
追客とは?意味・読み方から追客メール例文17本・追う/やめる判断基準・法的ラインまで完全ガイド【2026年版】
追客(ついきゃく)とは、問い合わせ・来店・資料請求などで一度接点を持った見込み客に対し、継続的に連絡や情報提供を行い、成約へ導く営業活動です。不動産業界で生まれた言葉ですが、住宅・保険・BtoB営業など、検討期間が長く比較検討される商材を扱う業種で広く使われています。
追客の主な方法は6つあります。
| 追客方法 | 一言で言うと | 主に向く相手 |
|---|---|---|
| 電話 | 最も速く、相手の温度感をその場で確かめられる | 今すぐ決めたい段階の顧客 |
| メール | 相手の都合で読める。記録が残る | 比較検討中・情報収集中の顧客 |
| LINE | 開封率が高く、短いやり取りを重ねやすい | 個人向け営業で検討中の顧客 |
| SNS発信 | 不特定多数に思い出してもらう | 検討時期がまだ先の層 |
| DM・ハガキ | 到達率が高く、掘り起こしに効く | 長期間動きのない顧客 |
| デジタルセールスルーム(DSR) | 相手がどの資料をどこまで見たかが分かる | 提案後のすべての顧客 |
編集部注: 本記事はデジタルセールスルーム(DSR)ツール「Terasu」を提供するTerasu編集部が作成しています。特定の製品を推すのではなく、SFA・CRM・MA・メール配信・不動産専用ツールを含めて中立に整理し、Terasuは「顧客と共有した資料の閲覧状況が見えるレイヤー」という一機能カテゴリとして位置づけています。また本記事では、出典を確認できない数値(「返信率3倍」「◯分以内で成約率◯倍」など)は一切使用していません。法令については条文・所管官庁の資料を参照し、原文を確認できなかった箇所はその旨を明記しています。
この記事でわかること(Key Takeaways):
- 追客の読み方は「ついきゃく」。目的は「関係の維持」「機会損失の防止」「購買タイミングの捕捉」の3つ
- 誰を追うかは温度感で4分類し、分類ごとに頻度・チャネル・ゴールを変える
- いつ追うかは経過日数ではなく、資料の閲覧など「相手の行動シグナル」で決めると精度が上がる
- 何と言うかは業種別・シーン別の例文17本+電話トーク例をそのまま使える形で掲載
- どこまで追っていいかには法的な線がある。宅建業法施行規則16条の11・特定商取引法17条・特定電子メール法を条文から実務動作に翻訳して解説
- いつやめるかの判断基準(継続/長期リスト化/掘り起こし/停止)まで設計する
追客とは?意味・読み方をわかりやすく解説
追客とは、一度接点を持った見込み客との関係を切らさず、継続的なアプローチによって成約につなげる営業活動のことです。「客を追う」という字のとおりの言葉で、一度の商談やメールで決まらない商材ほど重要になります。
対義的に語られることが多いのが「集客」と「接客」です。追客は、集客で獲得した見込み客を、接客のあとも手放さずにつなぎ止める工程を指します。
追客の読み方は「ついきゃく」
追客は 「ついきゃく」 と読みます。「おいきゃく」ではありません。国語辞典に載っている一般語ではなく、不動産業界で使われはじめた業界用語・営業用語であるため、辞書で調べても出てこないことがあります。
もともとは不動産の賃貸仲介・売買仲介の現場語でしたが、検討期間が長く継続的なフォローが必要な業種 — 注文住宅、リフォーム、保険、自動車、BtoBのSaaS・IT・製造 — へ広がり、いまでは業種を問わず使われています。ネットショップの分野では、購入者へのメルマガによるリピート促進を指して「追客」と呼ぶこともあります。
追客の3つの目的
追客の目的は、突き詰めると次の3つに集約されます。
- 関係を維持する — すぐに買わない相手と接点を保ち、思い出してもらえる状態をつくる
- 機会損失を防ぐ — 連絡が途切れている間に競合へ流れることを防ぐ
- 購買タイミングを捕捉する — 相手の検討が煮詰まった瞬間を逃さず、次の提案を差し込む
重要なのは3つ目です。追客は「こちらの都合で売り込む活動」ではなく、相手の中で温度が上がる瞬間に、こちらが居合わせるための活動です。この違いが、いつ追うのかを勘で決めないで述べる「催促の連絡」と「提案になる連絡」を分けます。
「追客中」とはどういう状態か
「追客中」とは、接点はあるが成約に至っておらず、継続的なアプローチを実施している最中の見込み客の状態を指します。営業日報やSFA・顧客管理台帳のステータス欄に記載されることが多く、実務では次のように使い分けられます。
| ステータス | 意味 | 次にやること |
|---|---|---|
| 反響(新規) | 問い合わせ・資料請求が入った直後。まだ一次対応していない | 最優先で一次対応する(不動産・住宅の反響前提。BtoBでは資料請求単体は温度が低く扱いが異なる → ホットリードの温度判定) |
| 追客中 | 接点はあるが未成約。継続アプローチの対象 | 温度感を判定し、頻度とチャネルを決める |
| 商談中 | 具体的な提案・見積・内見の段階に進んでいる | 意思決定者と条件を詰める |
| 保留・長期 | 検討時期が先で、当面動きがない | 頻度を落として長期リスト化する |
| 追客停止 | 明確に断られた/連絡不可 | アプローチを止め、記録を残す |
「追客中」が全体の8割を占めているような台帳は、実質的に分類ができていない状態です。追客中をさらに温度感で分けることが、追客の質を上げる最初の一歩になります。
追客の言い換え・類語と英語表現
「追客」は業界用語のため、社外の相手や他業種のメンバーには通じないことがあります。言い換え候補を整理すると次のとおりです。
| 言い換え・類語 | 主に使われる場面 | ニュアンスの違い |
|---|---|---|
| フォローアップ | 業種を問わず一般的 | 最も無難な言い換え。単発のフォローも含む |
| 顧客フォロー / 追いかけ | 社内会話 | 追客とほぼ同義 |
| 後追い営業 | BtoB営業 | 提案後・見積後の再アプローチを指すことが多い |
| リードナーチャリング | BtoBマーケティング | 情報提供で購買意欲を「育てる」ニュアンスが強い |
| 掘り起こし | 不動産・BtoB共通 | 長期間動きのない休眠客への再アプローチに限定 |
| 追跡営業 | まれ | 語感が強く、社外向けには不向き |
追客を英語で言うと — 「追客」に一対一で対応する英単語はありません。文脈に応じて次のように訳し分けます。
- 単発〜数回のフォロー: follow-up(例: follow up with a prospect)
- 継続的な育成活動: lead nurturing
- 見込み客の継続管理全体: prospect follow-up / lead follow-up
英語圏のセールス文脈で最も近い概念は lead nurturing です。
集客・接客・追客の違い
不動産営業では、この3語をセットで使います。
| 用語 | 対象 | 目的 | 代表的な活動 |
|---|---|---|---|
| 集客 | まだ接点のない層 | 問い合わせ・来店を生む | 広告、ポータルサイト掲載、SEO、チラシ |
| 接客 | 目の前にいる顧客 | その場でニーズを引き出し提案する | 来店対応、内見同行、商談 |
| 追客 | 一度接点を持った未成約の顧客 | 関係を維持し、成約タイミングを捉える | 電話、メール、LINE、DM、資料の再送 |
集客にいくら投資しても、追客が機能しなければ広告費はそのまま流出します。追客は「新しく獲る」より安く成果を出せる領域であり、多くの会社で最も改善余地が残っている工程です。
追客とリードナーチャリングの違い【不動産 ⇄ BtoB 用語対応表】
BtoB営業の方が「追客」という言葉に馴染みがない場合、次の対応表で読み替えてください。言葉が違うだけで、やっていることはほぼ同じです。
| 不動産・住宅の現場語 | BtoB営業・マーケの用語 | 詳しく知る |
|---|---|---|
| 反響 | インバウンドリード/問い合わせ | 反響営業とは何か |
| 追客 | フォローアップ/リードナーチャリング | リードナーチャリングの手法と進め方 |
| 今すぐ客/そのうち客 | ホットリード/ナーチャリング対象 | ホットリードとは?温度の見極め方 |
| 温度感 | リードスコア | リードスコアリングの配点設計 |
| 顧客の行動シグナル | インテントデータ | インテントデータの活用 |
| 掘り起こし | 休眠リードの再活性化/失注掘り起こし | 営業メールテンプレート20選 |
| 一次対応 | リードレスポンス(初動) | 反響営業とは何か |
厳密に区別するなら、追客は営業担当が個別に行う行動、リードナーチャリングはマーケティング側が仕組みとして回す育成というニュアンスの差があります。BtoBでシナリオ設計やMAツールの運用まで踏み込みたい場合はリードナーチャリングの完全ガイドを参照してください。本記事では、営業担当が明日から動かせる「追客」の実務に焦点を当てます。
なぜ追客が重要なのか
追客が重視されるのは、扱う商材の検討期間が長く、その間に必ず他社と比較されるからです。接点を持った瞬間に決まる商材であれば、追客という概念自体が必要ありません。
検討期間が長く、必ず比較検討されるから
住宅・不動産は、人生で最も高額な買い物のひとつです。国土交通省『令和6年度 住宅市場動向調査報告書』(令和7年6月公表)によれば、注文住宅取得世帯が比較検討した住宅(複数回答)は、他の注文住宅が91.7%、分譲戸建住宅が27.5%、既存(中古)戸建住宅が16.8%、分譲マンションが11.5%でした。つまり9割超の世帯が同種の住宅を複数比較しており、住宅種別をまたいだ比較検討も相当数行われています。
顧客は必ず他社と並べて見ている、という前提から追客を設計する必要があります。
BtoBでも構図は同じです。稟議・予算・複数部門の合意が絡むため、初回商談から意思決定まで数ヶ月かかることは珍しくありません。この「検討している時間」の間、営業側から何も届かなければ、顧客の頭の中には熱心に連絡をくれた他社だけが残ります。
追客の本質は、押し売りではなく 「検討期間という長いトンネルの中で、自社が見える場所に居続けること」 です。
追客の入口はオンラインに移った
追客の起点となる「反響」の取り方が、この10年で大きく変わりました。
同じく国土交通省『令和6年度 住宅市場動向調査報告書』(調査期間: 令和6年9月2日〜11月29日、注文住宅は全国調査・回収数505)によると、注文住宅取得世帯のインターネット等の活用状況は次のとおりです。
| 活用内容(複数回答) | 注文住宅取得世帯の割合 |
|---|---|
| インターネットを通じた情報収集 | 78.6% |
| インターネットを通じた問い合わせ、説明会・内見・資料等の申込み | 46.0% |
| 電子署名等を活用した電子契約 | 19.6% |
| オンライン会議システムを活用した物件説明・商談・工事説明 | 18.1% |
| オンラインでの住宅ローン審査 | 16.6% |
| オンラインでの重要事項説明 | 13.5% |
| VR(仮想現実)またはAR(拡張現実)ツールを活用した物件内見 | 5.9% |
| インターネット等の活用経験はない | 14.8% |
| 無回答 | 0.7% |
出典: 国土交通省住宅局『令和6年度 住宅市場動向調査報告書』(令和7年6月) https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001900667.pdf
情報収集は78.6%に達し、問い合わせや資料請求というアクション自体をオンラインで行った世帯も46.0%にのぼります。つまり追客の起点は、店頭での会話ではなくフォーム送信やメールに移っています。一方で「インターネット等の活用経験はない」世帯も14.8%残っており、オンライン一本に寄せきらない導線設計も引き続き必要です。
オンライン起点の反響が増えたことは、追客のやり方にも直結します。顔を合わせないまま始まる関係だからこそ、送った資料が読まれたのか、どこに関心が向いたのかが見えないまま連絡を重ねることになり、「いつ・何を言えばいいのか分からない」という悩みが生まれます。この問題への具体的な打ち手はいつ追うのかを勘で決めないで扱います。閲覧を可視化する仕組みそのものと対応ツールの比較はPDFトラッキングとは?仕組み・ツール16選の比較にまとめています。
追客をしないと何が起きるか
追客が止まったとき、現場では次のことが起きます。
- 広告費が回収できない — 1件の反響を得るためにかけた広告費が、対応漏れでそのまま損失になる
- 競合に先を越される — 顧客は複数社に同時に問い合わせている。返信が遅い会社から候補落ちする
- 担当者ごとに成果がばらつく — 追客が個人の記憶と善意で回っていると、忙しい月に必ず抜ける
- 失注理由が分からない — 追客の記録がないため、なぜ負けたのかを振り返れず、改善が積み上がらない
反響を取りこぼす構造とその防ぎ方については反響営業とは何かでも詳しく扱っています。
追客の全体像(7ステップ)
個別の話に入る前に、追客の流れ全体を押さえておきます。各ステップの詳細は、右の列のセクションで扱います(本文はこの順ではなく、意思決定の順に並べています)。
| ステップ | やること | 本記事の該当セクション |
|---|---|---|
| 1. 反響受付 | ポータル・フォーム・電話の反響を1箇所に集約する | 追客を効率化するツール |
| 2. 一次対応 | その日のうちに接触し、記録を残す | 追客の頻度とタイミングをどう設計するか |
| 3. 分類 | 温度感4分類に振り分け、判定根拠を残す | 誰を追うのか |
| 4. 設計 | 分類ごとにチャネルとゴールを決める | 何で追うのか |
| 5. 実行 | シグナルを見てタイミングと内容を決め、接触する | いつ追うのか / 何と言うのか |
| 6. 停止・切替 | 追い続けるか、長期リスト化するか、やめるかを判断する | いつやめるのか |
| 7. 振り返り | 次回アクション設定率と商談化率を月次で見る | 追客の成果をどう測るか |
このうち3と6が抜けている組織が圧倒的に多く、そこが改善の起点になります。
誰を追うのか — 顧客の温度感で分ける
追客がうまくいかない最大の原因は、全員を同じ頻度・同じ内容で追っていることです。リソースは有限なので、温度感で分けて配分を変えます。
温度感4分類とそれぞれのゴール・頻度・チャネル
| 分類 | 状態の目安 | 追客のゴール | 頻度の目安 | 主なチャネル |
|---|---|---|---|---|
| 今すぐ客(ホット) | 内見・商談の日程調整が進む/具体的な条件や見積を求めてくる | 意思決定を後押しし、契約まで運ぶ | 数日以内に都度 | 電話+対面/オンライン商談 |
| そろそろ客(ウォーム) | 検討時期が数ヶ月以内。比較検討中で他社も見ている | 比較の土俵で選ばれる材料を渡す | 1〜2週間に1回 | メール・LINE+要所で電話 |
| そのうち客(コールド) | 情報収集段階。時期が半年〜1年先 | 忘れられないこと。時期が来たら第一想起になる | 月1回程度 | メール(一斉配信可)・DM |
| 休眠客 | 3ヶ月以上反応がない/過去の失注客 | 状況変化を検知して掘り起こす | 四半期に1回程度 | メール・DM・ハガキ |
分類の判定は、はじめは主観で構いません。重要なのは 「全員を同じ扱いにしない」 ことと、判定した根拠を記録に残すことです。判定を点数化して仕組みにしたい場合はリードスコアリングの配点設計で属性スコアと行動スコアの組み方を解説しています。
追客の頻度とタイミングをどう設計するか
頻度に唯一の正解はありません。ただし、次の3つの原則は業種を問わず成り立ちます。
- 一次対応だけは別格に速くする。 反響が入った直後は相手の関心が最も高い瞬間であり、同時に他社にも問い合わせている可能性が高い時間帯です。ここだけは「その日のうち」を組織の基準にする価値があります。
- 温度感が下がるほど頻度を落とし、内容を軽くする。 そのうち客に週次で連絡すると、確実に嫌われます。月1回の情報提供で十分です。
- 回数ではなく「送る理由」を先に決める。 「そろそろ2週間経つから連絡する」は相手にとって理由になりません。新しい物件情報、制度の変更、相手が見ていた資料の続き — 相手側にとっての理由があるときに連絡します。
なお、頻度の目安として「反響直後は当日〜翌日、その後は週1回〜隔週」といった数字が業界で語られますが、これは経験則であり検証された基準ではありません。自社の顧客層と商材に合わせて、返信率と解除率を見ながら調整してください。
追客リストで管理すべき項目
追客の管理は、ツールを入れる前に「何を記録するか」で決まります。最低限これだけは持ってください。
| 項目 | なぜ必要か |
|---|---|
| 最終接触日 | 「放置期間」を一目で出すため。追客漏れの検知に直結する |
| 次回アクション日 | 決めていない予定は実行されない。日付がないタスクは消える |
| 次回アクションの内容 | 「電話する」ではなく「◯◯の資料を送って反応を見る」まで書く |
| 温度感(4分類) | 頻度とチャネルを決める基準 |
| 判定の根拠 | なぜホットと判断したかを残すと、担当変更時に引き継げる |
| 反応・シグナル | 返信、閲覧、再訪など。次の一手の材料になる |
| 断りの意思表示の有無と日付 | 法令対応上の必須項目。「もう連絡しないでほしい」と言われた記録は組織として共有する |
| 検討時期・予算・条件 | 温度感が変わったときに提案を組み直すため |
「断りの意思表示」の欄は、あってもなくてもいい項目ではありません。 法的なラインで述べるとおり、断られた相手への再アプローチは法令で禁止される場合があります。担当者の記憶ではなく、組織で共有できる形で持つ必要があります。
なお、追客リストは個人情報のかたまりです。取得時に示した利用目的の範囲を超えて使わないこと、外部に委託する場合は委託先を適切に監督することが個人情報保護法上求められます。項目を増やすときは「何のために使う情報か」を都度確認してください。
分類は「更新し続ける」ことが前提
温度感は固定値ではありません。半年前に「そのうち客」だった人が、転勤や家族構成の変化、社内の予算確定によって、来週には「今すぐ客」になっていることがあります。
そのため追客の運用では、分類を月に一度は見直す時間を確保するか、行動シグナルによって自動的に温度感が上がる仕組みをつくることが必要です。分類したまま更新されない台帳は、時間の経過とともに実態から乖離し、やがて誰も見なくなります。
いつ追うのかを勘で決めない — 閲覧シグナル起点の追客設計
追客で最も難しいのは「タイミング」です。早すぎれば急かしていると思われ、遅すぎれば他社に決まっている。にもかかわらず、多くの追客ノウハウは 「反響から◯日後に電話」「2週間に1回メール」 という経過日数だけを基準にしています。
経過日数トリガーには構造的な弱点があります。相手が動いたかどうかを一切見ていないことです。3日前に送った見積書を今朝もう一度開いている顧客と、一度も開いていない顧客に、同じ日程で同じ内容の連絡をしても意味がありません。
従来の追客とシグナル起点の追客の違い
| 論点 | 経過日数だけの追客 | 行動シグナル起点の追客 |
|---|---|---|
| 連絡のきっかけ | 送付から3日経ったから | 見積ページを2回目に開いたから |
| 話す内容 | 「ご検討状況いかがでしょうか」 | 「間取りの比較部分を長くご覧でしたが、◯◯が気になられましたか」 |
| 無反応の解釈 | 温度が低いと決めつける | 「反応はないが閲覧はしている=検討中」「閲覧もない=優先度を下げる」と切り分けられる |
| リソース配分 | 全員に均等 | 動いている顧客に工数を寄せられる |
| 引き継ぎ | 担当者の記憶に依存 | 行動履歴が残るため引き継げる |
「ご検討状況いかがでしょうか」という一文が嫌われるのは、中身がないからです。相手からすれば「こちらの状況を知らないまま催促してきた」としか読めません。逆に、相手が実際に見た箇所に触れた一文は、催促ではなく提案になります。シグナルを持つことの価値は、連絡する回数を増やすことではなく、1回の連絡の中身を変えられることにあります。
シグナル別・初動プレイブック
資料の閲覧状況が取得できる環境(デジタルセールスルーム、資料配信ツール、MAツールなど)を前提に、代表的なシグナルと初動を整理します。
| シグナル | 読み取れること | 初動の目安 | 話すこと・送るもの |
|---|---|---|---|
| 送付直後に開封し、最後まで閲覧 | 関心が高い。その場で読み込んでいる | 当日〜翌営業日 | 「補足のご説明が必要な箇所はありますか」+不明点の想定Q&A |
| 数日後に再訪し、料金・見積ページを長く閲覧 | 社内で予算を検討している可能性 | 当日中 | 費用の内訳・支払い条件・他プランとの比較資料 |
| 特定ページ(仕様・保証・セキュリティ等)だけ長時間 | そこが決定のボトルネック | 翌営業日まで | その論点に特化した補足資料+根拠 |
| 複数人に共有・複数端末から閲覧 | 社内・家族内で検討が始まった | 数日以内 | 意思決定者向けの要約1枚/説明の場の提案 |
| 開封されたが数秒で離脱 | 内容が刺さっていない、または見る時間がなかった | 1週間後 | 送り方を変える(要点3行のメール本文で完結させる) |
| 開封も閲覧もされない | 届いていない/優先度が低い | 1〜2週間後 | 別チャネル(電話・LINE)で到達確認。件名と送信時間を変える |
| 長期間動きがなかった顧客が突然再訪 | 検討が再開した可能性が高い | 当日中 | 状況変化の確認。前回からの更新情報を渡す |
この表の要点は「何分以内に電話しろ」ではありません。シグナルの種類によって、優先度も話す内容も変わるという設計思想です。同じ「開封あり」でも、料金ページを見た人と数秒で閉じた人では、打つ手がまったく違います。
行動データを購買意図の判定に使う考え方はインテントデータの活用でも体系的に扱っています。
シグナルが取れないときの限界
すべての会社がすぐに閲覧データを取れるわけではありません。取得手段ごとに、分かることと分からないことを正確に把握しておく必要があります。
| 手段 | 分かること | 分からないこと |
|---|---|---|
| メールの開封確認(Outlook/Gmailの機能) | 相手が受信メールを開いたか(相手が承諾した場合のみ) | 添付ファイルを読んだか、どこを読んだか。相手が拒否すれば通知は返らない |
| メール配信システムの開封トラッキング | 開封率、リンクのクリック率 | 添付PDFの中身をどこまで読んだか |
| ファイル共有(Google Drive / Dropbox / Box等) | 共有相手のアクセス有無(プランや設定による) | ページ単位の閲覧状況、滞在時間 |
| 資料閲覧トラッキング/デジタルセールスルーム | 誰が・どのページを・何秒見たか、再訪の有無 | 相手の社内で交わされた会話そのもの |
つまり メールの開封確認だけでは、追客のタイミング判断には足りません。「開封=提案書を読んだ」ではないからです。開封確認そのものの設定方法と、返ってこない原因・精度の限界はメールの開封確認とは(Outlook・Gmail・iPhoneの設定方法と限界)で詳しく扱っています。提案資料そのものの閲覧状況を見たい場合は、提案書の共有方法の選び方で共有手段ごとの違いを整理しています。
借りものの数字ではなく、自社の一次対応時間を測る
追客の記事には「◯分以内に連絡すれば成約率が◯倍」という数字が頻繁に登場します。しかしその多くは出典が曖昧なまま引用が繰り返されており、本記事ではあえて採用していません。
代わりに推奨したいのは、自社の数字を測ることです。次の3つを1ヶ月分集計するだけで、借りものの数字より役に立つ改善材料になります。
- 一次対応までの所要時間の中央値(平均ではなく中央値。少数の極端な遅延に引きずられないため)
- 営業時間外に発生した反響の割合(自動返信やチャットの導入判断に直結する)
- 一次対応が翌日以降になった案件の商談化率と、当日中に対応した案件の商談化率の差
一般論として「速いほど有利」は間違いありませんが、どれくらい速ければ十分かは、商材と競合状況によって変わります。自社で測れば、その答えが自社の数字として出てきます。
送った資料が「どこまで読まれたか」を可視化する
Terasuのデジタルセールスルームなら、共有した提案書・見積書・事例を、誰がどのページを何秒見たか、いつ再訪したかまで把握できます。追客のタイミングと話す内容を、勘ではなく相手の行動から決められます。
無料ではじめる何で追うのか — 追客方法6種の特徴と使い分け
追客方法は、電話・メール・LINE・SNS・DM/ハガキ、そしてデジタルセールスルーム(DSR)の6つに大別されます。多くの解説はここで方法を並べて終わりますが、実務で必要なのは 「いつ、どれを使うか」の基準です。
主な追客方法とそれぞれの押さえどころ
電話 — 声のトーンや間から、メールでは絶対に得られない情報が取れる唯一の手段です。相手の温度感をその場で確かめられる代わりに、時間を強制的に奪うため負荷が高い。法的なラインで述べるとおり、法規制が最も重くかかるチャネルでもあります。
メール — 記録が残るため引き継ぎに強く、資料のリンクを添えられます。読まれない可能性があること、即時性がないことが弱点です。広告・宣伝の性格を持つ場合は特定電子メール法の対象になります。
LINE — 電話より軽く、メールより速いという中間の使い勝手が、個人向け営業で支持されています。前提として友だち追加が必要なため、追加してもらう導線をどこに置くか(来店時、契約書類の送付時、Webの反響フォーム)を先に設計しないと、そもそも使えません。
SNS発信 — 物件写真や施工事例など、視覚的な訴求と相性がよい方法です。ただし個人アカウントを特定してダイレクトメッセージを送るのは避けてください。相手が営業目的の接触を想定していない場に踏み込む行為であり、業界を問わずクレームにつながります。発信は公式アカウントにとどめるのが原則です。
DM・ハガキ — デジタルの通知に埋もれず、手書きの一文を添えられます。長期間動きのなかった顧客の掘り起こしに向きます。
デジタルセールスルーム(DSR) — 提案書・見積書・事例・FAQを1つのURLにまとめて共有する方式です。追客の手段そのものというより、他の5つの精度を上げる土台として機能します。相手がURLを開かなければ情報は取れないため、電話やメールとの併用が前提です。DSRの製品比較はデジタルセールスルームの比較ガイドで扱っています。
追客方法の使い分け判断マトリクス
| 追客方法 | 向く温度感 | 向く場面 | 到達の特徴 | 心理的負荷 | 法規制の重さ | 使わない方がよい場面 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 電話 | 今すぐ客 | 日程調整、条件の詰め、意思決定の後押し | 最も速いが不在リスクが大きい | 高 | 重(適用法令は取引で変わります。法的なラインを参照) | 夜間・早朝/断られた後/用件が「状況確認」だけのとき |
| メール | そろそろ客/そのうち客 | 資料送付、比較材料の提供、定期的な情報提供 | 確実に届くが読まれるとは限らない | 低 | 中(広告・宣伝を含む場合は特定電子メール法) | 当日中に返事が要る場面 |
| LINE | 今すぐ客/そろそろ客 | 短いやり取り、日程調整、写真の共有 | 開封率が高いが友だち追加が前提 | 中 | 中(宅建業の勧誘規制は手段を限定しません。法的なラインを参照) | 業務時間外の連投/長文の提案 |
| SNS発信 | そのうち客 | 存在を思い出してもらう | 到達は不確実。偶然性に依存する | 低 | 軽 | 個人アカウントへのダイレクトメッセージ |
| DM・ハガキ | そのうち客/休眠客 | 掘り起こし、季節の挨拶、重要なお知らせ | 到達は確実だが遅い | 低 | 軽 | 短期で決めたい商談/高頻度の送付 |
| デジタルセールスルーム(DSR) | 全域 | 提案後〜意思決定までの資料共有と状況把握 | 開かれれば行動まで分かる | 低 | 軽 | 相手がURLを開かない場合(他方法との併用が前提) |
実務では単独で使うのではなく、「電話で日程を決め、DSRのURLで資料を渡し、閲覧の動きを見てメールで補足する」 のように組み合わせます。方法を増やすこと自体が目的ではなく、同じ回数の接触で、より内容の濃いやり取りをすることが目的です。
何と言うのか — 業種別・シーン別の追客メール例文
ここからは、そのまま使える追客メールの例文を業種別・シーン別に掲載します。すべて本文中に全文を載せているので、コピーして固有名詞を差し替えればすぐ使えます。なぜその書き方になるのかは、例文のあとの返信される追客メールの書き方【7原則】にまとめています。
不動産(賃貸仲介)の追客メール例文
1. 反響直後の一次返信
件名: 【◯◯不動産】お問い合わせの「△△マンション 302号室」について
◯◯様
はじめまして。◯◯不動産の□□と申します。 このたびは△△マンション302号室へお問い合わせいただき、ありがとうございます。
ご希望の条件で、近隣の空室を3件お調べしました。302号室と合わせてご覧ください。 (物件情報のURL)
内見は今週末も承れます。土曜午前・日曜午後でしたらすぐにご案内できますが、ご都合はいかがでしょうか。
◯◯不動産 □□ (電話番号/メールアドレス)
この一文が効く理由: 件名に物件名を入れると、複数社に問い合わせた顧客の受信箱でも自社のメールを特定できます。反響直後は「どこの会社からの返信か」が瞬時に分からないメールから捨てられます。
⚠️ 問い合わせ物件とは別に3件を案内しているため、特定電子メールに当たりえます。 送信前に送信前チェック(3点)を必ず実施してください。
(問い合わせへの回答として同条件の物件を示すこと自体は依頼された用件の範囲ですが、依頼されていない物件をこちらから足している以上、広告・宣伝の性格を否定しきれません。判断に迷う場合は付ける側に倒すのが安全です)
2. 内見後のフォロー
件名: 本日ご案内した3件の比較表をお送りします(◯◯様)
◯◯様
本日はお時間をいただきありがとうございました。 ご覧いただいた3件について、気にされていた「駅からの距離」「収納」「初期費用」で比較表にまとめました。
(比較表のURL)
ご覧いただいたなかでは、△△が条件に最も近いかと思いますが、「もう少し収納が欲しい」というお話が印象に残っています。同条件で収納の広い物件が出ましたら優先してご連絡します。
ご不明な点があれば、この返信でお気軽にお知らせください。
この一文が効く理由: 内見中の発言を1つだけ具体的に引用すると、テンプレートではなく自分に向けられたメールだと伝わります。
3. 比較検討中(他社も見ている段階)
件名: 【△△マンション】お決めになる前に確認しておきたい3点
◯◯様
先日ご案内した物件について、契約前に確認しておくと後悔しにくい点を3つお伝えします。
- 更新料の有無と金額(同じ家賃でも2年間の総額が変わります)
- 退去時の原状回復の範囲(契約書の特約に記載があります)
- インターネットの回線種別(在宅ワークをされる場合は特に)
他社でご検討中の物件があれば、その物件についても同じ観点で一緒に確認します。遠慮なくお知らせください。
この一文が効く理由: 他社物件も一緒に見る姿勢を明示すると、売り手ではなく相談相手のポジションを取れます。顧客が複数を比較している前提に立つなら、比較を止めさせるより比較の土俵に入るほうが有利です。
4. 反応が途絶えた後(1ヶ月以上)
件名: 【△△駅・2LDK】ご希望条件に近い物件が2件出ました
◯◯様
ご無沙汰しております。◯◯不動産の□□です。 以前ご相談いただいた「△△駅徒歩10分以内・2LDK・◯万円以内」の条件で、新しく2件出てまいりましたのでご連絡しました。
(物件情報のURL)
お引越しのご予定が変わっている場合は、そのままにしていただいて構いません。 今後のご連絡が不要でしたら、その旨をこの返信でお知らせいただければ以後停止いたします。
この一文が効く理由: 受信拒否の意思表示を簡単にできる導線を置いています。相手への配慮であると同時に、法令対応の観点でも重要です。
⚠️ 本来の用件と別に商材を案内するため、特定電子メールに当たりえます。 送信前に送信前チェック(3点)を必ず実施してください。
不動産(売買・売却査定)の追客メール例文
5. 一括査定の反響直後
件名: 【査定のご依頼】△△(住所)の価格レンジをお送りしました
◯◯様
このたびは査定のご依頼をいただき、ありがとうございます。◯◯不動産の□□です。
周辺の直近成約事例をもとにした概算のレンジをお送りします。 (査定レポートのURL)
実際の価格は、室内の状態・日当たり・リフォーム履歴で変わります。訪問査定は30分ほどで、その場で根拠までご説明します。 今週・来週で、平日夜間や土日もご対応できますので、ご都合のよい時間帯だけお知らせいただけますか。
この一文が効く理由: 一括査定は複数社が同時に連絡します。所要時間を明示すると「まず会う」ハードルが一段下がります。
6. 訪問査定後
件名: 【△△(住所)】本日の査定結果と、価格を決める3つの選択肢
◯◯様
本日はご自宅を拝見させていただき、ありがとうございました。 査定額と、その根拠となる成約事例をまとめました。
(査定書のURL)
ご売却の進め方には、「早く確実に売る」「相場どおりで売る」「時間をかけて高く狙う」の3つの方向性があり、それぞれ想定期間と価格が変わります。資料の後半に3案を並べていますので、どの方向性がご希望に近いかだけ教えていただけますか。
この一文が効く理由: 「売るか売らないか」ではなく「どの売り方か」を問うことで、意思決定の粒度を下げています。
7. 媒介契約の後押し
件名: 【△△(住所)】ご売却の時期を逆算するとどうなるか
◯◯様
先日の査定について、ご判断の材料になる資料をお送りします。△△エリアの直近の在庫件数と、成約までにかかっている平均的な期間をまとめました。 (資料のURL)
急いで決めていただく必要はありません。ただ、ご売却の希望時期から逆算すると、動き始めるのに適した時期の目安があるため、その考え方だけお伝えできればと思います。15分ほどお電話でご説明してもよろしいでしょうか。
この一文が効く理由: 急かさない姿勢を明示したうえで、時期の逆算という判断材料を提示しています。売却は家族の合意が必要なため、家族内の議論を促す情報を渡すことが有効です。
⚠️ 依頼されていない市況資料をこちらから案内しているため、特定電子メールに当たりえます。 送信前に送信前チェック(3点)を必ず実施してください。
住宅・リフォームの追客メール例文
8. 展示場・ショールーム来場後
件名: 【◯◯様】本日ご覧いただいた仕様のまとめと、断熱性能のご質問への回答
◯◯様
本日はご来場いただきありがとうございました。 ご覧いただいた仕様と、その場でお答えしきれなかった断熱性能についての回答をまとめました。
(資料のURL)
**「予算がどこまで膨らむのか不安」**とおっしゃっていた点について、次回は同じ間取りで仕様を3段階に分けた概算をご用意します。ご希望の日程をお知らせください。
この一文が効く理由: 来場時に出た不安を言葉ごと引用し、次回に持ち越す宿題として提示しています。次回訪問の理由が相手側にできます。
9. プラン提案後
件名: 【◯◯様邸】先日のプランを、ご家族でご覧いただける形にまとめました
◯◯様
先日ご提案したプランについて、ご家族でご覧いただけるよう、図面・仕様・概算費用を1つのページにまとめました。
(資料のURL)
ご主人様・奥様それぞれで気になる点が違うことが多いため、「良いと思った点」「引っかかった点」を一言ずつメモしていただけると、次回の打ち合わせが早く進みます。
この一文が効く理由: 住宅は家族全員の合意が必要な商材です。家族の意見を集める作業を依頼することで、検討を前に進める役割を担えます。家族内の合意形成の設計はハウスメーカー営業の実務ガイドで詳しく扱っています。
10. 資金計画の相談喚起
件名: 【◯◯様邸】仕様のご検討前に、住宅ローン事前審査のご案内
◯◯様
プランのご検討ありがとうございます。 ご契約前の段階でよくご相談いただくのが、住宅ローンの事前審査のタイミングです。
事前審査を通しておくと、予算の上限が確定するため、仕様の検討が「迷い」から「取捨選択」に変わります。 必要書類と流れをまとめましたので、ご覧ください。
(資料のURL)
この一文が効く理由: 「決めてください」ではなく「決めやすくなります」と、顧客側の利益で行動を促しています。売り込みではなく手続きの案内として送れるため、検討中の顧客にも受け入れられます。なおこれは読まれ方の話であり、特定電子メール法上の分類とは別です。同じメールに商品やキャンペーンの案内を足せば、送信前チェック(3点)の対象になります。
保険・金融の追客メール例文
保険の募集に当たる内容を含む場合は、保険業法の募集規制(意向把握・意向確認、比較表示、乗換募集)の対象です。以下の例文をそのまま使う前に、社内のコンプライアンス確認を経てください。
11. 面談後のフォロー
件名: 【◯◯様】本日のご相談内容と、ご検討いただく2つのプラン
◯◯様
本日はお時間をいただきありがとうございました。 お話しいただいたご家族の状況をふまえ、保障の考え方を2案でまとめました。
(資料のURL)
どちらが良い・悪いということではなく、「今の家計の負担を抑える」か「将来の備えを厚くする」かの優先順位の違いです。ご夫婦でお話しいただいたうえで、方向性だけお聞かせください。
この一文が効く理由: 商品比較ではなく価値観の選択として提示することで、押し売り感を消しつつ意思決定を促します。
12. 提案書送付後
件名: 【◯◯様】ご提案内容について、よくいただくご質問3点
◯◯様
先日お送りした設計書について、よくいただくご質問を3点、先回りしてまとめました。
- 途中で保障内容を変更できるか
- 支払いが難しくなった場合にどうなるか
- 既契約と重複している保障はないか
(回答資料のURL)
既にご加入の保険がある場合は、証券をお持ちいただければ重複の確認だけでもお手伝いします。 ご検討のご負担が少しでも軽くなれば幸いです。
この一文が効く理由: 契約を促さず「確認の手伝い」を申し出ることで、次の接点の口実をつくっています。保険営業における提案設計は保険営業のコツ完全ガイドも参考にしてください。
13. 更新・見直し時期の連絡
件名: ご契約の更新時期が近づいています(内容の確認だけでも)
◯◯様
いつもお世話になっております。 ご契約の更新時期が◯月に近づきましたのでご連絡しました。
ご家族構成や収入の状況が変わっていると、必要な保障が過不足になっていることがあります。現在の内容を1枚にまとめましたので、変更の必要がないかだけご確認ください。
(現契約サマリーのURL)
この一文が効く理由: 件名と冒頭を「更新時期」という相手側の事情に置くと、営業メールではなく事務連絡として読まれます。連絡する理由が自社都合ではないことが、開封の時点で伝わります。なおこれは読まれ方の話であり、特定電子メール法上の分類とは別です。同じメールに新商品の案内を足せば、広告・宣伝の内容を含むメールになります。
BtoB営業(SaaS・IT・製造)の追客メール例文
BtoBでは、商談が終わった直後から2〜4週間が最も動きの出る期間です。この短期のフォローで送るメールの文面そのもの——お礼メールから、2通目以降に何を書くか、返信が来ない原因の切り分けまで——は商談・打ち合わせ後のお礼メール例文25本で詳しく扱っています。本記事は、その短期のフォローも含めた追客全体の設計(温度感の分け方・チャネルの使い分け・やめる判断・法的ライン)を扱います。
14. 資料送付後のフォロー
件名: 【◯◯社 △△様】ご請求資料の補足に、同業種の運用事例を1件
△△様
先日は資料をご請求いただきありがとうございました。株式会社◯◯の□□です。
お送りした資料のうち、導入企業の運用体制をまとめたページを特にご覧いただいていたようでしたので、同業種での運用事例を1件追加でお送りします。
(事例資料のURL)
もし社内でご検討を進められる場合、稟議に使える比較表もご用意できます。必要でしたらこの返信でお知らせください。
この一文が効く理由: 閲覧されたページに触れることで、汎用フォローではなく個別対応として伝わります。閲覧データがない場合は「資料の中でご不明な箇所」に置き換えてください。
⚠️ 請求された資料とは別に事例資料を案内しているため、特定電子メールに当たりえます。 送信前に送信前チェック(3点)を必ず実施してください。BtoBでは公表アドレス(3条1項4号)や取引関係(同3号)で要件を満たすことが多いものの、満たしているかを確認する手順は省けません。
15. 商談後のフォロー
件名: 【◯◯社 △△様】本日の商談のまとめと、次回までのご確認事項
△△様
本日はお時間をいただきありがとうございました。決定事項と宿題を整理しました。
決まったこと
- 対象部署は営業部の15名から開始
- 導入時期は来期の第1四半期を目標
次回までのご確認事項
- 情報システム部門のセキュリティ要件(チェックシートの有無)
- 既存システムとの連携要否
弊社からは、要件に合わせた見積を◯月◯日までにお送りします。
この一文が効く理由: 期日を切った自社の宿題を最後に置くと、相手の返信がなくても次の接触理由が確定します。商談後メールを「お礼」ではなく「議事の確定」として書く効果です。
16. 稟議待ちのフォロー
件名: 【◯◯社 △△様】稟議用の費用対効果の算出資料をご用意しました
△△様
社内でのご検討、ありがとうございます。 稟議の場でよく確認される「導入効果をどう数字で説明するか」について、算出の考え方をまとめた資料をお送りします。
(資料のURL)
決裁者の方が気にされる論点は、現場の評価軸とは別のことが多いため、必要でしたら決裁者向けの1枚要約もお出しします。ご状況に合わせてお申し付けください。
この一文が効く理由: 稟議を通す作業そのものを支援する立場を取ることで、催促ではなく協力として受け取られます。
⚠️ 依頼されていない資料をこちらから案内しているため、特定電子メールに当たりえます。 送信前に送信前チェック(3点)を必ず実施してください。
17. 失注後の掘り起こし
件名: ご要望だった「△△の機能」が対応可能になりましたのでご連絡しました
△△様
ご無沙汰しております。株式会社◯◯の□□です。 昨年ご検討いただいた際は、△△の機能が要件に届かずご縁がありませんでした。
その点が今年のアップデートで対応可能になりましたので、ご連絡しました。 (アップデート内容のURL)
現在は別の解決策で運用されているかと思います。もし課題が解消済みでしたら、その旨だけお返しいただければ以後のご連絡は控えます。
この一文が効く理由: 件名の時点で「以前あなたが求めた機能の話だ」と分かるため、掘り起こしメールでありがちな汎用件名(「その後の状況伺い」など)で捨てられずに済みます。断りやすい一文を添えることで、かえって返信は返ってきます。失注客への再アプローチ文面は営業メールテンプレート20選にも掲載しています。
⚠️ 本来の用件と別に商材を案内するため、特定電子メールに当たりえます。 送信前に送信前チェック(3点)を必ず実施してください。
追客電話のトーク例
メール例文はよく出回っていますが、電話のトーク例はほとんど公開されていません。追客電話で最も難しい 「用件のない電話にしない」 点に絞って2例を挙げます。
A. 反響後の一次架電(つながった場合)
「お世話になります。◯◯不動産の□□と申します。△△マンションのお問い合わせをいただいたお礼でお電話しました。いま2分ほどよろしいでしょうか。
(相手の応答を待つ)
ありがとうございます。ご希望の条件に近い空室が他に2件ございまして、メールでお送りしてもよろしいですか。……承知しました。そのうえで、もしよろしければご希望のエリアだけ教えていただけますか。近いものが出たときに優先してご連絡できます。」
設計意図: 冒頭で会社名・氏名・用件を名乗り、所要時間を明示して相手に判断させています。ゴールを「アポ取得」ではなく「メール送付の許諾+条件のヒアリング1つ」に下げているため、断られにくくなります。冒頭の名乗りと用件の明示は、法的なラインで述べるとおり法令上の要請でもあります。
B. 資料送付後の確認架電
「お世話になります。株式会社◯◯の□□です。先日お送りした資料の件でお電話しました。1〜2分よろしいでしょうか。
(相手の応答を待つ)
ありがとうございます。資料の中で、導入時の体制についてご質問をいただくことが多いため、その点だけ補足でお伝えできればと思いました。……もし社内でご検討が進んでいるようでしたら、次にどんな情報があると助かるかを教えていただけますか。こちらで用意してお送りします。」
設計意図: 「ご検討状況いかがですか」と聞かないことがポイントです。相手に説明責任を負わせる質問を避け、こちらが提供できるものを起点に会話を始めています。
返信される追客メールの書き方【7原則】
例文をそのまま使うだけでなく、自分で書けるようになるための原則を整理します。
1. 件名で「自分宛て」と分かるようにする
物件名・社名・前回の会話の内容など、その人にしか当てはまらない語を件名に入れます。
❌ 「物件のご案内」「先日はありがとうございました」(誰にでも送れる) ✅ 「お問い合わせの『△△マンション302号室』について」(自分宛てだと分かる)
反響直後の顧客は複数社から同時にメールを受け取っています。差出人を判別できない件名は、開かれる前に流し読みされます。
ただし固有名詞が唯一の解ではありません。「本日ご案内した3件」のように前回の接点を引くもの、「ご契約の更新時期が近づいています」のように相手側の期日・事情を置くものも、受け取った側が自分宛てだと判別できます。避けるべきは「ご案内」「お礼」のように誰に送っても成立する件名です。
2. 1通で1つのことだけ伝える
複数の提案を1通に詰め込むと、相手はどれから考えればいいか分からず、結果として何もしません。
❌ 「新着物件を3件と、住宅ローンの相談会と、キャンペーンのご案内です」 ✅ 「ご希望条件に近い物件が2件出ました」(ローン相談会は次の機会に回す)
伝えたいことが3つあるなら、3回に分けて送るほうが、1通に3つ書くより読まれます。
3. スクロールせずに読み切れる長さにする
スマートフォンで読まれる前提で、要点を冒頭に置きます。詳細は資料のURLに逃がし、メール本文は判断に必要な最小限にとどめます。本文で完結させようとすると長くなり、長いメールは「あとで読む」に回されて忘れられます。
4. Yes/Noか二択で答えられる質問にする
❌ 「ご都合はいかがでしょうか」(相手が候補日を考えて書く必要がある) ✅ 「土曜午前・日曜午後のどちらがご都合よろしいですか」(選ぶだけで済む)
❌ 「ご検討状況はいかがでしょうか」(説明責任を相手に負わせている) ✅ 「次にどんな情報があると助かりますか」(こちらが動く前提で聞いている)
相手の思考コストを下げることが、返信を得る最短の方法です。
5. 相手が言ったことを1つだけ引用する
前回の会話や、相手が見ていた資料の箇所に触れます。
❌ 「ご希望に沿う物件をお探ししております」 ✅ 「『もう少し収納が欲しい』というお話が印象に残っています」
テンプレートを個別メールに変えるのは、この一文だけです。 逆に言えば、この一文がないメールは何通送っても「一斉送信」として扱われます。
6. 次のアクションを1つだけ明示する
❌ 「ご検討のうえ、ご不明点があればお問い合わせください」(何もしなくてよい) ✅ 「資料をご覧のうえ、方向性だけこの返信でお知らせいただけますか」(やることが1つ)
「ご検討ください」で終わるメールは、相手にとって何もしなくてよいメールです。返信・日程回答・資料の閲覧のいずれか1つに絞って依頼します。選択肢を並べると、選ぶ手間そのものが離脱の理由になります。
7. 断る導線を用意する
「今後のご連絡が不要でしたらお知らせください」の一文は、機会損失ではありません。不要な相手をリストから外せるうえ、残った相手の反応精度が上がります。 加えて、法的なラインで述べるとおり、受信拒否の意思表示を受け付ける手段の提示は法令上求められる場合があります。
追客はどこまで追っていいのか — 法的なライン
現場で最も判断に迷う「何回まで追っていいのか」「いつまで連絡していいのか」には、実は法的な答えがあります。「断られた相手を追い続けること」「深夜・早朝に電話すること」「名乗らずに勧誘すること」「判断する時間を与えずに急がせること」には、法令上の禁止規定があるからです。ただしどの法令が適用されるかは取引によって変わるため、まず自分の取引を確認するところから始めます。
注意: 以下は条文および所管官庁の資料に基づく概要です。実際にどの法令が適用されるかは、取引の形態・商品・勧誘の方法によって異なります。個別の判断は、所轄の行政庁や弁護士等の専門家にご確認ください。
どの法律が自分に適用されるか
追客の規制は「業種」ではなく「取引ごと」に決まります。 ここを取り違えると、必要な規制を見落としたり、逆に自分には適用されない規制に縛られたりします。
出発点になるのが特定商取引法第26条の適用除外です。同条第1項は、一定の販売・役務の提供について前三節(訪問販売・通信販売・電話勧誘販売)の規定を適用しないと定めています。追客に関係する主な除外は、相手方が営業のためにまたは営業として締結する契約(第1号)、宅地建物取引業者が行う宅地建物取引業に係る取引(第8号ロ)、保険会社・外国保険会社等・少額短期保険業者・保険仲立人・特定保険募集人(一部の役員・使用人を除く)による取引(第8号ニ、施行令第11条・別表第二第37号)の3つです。
下表で「自分の取引の行」と「業種を問わない2行」を見つけてください。その節に加えて、章末の「『違法な追客』と『嫌われる追客』」「適用の有無を問わない実務規範」の2節は全員お読みください。 なお宅地建物取引業に係る取引は、相手が事業者であっても1行目が適用されます(宅建業法78条2項の業者間取引の適用除外に47条の2は含まれていません)。
| あなたの取引 | 追客で中心になる規制 | 特定商取引法(電話勧誘販売)の扱い |
|---|---|---|
| 宅地建物取引業に係る取引(不動産の売買・賃貸の仲介や販売) | 宅地建物取引業法 第47条の2第3項・施行規則 第16条の11 | 適用除外(26条1項8号ロ) |
| 保険の募集 | 保険業法(募集規制・意向把握・乗換募集など) | 適用除外(26条1項8号ニ・別表第二第37号) |
| BtoB取引(相手方が営業のため/営業として締結する契約) | 特定商取引法の勧誘規制は及ばない。ただし宅地建物取引業に係る取引なら、相手が法人でも宅建業法の規制はかかる。それ以外は実務規範に従う | 適用除外(26条1項1号) |
| 上記に当たらない消費者向け取引(リフォーム、住宅設備、通信、教材など) | 特定商取引法(電話勧誘販売に該当する場合) | 適用あり |
| 広告・宣伝を含むメールを送る場合(業種を問わない) | 特定電子メール法 | — |
| 顧客情報を扱う場合(業種を問わない) | 個人情報保護法 | — |
出典: 特定商取引に関する法律 第26条(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/351AC0000000057 / 特定商取引に関する法律施行令 第11条・別表第二 https://laws.e-gov.go.jp/law/351CO0000000295
注意したいのは、この除外は「事業者」単位ではなく「取引」単位だという点です。宅地建物取引業者であっても、リフォーム請負や太陽光設備の販売など宅建業に該当しない取引を行えば、その取引には特定商取引法が適用されえます。一方、特定電子メール法と個人情報保護法は業種・取引形態を問わず適用されます。
宅地建物取引業法施行規則 第16条の11(不動産業者に適用)
宅地建物取引業に係る取引を行っていない方は、この節を読み飛ばして特定商取引法へ進んでください。逆に、相手が法人でも宅建業に係る取引であればこの節が適用されます(宅建業法78条2項の業者間取引の適用除外に47条の2は含まれていません)。
宅地建物取引業法第47条の2第3項に基づき、施行規則第16条の11第1号で「契約締結の勧誘に関する禁止行為」が定められています。投資用マンション等の悪質な勧誘が社会問題化したことを受けた平成23年8月31日の改正(同年10月1日施行)で、下表のハ・ニ・ホの3項目が追加されました(当時の条番号は第16条の12。その後の改正で繰り上がり、現行は第16条の11です)。
| 号 | 禁止されること(条文の要旨) | 追客の実務でどうなるか |
|---|---|---|
| 第1号イ | 契約の目的物である宅地・建物の将来の環境や交通その他の利便について、誤解させるべき断定的判断を提供すること | 「この先大きな建物は建ちません」「数年後に必ず道路が通ります」は不可 |
| 第1号ロ | 正当な理由なく、契約を締結するかどうかを判断するために必要な時間を与えることを拒むこと | 「解釈・運用の考え方」は、事実を歪めて「明日では契約締結はできなくなるので、今日しか待てない」と告げることを例示 |
| 第1号ハ | 勧誘に先立って、宅地建物取引業者の商号または名称、勧誘を行う者の氏名、勧誘をする目的である旨を告げずに勧誘を行うこと | 冒頭で「会社名・氏名・用件」を名乗らないのは違反。「アンケートです」と切り出して勧誘に入るのも同様 |
| 第1号ニ | 相手方が契約を締結しない旨の意思(勧誘を引き続き受けることを希望しない旨の意思を含む)を表示したにもかかわらず、勧誘を継続すること | 「もう結構です」と言われた相手への再アプローチは違反。 担当者を変えて掛け直すのも同じ。停止の判断基準はいつやめるのかを参照 |
| 第1号ホ | 迷惑を覚えさせるような時間に電話し、または訪問すること | 深夜・早朝の架電や訪問は違反 |
| 第1号ヘ | 深夜または長時間の勧誘その他の私生活または業務の平穏を害するような方法により相手方を困惑させること | **過剰連絡・長時間の粘りにも法令上の線がある。**追い込み型のKPI設計はここに抵触しうる |
出典: 宅地建物取引業法施行規則 第16条の11(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/332M50004000012 / 国土交通省「宅地建物取引業法施行規則の一部改正について」 https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/sosei_const_fr3_000014.html
では「迷惑を覚えさせるような時間」とは何時からか。国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」は、第16条の11第1号ハからヘの運用を「平成23年9月16日 国土動指第26号」の通知に委ねています(本記事は同通知の原文を確認できていないため、以下は行政庁の事業者向け資料によります)。東京都住宅政策本部は次のように案内しています。
「迷惑を覚えさせるような時間」とは、一般的には相手方に承諾を得ている場合を除き、夜21時から朝8時
同資料は実務上重要な2点も示しています。**規制されるのは「勧誘を開始する時刻」**であり勧誘の途中で当該時間に至っても対象外であること、相手方が事務所を訪問した場合は対象外であることです。
出典: 東京都住宅政策本部民間住宅部不動産業課「投資用不動産等の取引業務に関する禁止事項(執拗な勧誘行為ほか)について」 https://www.juutakuseisaku.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/juutakuseisaku/5_tousiyouhudousan-kinsijikou-pdf-pdf / 国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」 https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/content/001881261.pdf / 宅地建物取引業法 第47条の2・第65条(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/327AC1000000176
「夜遅くまで頑張って架電する」は、宅建業者にとって美徳ではなくリスクです。承諾を得ている場合を除き、夜間の架電は避けてください。これらの禁止行為(法第47条の2第3項違反)は、宅地建物取引業法第65条に基づく指示処分・業務停止処分の対象となりえます。
特定商取引法 第16条〜第22条(消費者向けで電話勧誘販売に該当する場合)
宅地建物取引業に係る取引・保険の募集・BtoB取引のみを行っている方は、この節は適用外です(ただし宅建業に係る取引には前節が適用されます)。
事業者が消費者に電話をかけ、または政令で定める方法により電話をかけさせて勧誘し、郵便等により申込みを受けたり契約を締結したりする取引は、特定商取引法上の**「電話勧誘販売」**(同法第2条第3項)に該当する場合があります。「電話をかけさせる方法」は施行令第2条で、①勧誘目的であることを告げずに電話を要請すること、②著しく有利な条件で契約できる旨を告げて電話を要請すること(要請の日前に取引のあった相手を除く)の2類型に限定されています。いったん電話を切ってから郵便や電話で申込みがなされた場合も含まれます。
| 条文 | 内容 | 追客の実務でどうなるか |
|---|---|---|
| 第16条 | 勧誘目的の明示義務。勧誘に先立ち、事業者名、勧誘者の氏名、商品の種類、勧誘目的である旨を告げる | 名乗らずに本題へ入る架電は不可 |
| 第17条 | 再勧誘の禁止。 契約を締結しない旨の意思を表示した者に対する勧誘の継続・再勧誘の禁止 | 一度断られた相手への追客は停止する |
| 第18条・第19条 | 書面交付義務。申込み受領時・契約締結時に、商品の種類・価格・支払時期・引渡時期・クーリング・オフ等を記載した書面を交付する | 電話で決まっても口頭で終わらせない |
| 第21条 | 不実のことを告げる行為、故意に事実を告げない行為、威迫して困惑させる行為の禁止 | 「今日中に決めないと無くなります」等の煽りは不可 |
| 第22条第1項第5号(施行規則第64条第1号) | 迷惑を覚えさせるような仕方での勧誘の禁止(指示処分の対象行為) | 深夜・早朝の架電、長時間の勧誘、執拗な繰り返しの勧誘が該当しうる |
出典: 消費者庁「特定商取引法ガイド/電話勧誘販売」 https://www.no-trouble.caa.go.jp/what/telemarketing/ / 特定商取引に関する法律(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/351AC0000000057 / 特定商取引に関する法律施行規則 第64条 https://laws.e-gov.go.jp/law/351M50000400089
なお同法26条7項1号は、顧客のほうから契約の申込みまたは締結のために電話をかけることを請求した場合に、第18条・第19条・第21条〜第25条(クーリング・オフの第24条を含みます)を適用しないとしています。ただしこの除外にはカッコ書きがあり、電話勧誘行為または施行令第19条の行為によって請求させた場合は除かれます。 施行令第19条は、電話・郵便・信書便・電報・ファクシミリ・**電磁的方法(メール等)**により、またはビラ・パンフレットの配布、新聞雑誌広告、ラジオ・テレビ・ウェブページ等を利用して、勧誘をするためのものであることを告げずに電話をかけることを請求させる行為を指します。メールやDMで勧誘目的を告げずに折り返しを促した場合も、ここに含まれます。
つまりWeb広告やポータル経由の反響で折り返しを依頼されたケースは、この除外に当たらないことが多いということです。資料請求後の折り返し依頼も、契約の申込み・締結のための請求とは限りません。実務では除外を前提にしない運用が安全です。なお第16条(勧誘目的の明示)と第17条(再勧誘の禁止)は、この除外の対象外であり適用が続きます。
時間帯についても同様の基準があります。 「特定商取引に関する法律等の施行について」(平成16年11月4日 経済産業省大臣官房商務流通審議官通達)は、「迷惑を覚えさせるような仕方」の解釈をこう述べています。
正当な理由なく不適当な時間帯に(例えば午後9時から午前8時まで等)勧誘をすること、長時間にわたり勧誘をすること、執ように何度も勧誘をすること等はこれに該当することが多いと考えられる。
電話勧誘販売については、同通達がさらに「深夜早朝や長時間の電話勧誘及び職場への電話勧誘については、相手方がそれを承諾しているケース等を除いて、『迷惑を覚えさせるような仕方での勧誘』に該当する場合が多い」と明示しています。職場への架電が名指しされている点は見落としやすい論点です。
出典: 平成16年11月4日 経済産業省大臣官房商務流通審議官通達「特定商取引に関する法律等の施行について」(消費者庁掲載) https://www.no-trouble.caa.go.jp/pdf/20070620ra27.pdf ※同通達の「省令第7条・第23条」は、現行の特定商取引法施行規則では第18条(訪問販売)・第64条(電話勧誘販売)に相当します。
特に注意したいのが第17条の「意思表示」の解釈です。 消費者庁の運用指針は、「いりません」「お断りします」などの明示的な意思表示だけでなく、応答せずにそのまま電話を切ることが繰り返されるなど、黙示的に契約を締結しない旨の意思を表示したと考えられる場合も該当するとしています。
押さえておきたいのは、指針が挙げているのが「応答せずにそのまま電話を切る」ケース、つまり相手が電話に出たうえで無言で切る場合だという点です。単に電話がつながらない(不在・不応答)ことが黙示の意思表示になるとは述べられていません。とはいえこの線引きを各担当者の判断に委ねると必ずブレます。「無言で切られた」「明確に断られた」を記録し、一定回数で長期リストか停止に振り分ける社内ルールを先に決めておくのが安全です。
出典: 消費者庁「特定商取引に関する法律第3条の2等の運用指針 — 再勧誘禁止規定に関する指針 — 」 https://www.no-trouble.caa.go.jp/pdf/20230421la02_03.pdf
特定電子メール法(広告・宣伝を含むメール全般)
追客メールに広告・宣伝の要素が含まれる場合は、特定電子メールの送信の適正化等に関する法律(特定電子メール法)の対象になります。業種・取引形態を問わず適用されるため、ここは全員に関係します。
同法第2条第2号は「特定電子メール」を、営利を目的とする団体および営業を営む場合における個人である送信者が、自己または他人の営業につき広告または宣伝を行うための手段として送信する電子メールと定義しています。総務省・消費者庁のガイドラインは、取引上の条件を案内する事務連絡や料金請求のお知らせなど取引関係に係る通知であって、広告または宣伝の内容を含まず、広告または宣伝のウェブサイトへの誘導もしないものは、これに当たらないと整理しています。
一斉配信か1対1かは判断基準ではありません(同法に通数の閾値はありません)。実務的な線引きは、そのメールが**「相手とのやり取りの続き」か「別の商材の案内」か**です。内見のお礼・日程調整・依頼された資料の送付は前者で通常は対象外、本来の用件とは別に新着物件や新機能を案内するものは後者にあたります。
同法第3条第1項は、次のいずれかに該当する相手以外への特定電子メールの送信を禁止しています(オプトイン規制)。
| 号 | 送信できる相手 | 追客での典型例 |
|---|---|---|
| 第1号 | あらかじめ送信に同意する旨を送信者または送信委託者に通知した者 | 問い合わせフォームで「メールでの情報提供を希望する」にチェックした顧客 |
| 第2号 | 自己の電子メールアドレスを送信者または送信委託者に通知した者 | 名刺交換など書面での通知に限られます(施行規則第2条)。Webフォームへの入力は該当しません |
| 第3号 | 当該広告・宣伝に係る営業を営む者と取引関係にある者 | 継続的に取引のある顧客 |
| 第4号 | 総務省令・内閣府令で定めるところにより自己の電子メールアドレスを公表している団体・営業を営む個人 | ウェブサイトに問い合わせ先を公開している法人 |
出典: 総務省・消費者庁「特定電子メールの送信等に関するガイドライン」 https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/d_syohi/pdf/m_mail_081114_1.pdf / 特定電子メールの送信の適正化等に関する法律(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/414AC0100000026 / 同施行規則 https://laws.e-gov.go.jp/law/414M60000008066
BtoB営業にとって実務上重要なのが第4号です。 同ガイドラインは、ウェブサイト等でメールアドレスを公開している事業者へのビジネス向け製品の広告・宣伝メールが「ビジネス慣習上も一定の範囲で認められている」として、この例外を設けた趣旨を説明しています。
ただし条件があります。施行規則第3条により「公表」とはインターネットで公衆が閲覧できる状態に置くことを指しますが、アドレスと併せて「特定電子メールの送信をしないように求める旨」の文言が置かれている場合は「公表」に当たりません。ガイドラインは、この拒否表示を「広告メール」等の文字と「拒否」「お断り」等の文字を組み合わせ、公表アドレスの直前または直後に表示することが適当としています。企業サイトで公開アドレスのそばに「広告メールお断り」とある場合、そのアドレスは例外の対象外です。
さらに、送信する場合には次の義務が課されます。
- 同意を証する記録の保存(第3条第2項) — 保存期間は施行規則第4条第2項で2つに分かれます。その相手に特定電子メールを送信しない場合は「送信をしないこととした日までの間」、送信した場合は「送信を最後にした日から起算して1ヶ月を経過する日までの間」です(措置命令を受けた場合には最長1年となる特則があります)
- オプトアウト(第3条第3項) — 受信拒否の通知を受けたあとは、その相手に特定電子メールを送信してはならない
- 表示義務(第4条) — 送信者の氏名または名称、受信拒否の通知を受けるための電子メールアドレス等の表示。加えて施行規則第9条により、受信拒否の通知ができる旨、送信者の住所、苦情・問合せ等を受け付けることのできる連絡先の表示が求められます
これらの表示は、配信システムを使っていればテンプレートのフッターに組み込まれているのが通常です。自社で作ったスクリプトやメーラーの一斉送信機能で配信している場合は要注意で、表示項目の欠落が起きやすい構成です。
特定電子メールの送信前チェック(3点)
広告・宣伝の内容を含むメールを送る前に、次の順で確認してください。表示義務(3)だけを満たしても、(1)を満たさない相手への送信は違法です。
- 相手が3条1項1〜4号のいずれかに当たるか — 同意を通知した者/書面でアドレスを通知した者(Webフォーム入力は該当しません)/取引関係にある者/自己のアドレスを公表している団体・営業を営む個人
- 受信拒否の通知を受けていないか(3条3項)
- 表示義務のフッターが付いているか(4条・施行規則9条) — 送信者名・住所・受信拒否の通知先・苦情等の受付先
本記事の例文でも、この線引きで判断が必要になるものには個別に注記を付けています。
本記事で深く扱わない法令(保険業法・個人情報保護法)
保険の募集は特定商取引法の適用除外ですが、代わりに保険業法の募集規制(意向把握・意向確認、重要事項の説明、乗換募集での不利益事項の説明、比較表示の適正さなど)がかかります。本記事は募集行為そのものを扱わないため詳述しません。追客メールに商品内容の比較や推奨が入る場合は、自社のコンプライアンス部門の確認を経てください。
個人情報保護法は業種を問わず適用されます。追客で関係するのは主に、①取得時に示した利用目的の範囲を超えて使わないこと、②外部委託の際に委託先を適切に監督することの2点で、それぞれ追客リストで管理すべき項目と追客代行・BPOという選択肢で触れています。
出典: 保険業法(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/407AC0000000105 / 個人情報の保護に関する法律 https://laws.e-gov.go.jp/law/415AC0000000057
「違法な追客」と「嫌われる追客」
ここまでの整理を1枚にまとめます。重要なのは、法令上の禁止は「その取引に適用される場合に限って」禁止だという点です。適用範囲の列を必ず併せて見てください。
なお「今日しか待てない」と急がせる行為の対応条文は、宅建業では規則16条の11第1号ロ、消費者向けでは期限が事実に反するなら特定商取引法21条1項の不実告知、執拗さの側面は22条1項5号・規則64条1号です。
| 区分 | 行為 | 適用される取引 | 代わりにどうするか |
|---|---|---|---|
| 法令上の禁止 | 断られた相手への継続・再勧誘 | 宅建業/消費者向け電話勧誘販売 | リストから外し、断りの日付を記録して組織で共有する |
| 法令上の禁止 | 深夜・早朝の電話・訪問、長時間の粘り | 宅建業 | 承諾を得た時間帯のみ架電する。時間帯を変えられないなら、相手が任意のタイミングで開くメールに切り替える(第1号ヘは手段を限定しないため、深夜のLINE送信も同じ射程です) |
| 法令上の禁止 | 名乗らず、用件を告げずに勧誘に入る | 宅建業/消費者向け電話勧誘販売 | 冒頭で社名・氏名・用件・所要時間を伝える |
| 法令上の禁止 | 判断に必要な時間を与えず「今日しか待てない」と急がせる | 宅建業/消費者向け電話勧誘販売 | 期限がある場合は根拠と併せて事実として伝える |
| 法令上の禁止 | 将来の環境・利便についての断定的判断の提供 | 宅建業 | 確定していないことは「未定」と伝える |
| 法令上の禁止 | 同意も例外要件もない相手への広告・宣伝メール送信 | 業種・取引形態を問わない | オプトインの取得と記録、表示義務の充足 |
| 指示処分の対象 | 迷惑を覚えさせるような仕方での勧誘(深夜・長時間・執拗な繰り返し) | 消費者向け電話勧誘販売 | 承諾を得た時間帯・回数の範囲に収める |
| 嫌われる行為 | 相手にとっての新情報を持たない状況確認だけの電話 | 全業種 | 新しい情報・資料・選択肢のいずれかを必ず持って架電する |
| 嫌われる行為 | 希望条件と違う物件・商品の押し付け | 全業種 | 条件が合わない期間は連絡頻度を落とす |
| 嫌われる行為 | 詰問口調のヒアリング(「なぜですか」の連続) | 全業種 | 選択肢を提示して選んでもらう形に変える |
| 嫌われる行為 | 社内で情報共有せず、同じ質問を繰り返す | 全業種 | 追客リストにヒアリング内容を残す |
| 嫌われる行為 | 個人SNSアカウントを特定してDMを送る | 全業種 | 公式アカウントでの発信にとどめる |
| 嫌われる行為 | 他社を貶める比較トーク | 全業種 | 判断の観点を渡し、比較は相手にしてもらう |
適用の有無を問わない実務規範
適用範囲の列を見て「自分の取引には法令上の禁止がほとんどかからない」と気づいた方(不動産以外のBtoB営業が典型です)にこそ伝えたいことがあります。宅建業法と特定商取引法が禁じている行為のうち、次の3つは法令の適用に関わらず通用する実務基準です。
- 断られたら追わない — 法令上の義務でなくても、断った相手に連絡を重ねれば、その会社の評判は確実に落ちます。BtoBほど業界は狭く、担当者は転職して別の会社に現れます
- 夜間に電話しない — 相手が個人事業主でも法人担当者でも、夜21時以降の営業電話が歓迎されることはありません
- 名乗ってから話す — 会社名・氏名・用件・所要時間を冒頭で伝えるのは、規制である以前に相手の時間への敬意です
法令が線を引いているのは、その線を越えると顧客との関係が壊れることが分かっているからです。適用除外は「やっていい」という意味ではありません。追客の目標数値が現場に強い圧力をかけている組織ほどこの線を越えやすいため、KPIを設計する側が明示的に共有する責任があります。
いつやめるのか — 継続/長期リスト化/掘り起こし/停止の判断基準
追客の解説の多くは「追い続けること」を前提に書かれています。しかし実務では、追わない判断も同じくらい重要です。追客リソースは有限であり、成約可能性の低い相手に使った時間は、動いている顧客から奪った時間だからです。
継続/長期リスト化/掘り起こし/停止 の4分岐
| 判断 | 条件の目安 | 具体的な運用 |
|---|---|---|
| 継続 | 返信・閲覧・再訪などの反応がある/検討時期が3ヶ月以内 | 温度感に応じた頻度で追客を続ける |
| 長期リスト化 | **反応はないが、断られてもいない。**検討時期が半年以上先だと分かっている | 個別の追客をやめ、月1回程度の一斉配信リストへ移す。営業担当の稼働からは外す |
| 掘り起こし対象 | **3ヶ月以上まったく動きがない、または過去の失注客。**検討時期の情報自体が古くなっている | 通常の追客を止め、四半期に1回の掘り起こし施策に組み込む |
| 停止 | 「連絡は不要」「もう結構です」と明示された/応答されたが無言で切られることが繰り返されている | 即時に停止。 断りの日付と内容を記録し、リストにフラグを立てて組織で共有する(法的なラインを参照) |
「長期リスト化」と「掘り起こし対象」の切り分けは、条件が似ているため実務で混同されがちです。判断基準は 「相手の検討時期の情報が生きているかどうか」 です。
- 「来年の春に検討したい」と本人が言っており、その情報が有効なら 長期リスト化。その時期に合わせて接触を再開する予定を立てられます
- 最後の会話から時間が経ちすぎ、検討時期の情報自体が当てにならなくなっていれば 掘り起こし対象。状況が変わっている前提で、ゼロから状況を聞き直す設計が必要です
判断の分かれ目は「反応の有無」と「断りの有無」の2つですが、ここで注意したいのは、反応がない=断られた、ではないということです。メールを開いて資料を見ているのに返信だけがない、というケースは頻繁にあります。閲覧シグナルが取れる環境であれば、この2つを明確に区別できます。
長期リストから「今すぐ客」に戻すトリガー
長期リストへ落としたまま放置すると、そのリストは死蔵されます。戻す条件を先に決めておくことが、掘り起こしの成果を左右します。
| 再昇格のトリガー | 検知の方法 | 戻したあとの初動 |
|---|---|---|
| 過去に送った資料への再訪 | 資料閲覧トラッキング/DSR | 当日中に連絡。「その後ご検討の状況に変化がありましたか」ではなく、見ていたページの話から入る |
| 一斉配信メールへの反応(開封・クリック) | メール配信システム | 数日以内に個別メール。クリックした内容に絞った情報を送る |
| 本人からの再問い合わせ | 反響の受付経路 | 最優先。過去の履歴を確認してから折り返す |
| 検討時期として聞いていた時期の到来 | 追客リストの「検討時期」欄 | 期日の2〜3週間前に接触を再開する |
このうち最初の2つは、人が気づくのを待つと必ず取りこぼします。通知が飛ぶ仕組みにしておくことが前提になります。
掘り起こし(休眠客の再活性)の進め方
長期リストや失注客への掘り起こしは、通常の追客とは設計が異なります。接点が切れている期間が長いほど、連絡する「理由」の重みが必要になるためです。
掘り起こしが機能する条件は3つです。
- 相手側に状況変化がある可能性が高いタイミングを選ぶ — 賃貸なら更新時期の2〜3ヶ月前、住宅なら家族構成の変化が起きやすい時期、BtoBなら期初・期末の予算タイミング
- 前回との差分を持っていく — 「その後いかがですか」ではなく、「以前ご希望だった条件の物件が出ました」「当時足りなかった機能が対応しました」という具体的な変化を伝える
- 断る導線を必ず添える — 長期間空いた相手への連絡は、拒否の意思表示の機会をセットで提供する。これは配慮であると同時に、リストの精度を保つ手段でもあります
掘り起こしの反応率は、通常の追客より低くて当然です。返信がないことを失敗と捉えず、「反応した少数を見つけるための施策」と位置づけるほうが、運用が続きます。
追客を効率化するツール
追客は本質的に「抜け漏れとの戦い」です。件数が増えれば、記憶と手作業では必ず破綻します。ツールはその破綻を防ぐために使います。
| カテゴリ | 追客で解決すること |
|---|---|
| SFA / CRM(営業支援・顧客管理) | 誰が・どの案件を・どこまで進めたかを可視化し、放置案件を検知する。履歴が残るため引き継げる |
| MA(マーケティングオートメーション) | そのうち客への定期接触を自動化し、反応した相手だけを営業へ渡す |
| メール配信システム | 一斉配信・ステップメール・開封計測。法令上の表示義務への対応も担う |
| LINE公式アカウント/LINE連携ツール | 個人向け営業で開封率の高いチャネルを確保する |
| CTI(電話連携) | 着信時の顧客情報表示、架電履歴の自動記録 |
| 不動産専用の追客ツール | ポータル反響の自動取り込み、物件情報の自動配信、自動架電。一次対応の遅れを構造的になくす |
| デジタルセールスルーム(DSR) | 送った資料が読まれたかを把握し、追客のタイミングと内容を決める |
目的×企業規模でのツール選定
「高機能だから成果が出る」わけではありません。追客が止まる原因がどこにあるかで、入れるべきものが変わります。
| 追客が止まる原因 | 優先して入れるもの | 向く規模 |
|---|---|---|
| 反響の一次対応が遅い・漏れる | 反響の自動取り込み+自動返信(不動産専用ツール/MA/フォーム連携) | 全規模 |
| 誰をいつ追うか分からない | SFA/CRM(次回アクション日で管理) | 数名〜 |
| そのうち客に手が回らない | メール配信システム/MA(ステップメール) | 見込み客数百件〜 |
| 送った資料が読まれたか分からない | デジタルセールスルーム/資料閲覧トラッキング | 全規模 |
| 架電の記録が残らない | CTI | 架電中心の組織 |
| 担当者が辞めると顧客が消える | CRM+DSRで履歴と共有資料を組織資産にする | 全規模 |
導入時に見落とされがちなのが、**「入力の手間が現場の負担を超えないか」**という観点です。項目が多すぎるSFAは埋まらず、埋まらないSFAは誰も見なくなります。まずは追客リストで管理すべき項目の必須項目だけを運用し、回るようになってから拡張してください。
追客代行・BPOという選択肢
反響の一次架電やステップメールの運用を外部に委託するサービスもあります。一括査定反響への即時架電代行や、賃貸・売買のインサイドセールス代行などが該当します。
| 選択肢 | 向くケース | 向かないケース |
|---|---|---|
| 追客代行・BPO | 反響数に対して人員が足りず、初動が構造的に遅れている/夜間・休日の反響を取りこぼしている | 商品説明に専門知識が要り、代行では会話が成立しない/代行の会話履歴が自社に残らない契約になっている |
委託を検討する際は、会話ログや取得した情報が自社の資産として残る契約になっているかを必ず確認してください。アポイントの数だけが納品され、その過程のヒアリング内容が残らない契約では、追客のノウハウが社内に蓄積しません。また、顧客の個人情報を外部に渡すことになるため、個人情報保護法上の委託先の監督義務が生じる点も押さえておく必要があります。
ツールの前に、運用の切り替えで効くこと
大掛かりなツール導入より、運用の切り替えのほうが効くことがあります。よくある2つのパターンを、構造だけ紹介します(具体的な数値は組織によって変わるため記載していません)。
パターン1: 一次対応を「担当者割り当て」から「当番制」に変えた
反響が入ると担当エリアの営業に自動で割り当てる運用にしていると、その担当者が接客中・内見同行中の時間帯に入った反響は、数時間から翌日まで滞留します。これを「その時間の当番が一次対応だけ行い、二次対応から担当者に引き継ぐ」形に変えると、担当者の稼働状況と一次対応の速さが切り離されます。引き継ぎのために、当番が聞き取る項目(希望条件・検討時期・連絡可能な時間帯)を固定しておくのがポイントです。
パターン2: そのうち客を営業の追客リストから外した
温度感を分類した結果、追客リストの大半が「そのうち客」だったという組織は珍しくありません。この層を営業担当の個別追客の対象から外し、月1回の一斉配信に移すと、今すぐ客・そろそろ客への接触回数が増えます。外すことは放置ではありません。再昇格トリガー(一斉配信への反応、資料への再訪)を設定しておけば、動いた相手だけが営業のリストに戻ってきます。
どちらも共通しているのは、追客の総量を増やすのではなく、限られた時間の配分先を変えている点です。
Terasu(デジタルセールスルーム)の位置づけ
本記事を提供しているTerasuは、追客を効率化するツールのカテゴリ表にある**デジタルセールスルーム(DSR)**にあたります。SFAやCRMの代替ではなく、顧客と共有する資料のレイヤーを担当するツールです。
提案書・見積書・事例・FAQを顧客ごとの専用ページにまとめて共有し、誰がどのページを何秒見たか、いつ再訪したかを営業側で把握できます。シグナル起点の追客を実行するための土台であり、SFA・CRMと併用する前提の設計です。製品の比較検討をされる場合はデジタルセールスルームの比較ガイドや提案資料の共有ツール選定もあわせてご覧ください。
追客の成果をどう測るか
追客は「頑張ったかどうか」で評価すると必ず属人化します。次の指標を月次で見るだけで、改善点が具体的になります。
| 指標 | 定義 | 何が分かるか |
|---|---|---|
| 一次対応までの所要時間(中央値) | 反響発生から最初の接触までの時間 | 初動の速さ。平均ではなく中央値で見る |
| 追客カバー率 | 期間内に1回以上接触した見込み客 ÷ 追客対象の総数 | 放置されている層の規模 |
| 次回アクション設定率 | 次回アクション日が入っている案件 ÷ 追客中の案件 | 追客が止まる予兆を先に検知できる |
| 資料の再訪率 | 送付した資料に2回目以降のアクセスがあった割合 | 検討が続いているかどうか |
| 商談化率(温度感別) | 商談に至った件数 ÷ 追客した件数 | 分類の精度と、どの層に投資すべきか |
| 掘り起こし復活率 | 掘り起こし施策から商談化した件数 ÷ 対象件数 | 休眠リストの資産価値 |
このうち、**最も先に整備すべきは「次回アクション設定率」**です。追客が止まる案件は、例外なく「次に何をするか」が決まっていません。結果指標である商談化率よりも早く異常を検知できます。KPIの設計全体についてはインサイドセールスのKPI設計ガイドも参考にしてください。
追客の「読まれたかどうか」をTerasuで可視化する
Terasuなら、顧客に共有した提案書・見積書・物件資料の閲覧状況をページ単位で把握できます。反応のある顧客に工数を寄せ、放置される見込み客をなくす追客体制をつくれます。
無料ではじめるよくある質問(FAQ)
追客とはどういう意味ですか?読み方は?
追客(読み方: ついきゃく)とは、問い合わせ・来店・資料請求などで一度接点を持った見込み客に対し、継続的に連絡や情報提供を行い、成約へ導く営業活動のことです。不動産業界で生まれた業界用語ですが、住宅・保険・BtoB営業など、検討期間が長く比較検討される商材を扱う業種で広く使われています。目的は「関係の維持」「機会損失の防止」「購買タイミングの捕捉」の3つです。
追客中とはどういう意味ですか?
追客中とは、接点はあるものの成約に至っておらず、継続的なアプローチを実施している最中の見込み客の状態を指します。営業日報やSFA・顧客管理台帳のステータス欄で「反響」「商談中」「保留」「追客停止」などと並べて使われます。追客中の顧客をさらに温度感(今すぐ客・そろそろ客・そのうち客・休眠客)で分けると、頻度とチャネルの配分を最適化できます。
「追客」の言い換えは?
最も無難な言い換えは「フォローアップ」です。ほかに「顧客フォロー」「後追い営業」があり、BtoBマーケティングの文脈では「リードナーチャリング」がほぼ同じ活動を指します。長期間動きのない顧客への再アプローチに限定する場合は「掘り起こし」と呼びます。追客は不動産業界の用語のため、他業種の相手にはフォローアップと言い換えるのが安全です。
追客は英語で何と言いますか?
追客に一対一で対応する英単語はありません。単発から数回のフォローは follow-up、継続的に購買意欲を育てる活動は lead nurturing、見込み客の継続管理全体は prospect follow-up / lead follow-up と訳し分けます。英語圏のセールス文脈で最も近い概念は lead nurturing です。
追客の頻度・タイミングはどれくらいが適切ですか?
唯一の正解はなく、顧客の温度感によって変えます。目安として、今すぐ客は都度、そろそろ客は1〜2週間に1回、そのうち客は月1回、休眠客は四半期に1回程度です。ただし回数より重要なのは「送る理由」です。新しい物件情報、制度の変更、相手が見ていた資料の続きなど、相手側にとっての理由があるときに連絡してください。反響発生後の一次対応だけは別格で、その日のうちを組織の基準にする価値があります。
追客は何回まで続けていいのですか?法律上の制限はありますか?
回数の上限を定めた規定はありませんが、「断られた相手を追い続けること」には禁止規定があります。宅地建物取引業に係る取引では、宅地建物取引業法施行規則第16条の11第1号ニが、契約を締結しない意思や勧誘を受けることを希望しない意思を表示した相手への勧誘継続を禁止しています。宅建業に当たらない消費者向け取引で電話勧誘販売に該当する場合は、特定商取引法第17条が再勧誘を禁止しています(BtoB取引と保険の募集は特定商取引法26条1項の適用除外です。ただし宅建業に係る取引は相手が法人でも宅建業法の規制がかかります)。適用の有無にかかわらず、回数ではなく「断られたかどうか」で止める設計にしてください。
追客の電話は何時までかけていいですか?
宅地建物取引業に係る取引では、施行規則第16条の11第1号ホが迷惑を覚えさせるような時間の電話・訪問による勧誘を、同号ヘが深夜または長時間の勧誘により相手方を困惑させることを禁止しています。時間帯の運用は通知に委ねられており、東京都住宅政策本部の資料では「承諾を得ている場合を除き夜21時から朝8時」と案内されています。消費者向けの電話勧誘販売では、特定商取引法第22条第1項第5号・同施行規則第64条第1号の「迷惑を覚えさせるような仕方での勧誘」について、平成16年11月4日の通達が「例えば午後9時から午前8時まで等」を例示しています。BtoB取引は特定商取引法の適用除外ですが、宅建業に係る取引であれば相手が法人でも宅建業法の規制はかかります。いずれにせよ、夜間の営業電話が歓迎されないことは変わりません。
追客とリードナーチャリングの違いは何ですか?
やっている内容はほぼ同じで、使われる業界が違います。追客は不動産・住宅などの現場で生まれた言葉で、営業担当が個別に行う継続アプローチを指します。リードナーチャリングはBtoBマーケティングの用語で、シナリオやMAツールを使って仕組みとして回す育成活動を指すニュアンスが強くなります。BtoBで追客を仕組み化したい場合は、リードナーチャリングの設計手法がそのまま応用できます。
追客メールが読まれているかを確認する方法はありますか?
メールの開封確認機能(Outlook・Gmail)やメール配信システムの開封トラッキングで、メール自体が開かれたかは把握できます。ただし開封確認は相手が承諾しなければ通知が返らず、また「メールを開いた」ことしか分かりません。添付した提案書や物件資料のどこを読んだかは分からないため、追客のタイミング判断には不十分です。資料側の閲覧状況まで見たい場合は、資料閲覧トラッキングやデジタルセールスルームのように、ページ単位の閲覧・滞在時間・再訪を把握できる手段が必要になります。
追客メールに返信がないときはどうすればいいですか?
まず「反応がない」と「断られた」を分けてください。資料の閲覧や再訪があるなら検討は続いており、内容や送信時間を変えて再アプローチする価値があります。閲覧も返信もない場合は、チャネルを変えて到達を確認し、それでも動きがなければ長期リストへ移して頻度を落とします。判断を担当者ごとの裁量に委ねるとブレるため、「メール◯通・架電◯回で長期リストへ落とす」といった社内ルールを先に決めておくことをおすすめします。
追客の代行サービスは使うべきですか?
反響数に対して人員が足りず初動が構造的に遅れている場合や、夜間・休日の反響を取りこぼしている場合には有効です。一方、商品説明に専門知識が必要で代行では会話が成立しない場合や、会話ログが自社に残らない契約では、追客のノウハウが社内に蓄積しません。委託を検討する際は、取得したヒアリング内容や会話履歴が自社の資産として残る契約かどうかに加え、個人情報の取扱いと委託先の監督体制も必ず確認してください。
まとめ:今日から始める追客チェックリスト
追客とは、一度接点を持った見込み客との関係を維持し、相手の検討が煮詰まる瞬間に居合わせるための活動です。押し売りではなく、長い検討期間の中で「見える場所に居続けること」 が本質です。
最後に、明日から着手できる順に整理します。
- 追客リストに 「最終接触日」「次回アクション日」「次回アクションの内容」「温度感」「断りの意思表示の有無」 の5項目を用意する
- 追客中の顧客を 4分類(今すぐ客/そろそろ客/そのうち客/休眠客) に振り分ける
- 分類ごとに 頻度・チャネル・ゴール を決め、チームで合意する
- 一次対応までの所要時間(中央値) を1ヶ月分だけ集計する
- 断られた相手をリストから外す運用(記録と共有)を整備する
- 深夜・早朝の架電を 組織のルールとして禁止する
- 広告・宣伝を含むメールを配信している場合、表示義務の項目(送信者名・住所・受信拒否の通知先・苦情等の受付先) がフッターに入っているか確認する
- 長期リストから 今すぐ客に戻すトリガー(再訪・開封・時期到来)を決める
- 本記事の例文から、自社の業種・シーンに合う3本を選んで自社仕様に書き換える
- 「ご検討状況いかがですか」というメール・電話を 今月から禁止し、必ず新しい情報を持って連絡する
- 送った資料の 閲覧状況が見える手段を検討する(追客のタイミングを勘から根拠に変えるため)
追客は、才能ではなく設計と運用で差がつく領域です。分類・記録・タイミング・法的な線の4つを整えるだけで、同じ人員のまま成約数は変わります。


