけではゲストユーザーは残り、[有料ゲストユーザー数]も減りません。
公式ヘルプは「ゲストユーザーのステータスやkintoneの利用状況を確認して、不要なアカウントがあれば、[ゲストユーザーの一覧]で、ゲストユーザーを削除できます」と説明しています。
ここが費用管理上の要点です。削除に加えて契約数を減らすところまでが1つの手順です(理由と削減タイミングは「請求は『契約数』に対して発生する」で述べました)。案件の終了と同時に棚卸しする運用を決めておかないと、使われていないアカウントの契約が積み上がっていきます。
よくある質問(FAQ)
kintoneのゲストユーザーとは何ですか?
顧客・取引先・協力会社など社外の人を「ゲストスペース」に招待し、そのスペース内の情報だけを利用してもらうためのユーザー区分です。サイボウズの公式ページは、ゲストスペースを「顧客・取引先・協力会社など、社外の人を『ゲストユーザー』として招待し、キントーンを利用できるスペースのことです」と定義しています。通常のユーザーと違い、全体のポータルや他のスペースにはアクセスできません。
kintoneのゲストユーザー料金はいくらですか?
本体の契約コースによって変わります。ライトコースは1ユーザー月額700円、スタンダード・ワイドコースは1ユーザー月額1,440円です(いずれも税抜、2026年9月1日にサイボウズ公式ページで確認)。ゲストユーザーは1ユーザーから契約できますが、ゲストユーザーのみで契約することはできず、kintone本体の契約が前提になります。
kintoneのゲストスペースはいくらですか?
ゲストスペース自体に、スペース単位の料金はかかりません。課金されるのはゲストスペースに招待するゲストユーザーの人数で、1ユーザーあたり月額700円または1,440円(税抜)です。作成できるゲストスペースの数には上限があり、ライトコースで100個、スタンダード・ワイドコースで500個までです。
kintoneのゲストユーザーは無料ですか?
2つの意味で無料になる場合があります。1つは試用期間です。ゲストユーザーがはじめてkintoneにログインすると自動的に30日間のお試し期間が始まり、その間は費用が発生しません。お試し期間が終了すると、ライセンスは自動的に[試用]から[有料]に切り替わります。もう1つはアカウントの共通化ですが、こちらは無条件ではありません。招待する相手がすでに自社でkintoneを契約している場合、アカウントを共通化するとゲストユーザーの利用料が無料になります。共通化したアカウントは契約ユーザー数にカウントされなくなるためです。ただし成立には、相手の自社kintoneが試用期間中でないこと(公式は主語を明示していませんが、条件の並びからそう読めます。ゲスト自身の30日間の試用期間とは別のものです)、共通化の操作を相手自身が行うこと、一度共通化すると解除できないこと、を満たす必要があります。さらに公式ヘルプには「アカウントを共通化してゲストユーザーの利用料が無料になっても、請求金額は自動的には変わりません」と記載があり、請求を下げるには自社側でゲストユーザーの契約数を減らす手続きが別途必要です。これはゲストユーザーのライセンス利用料が契約数に対して発生する仕組みのためで、ゲストを停止・削除した場合も同様に、契約数を減らすまで請求は下がりません。さらに年額契約の場合、契約数を減らせるのは契約更新時のみです。相手がkintoneを契約していない場合は、通常どおり課金されます。
kintoneのゲストユーザーにはどんな制限がありますか?
ゲストユーザーには管理権限がないため、複数の制限があります。招待されたゲストスペース内の環境のみを利用でき、全体のポータルや他のスペースにはアクセスできません。ゲストスペースの基本設定の変更、スペースの削除、参加メンバーの追加や削除はできません。ゲストスペース内にアプリを新規作成することや、スペース内のアプリを設定変更・削除することもできません。またkintoneモバイルアプリは利用できず、必要な場合はモバイルのWebブラウザーからアクセスします。JavaScriptやCSSを使用したkintone全体のカスタマイズは適用されず、IPアドレス制限やBasic認証、セキュアアクセスの設定もできません。通知では組織単位の宛先指定ができず、一人ずつ指定する必要があります。
kintoneのゲストスペースでできないことは何ですか?
ゲストスペースに招待された人は、そのスペースの外にある情報にアクセスできません。またゲストスペースの中では、スペースの基本設定の変更や削除、参加メンバーの追加や削除、アプリの新規作成や設定変更、モバイルアプリの利用、組織単位での宛先指定ができません。JavaScriptやCSSによるkintone全体のカスタマイズも適用されません。加えて、作成できるゲストスペースの数に上限があり、ライトコースで100個、スタンダード・ワイドコースで500個を超えると新しく作成できなくなります。
kintoneのゲストユーザーは使いまわしできますか?
できません。サイボウズの公式ページ「ライセンスに関するご案内(クラウド版)」には「1つのユーザーアカウントを複数人で共有することはできません」と明記されています。また「契約ユーザー数や利用ユーザー数は、cybozu.comにログインする『人』を対象にカウントします」「cybozu.comを操作や閲覧などを行う人数に合わせてライセンスを購入いただきます」とも記載されています。1つのゲストアカウントを顧客側の複数人で共有して費用を抑えることはできません。費用を下げる正規の方法は、初回ログインから30日間の試用期間に収める、招く人数を絞る、本体をライトコースにする、相手がkintone契約者である場合にアカウントを共通化する、使わないゲストを停止・削除したうえで契約数を減らす、の5つです。
kintoneの最低人数は何人ですか?
kintone本体のライトコースとスタンダードコースは、最小10ユーザーからの契約です。ワイドコースは1,000ユーザーからになります。一方でゲストユーザーは1ユーザーから契約できます。そのため社内で使う人が10人未満でも、本体は10ユーザー分の費用が発生し、ゲストユーザーの費用はそこへの上乗せになります。
ゲストユーザーを通常のkintoneユーザーに変更できますか?
できません。サイボウズの公式FAQは、ゲストユーザーをkintoneのユーザーに変更することはできないと明記しています。またkintoneのユーザーをゲストユーザーに切り替えることもできず、逆方向の変更もできません。区分を変えたい場合は、あらためてユーザーを作成する必要があります。将来的に社内メンバーとして迎える可能性がある相手をゲストで招く場合は、この点を事前に考慮してください。
kintoneのスペースとゲストスペースの違いは何ですか?
最大の違いは、社外の人を招けるかどうかと、アクセスできる範囲です。通常のスペースは社内のユーザーが使うもので、参加者は全体のポータルや他のスペースにもアクセスできます。ゲストスペースは社外の人をゲストユーザーとして招待できるスペースで、招待された人はそのスペース内の情報しか見られません。情報の分離を目的とするなら、顧客1社につき1つのゲストスペースを用意する運用が基本になります。
kintoneのゲストスペースが向かないのはどんなケースですか?
主に5つのケースが考えられます。1つ目は、顧客側の人数が多い、または読めない場合です。人数に比例して課金されるため、確認に関わる人が増えるほど費用が膨らみます。2つ目は、顧客にスマートフォン中心の利用者がいる場合です。ゲストユーザーはモバイルアプリを使えないため、確認の頻度が落ちやすくなります。3つ目は、kintone本体を使っていない場合です。ゲストユーザーのみでは契約できないため、社外共有だけを目的に導入すると本体の最小10ユーザー分の費用が先に発生します。4つ目は、顧客側に接続制御の要件がある場合です。ゲストユーザーにはIPアドレス制限やセキュアアクセスを設定できません。5つ目は、招いた相手を将来的に社内メンバーとして迎える可能性がある場合です。ゲストユーザーから通常ユーザーへの変更はできません。
まとめ
kintoneのゲストユーザーとゲストスペースについて、費用と使いどころを整理しました。要点は次のとおりです。
料金。ゲストユーザーは、ライトコースで1ユーザー月額700円、スタンダード・ワイドコースで1ユーザー月額1,440円です(税抜)。ただしその手前に、kintone本体の費用があります。ライト・スタンダードコースは最小10ユーザーからのため、スタンダードコースなら月18,000円が先に発生し、ゲスト費用はそこへの上乗せです。顧客3社(各3名)を招くなら、本体18,000円+ゲスト12,960円で月30,960円(税抜)になります。
無料化。「アカウント共通化で無料になる」は事実ですが、支払いが実際に減るまでには5つの関門があります。相手がkintone契約者であること、その相手のkintoneが試用期間中でないこと、相手自身が操作すること、解除できないことを受け入れてもらうこと、そして自社側でゲストユーザーの契約数を減らすことです。最後の1つを忘れると、利用料が無料になっても請求は下がりません。しかも年額契約では、契約数を減らせるのは更新時のみです。関門の大半が相手側にあるため、業種の異なる一般企業の顧客を招く場合は、課金される前提で見積もるのが安全です。
選ぶ理由。ゲストの単価は本体に対して、スタンダードコースで80%、ライトコースで70%です。本記事が想定する規模帯で選ばれることが多いスタンダードコースでは、2割しか安くなりません。価格を目的に選ぶ機能ではなく、社外の人が見られる範囲を確実に区切るための機能です。この目的に合っているかどうかで判断してください。
不可逆な仕様。ゲストから通常ユーザーへの変更、その逆、アカウント共通化の解除は、いずれもできません。招待する前に、この相手を今後も社外の人として扱い続けるのかを決めておく必要があります。
見るべき順序。ゲストスペースの上限(100個・500個)が問題になることは多くありません。先に効いてくるのは社外の合計人数と、案件終了後に停止・削除したうえで契約数まで減らす運用です。なお、ゲストには初回ログインから30日間の試用期間があり、その期間は費用が発生しません。
なお、kintoneは業務アプリを自社で組み立てるためのプラットフォームであり、ゲストスペースはそこに社外の人を部分的に招く機能です。本記事を運営しているTerasuは、顧客と共有するページ・資料の確認状況・決定の記録をまとめる、顧客と進める案件の共有ワークスペースというカテゴリの製品で、kintoneと同じ土俵にあるわけではありません。
費用の面では、Terasuには社外ユーザーを無料にする仕組みがありません。Starterは月9,800円に3名、Businessは月29,800円に10名が含まれ、それを超えると1ユーザーあたり2,480円(Starter)または2,980円(Business)が加算されます(最新の金額と税の扱いは当社の料金ページをご確認ください)。1人あたりの単価は、税抜・税込のどちらで揃えて比べても、kintoneのゲストユーザー1,440円のほうが安くなります。
ただし本記事で見たとおり、単価だけで総額は決まりません。比較する際は本体の固定費と含まれる人数を含めた総額で見てください。社内の業務がすでにkintone上に乗っていて、招く社外の人数が読める範囲に収まっているのであれば、ゲストスペースで十分に成立します。
参考にした一次ソース
本記事のkintoneの料金・仕様は、以下のサイボウズ公式ページの記載に基づいています(すべて2026年9月1日確認)。当社の料金は自社の公表値です。
| 内容 | ページ(タイトルは2026年9月1日時点の実タイトル) |
|---|---|
| kintone本体の料金、最低契約ユーザー数、ゲストユーザーの料金(オプション欄) | kintone「料金」(kintone.cybozu.co.jp/price/) |
| ゲストスペースの定義、通常ユーザーとの違い、ゲスト料金とスペース上限、契約体系、年額の残り月数購入、モバイルアプリ・宛先指定の制限 | kintone「ゲストスペース・ゲストユーザー」(kintone.cybozu.co.jp/feature/guestprice/) |
| ゲストユーザーが利用できない機能や操作、アプリ単位のカスタマイズは適用される旨 | kintone ヘルプ「ゲストユーザーには利用できないkintoneの機能や操作を知りたい」(jp.kintone.help/k/ja/trouble_shooting/guest/guest_unavailable) |
| アカウント共通化の手順と2つの経路、解除不可、試用期間中の制限、未読通知の表示 | kintone ヘルプ「ゲストの操作:ゲストアカウントをkintoneアカウントと共通化する」(jp.kintone.help/k/ja/guest/operation/guestuser_linkaccount) |
| 共通化と契約ユーザー数の関係、請求は自動では変わらない旨 | kintone ヘルプ「「アカウント共通化」とは何ですか?」(jp.kintone.help/k/ja/trouble_shooting/guest/common_account) |
| [ゲストユーザー管理]画面でできること、削除の方法 | kintone ヘルプ「[ゲストユーザー管理]画面でできること」(jp.kintone.help/k/ja/guest/manage/manage_guest) |
| 請求が契約数に対して発生すること、停止中は有料ゲストユーザー数に含まれないこと | kintone ヘルプ「ゲストユーザーのライセンスの使用状況を確認する」(jp.kintone.help/k/ja/guest/manage/confirm_guest_license) |
| ゲストの30日間の試用期間、[停止中]への変更、自動的には課金されない旨 | kintone ヘルプ「ゲストユーザーはお試しできますか?」(jp.kintone.help/k/ja/trouble_shooting/guest/guest_trial) |
| 招待手順、招待メールの有効期間、差出人、ステータス | kintone ヘルプ「ゲストユーザーの管理(ゲストの招待)」(jp.kintone.help/k/ja/guest/space/guestspace_invite) |
| アカウントの共有不可、ライセンスのカウント基準、契約ユーザー数を減らせるタイミング(月額・年額) | サイボウズ「ライセンスに関するご案内 - (クラウド版)」(cybozu.co.jp/products/license/cloud/) |
| ゲスト⇄通常ユーザーの相互変換が不可であること | kintone FAQ「ゲストユーザーをkintoneのユーザーに変更できますか?」(kintone-faq.cybozu.co.jp/hc/ja/articles/40851200267545) |
| 共通化できるゲストスペース数に上限がないこと | kintone FAQ「複数のゲストスペースとアカウントを共通化できますか?」(kintone-faq.cybozu.co.jp/hc/ja/articles/40851201291673) |


