
商談アジェンダの作り方|60分の構成・時間配分とテンプレート
商談アジェンダとは、商談の目的・話す議題・時間配分・終わったときに決めたいことを、先方と事前にそろえるための進行表です。社内会議のアジェンダと違い、相手が確認したいことを書く欄と、最後に合意する「次のアクション」を必ず入れるのが特徴です。この記事では、60分商談の構成を初回ヒアリング・提案・条件調整の3種類に分けて時間配分の目安で示し、30分や90分への組み替え方、事前に送るアジェンダの文面、冒頭で読み上げる合意トーク、時間が押したときに削る順番までを、コピーして使える形でまとめます。
商談アジェンダは、商談の「目的」「先方が確認したいこと」「こちらが確認したいこと」「時間配分」「参加者と役割」「終了時に決めたいこと(次のアクション)」の6項目を書いた進行表です。国語辞典のデジタル大辞泉はアジェンダを「計画。予定表。議事日程。協議事項」と説明しています(コトバンク/デジタル大辞泉)。商談では、この予定表を売り手だけのメモで終わらせず、先方と合意する点が大切です。
この記事の要点(先に結論)
- 商談アジェンダには、目的・先方の確認事項・こちらの確認事項・時間配分・参加者と役割・終了時に決めたいことの6項目を書く
- 60分商談は「冒頭5分で進め方を合意」「最後の5〜10分で次のアクションを合意」の2枠を固定し、残り45〜50分を商談の種類に合わせて配分する
- 初回ヒアリングは聞く時間を最も長く、提案・デモは課題の確認と説明を半々に、条件調整は決める項目の確認に時間を寄せる
- 30分しか取れないときは、説明を短くするより議題そのものを減らす。時間が押したら、事例紹介や詳細説明から削り、次のアクションの合意は削らない
- アジェンダは1〜2営業日前(遅くとも前日の午前中)までに送り、先方が確認したいことを1行でも書き込んでもらうと、当日の議論が先方の関心から始められる
どこから読むか
目的に合わせて、必要なところから読み進めてください。
| 当てはまる状況 | 次に読むセクション・アクション |
|---|---|
| 明日の商談のアジェンダをすぐ作りたい | 「そのまま使える商談アジェンダのテンプレート」をコピーする |
| 60分の時間配分の目安を知りたい | 「60分商談の構成とタイムライン」で商談の種類を選ぶ |
| 30分や90分の枠しか取れない | 「30分・45分・90分にするときの組み替え方」を読む |
| 先方の決裁者が同席する回の進め方に迷っている | 「商談の種類別に押さえる議題のポイント」の決裁者の節を読む |
| 社内の営業会議のアジェンダを作りたい | 社内向けは別物なので営業会議の進め方を読む |
| 商談全体の流れから見直したい | B2B商談の進め方7ステップで全体像を確認する |
商談アジェンダとは — 会議アジェンダとの違いと書く項目
商談アジェンダは、売り手と買い手が「この時間で何を話し、何を決めるか」を先にそろえるための進行表です。社内会議のアジェンダと同じ言葉ですが、合意する相手と書く項目が違います。
辞書上の意味と、商談で使うときの意味
アジェンダは、辞書では予定表・議事日程・協議事項を指す言葉です。精選版 日本国語大辞典も「予定案。議事日程。また、検討すべき課題」と説明しています(コトバンク)。
商談の場面では、この「議事日程」に2つの意味が加わります。1つは、売り手が話したいことだけでなく、先方が確認したいことを議題に入れること。もう1つは、商談の終わりに何を決めるかを先に書いておくことです。議題を並べただけの紙は「話す順番のメモ」にすぎず、先方にとっては参加する理由が見えません。
営業の手法として有名なSandler(サンドラー)は、商談の前に参加者全員で「これから何が起きるか」を合意しておく考え方を「アップフロント・コントラクト」と呼び、その中身を目的、相手のアジェンダ、自分のアジェンダ、時間と段取り、結果(次の一歩。断られる場合も含む)の5要素で説明しています(Sandler: Stop Wasting Time in Meetings: Use Up-Front Contracts to Stay Aligned)。商談アジェンダは、この合意を紙やメールの形にしたものだと考えると、書くべき項目がぶれません。
社内会議のアジェンダとの3つの違い
社内会議と商談では、同じアジェンダでも作り方が次のように違います。
| 観点 | 社内会議のアジェンダ | 商談アジェンダ |
|---|---|---|
| 誰と合意するか | 主催者が決めて共有する | 先方と合意してから始める |
| 議題を決める人 | 主催者と参加者(同じ組織) | 売り手が案を出し、先方の確認事項を加える |
| 終わり方 | 決定事項と担当を記録する | 双方の次のアクションと期日を合意する |
| 時間が押したとき | 延長や次回送りを社内で決めやすい | 先方の予定を延ばせないので、削る議題を決めておく |
| 事前共有の目的 | 資料を読んでくる準備 | 先方が社内の関係者を呼ぶか判断する材料 |
特に見落としやすいのが最後の行です。先方は届いたアジェンダを見て、「この内容なら情報システム部門も呼んだほうがよい」「費用の話が出るなら上長に同席してもらおう」と参加者を決めます。アジェンダが曖昧だと、当日になって「その話は担当が違うので持ち帰ります」となり、1回分の商談が進まずに終わります。
社内の営業会議(パイプラインレビューや週次会議)のアジェンダは、目的も構成もまったく別物です。社内会議の作り方は営業会議の進め方|報告会を終わらせる会議体設計とアジェンダテンプレートで解説しています。
アジェンダに書く6つの項目
商談アジェンダに書く項目は、次の6つです。Sandlerの5要素に「参加者と役割」を加えています。日本のB2B商談では、先方の誰が出席するかで話せる範囲が大きく変わるためです。
| 項目 | 書く内容 | 書き方の例 |
|---|---|---|
| 目的 | この商談で何を明らかにするか | 貴社の現状の進め方と課題を伺い、ご支援できる範囲かを一緒に判断する |
| 先方の確認したいこと | 事前に聞いた関心事、なければ空欄で依頼 | 他部署での利用可否、導入までの期間 |
| こちらの確認したいこと | 聞きたい質問を3〜5個 | 現在の運用、困っている場面、検討の期限 |
| 時間配分 | 議題ごとの分数と開始・終了時刻 | 14:00〜14:05 進め方の確認 |
| 参加者と役割 | 双方の出席者と、誰が何を話すか | 当社:営業担当(進行)、技術担当(質疑) |
| 終了時に決めたいこと | 商談の最後に合意したい次のアクション | 次回の提案日程と、同席いただく方の確認 |
「終了時に決めたいこと」は、売り手の希望をそのまま書くと押し付けがましく見えます。「次回の進め方を一緒に決めたい」「検討を続けるかどうかをこの場で判断いただいて構わない」のように、断る選択肢も含めて書くと、先方は安心して参加できます。Sandlerが結果の要素に「断られる場合も含む」と書いているのは、この点です。
アジェンダを作る前に決めておく3つのこと
アジェンダは議題を並べる前に、「目的を1文にする」「先方の出席者を確かめる」「今回決められる最大のことを見極める」の3つを決めてから書くと、議題の数と時間配分が自然に決まります。いきなり時間割から作り始めると、話したいことを全部入れた表になりがちです。
1. 商談の目的を1文で書けるか
最初に、「この商談が終わったとき、何がわかっていれば成功か」を1文で書きます。「製品を紹介する」は売り手の行動であって、目的ではありません。「先方の現在の運用と課題を把握し、提案に進むかを双方で判断する」のように、終わったときの状態で書くと、議題の取捨選択ができます。1文にまとまらない場合は、1回の商談に目的を詰め込みすぎています。目的を2つに分け、2回の商談に分けることを検討してください。
2. 先方の誰が出席するか
同じ議題でも、出席者が担当者だけか、上長や他部署が加わるかで、扱える深さが変わります。担当者だけなら現場の運用を細かく聞けますが、費用や導入時期の判断は持ち帰りになります。逆に決裁者が同席するなら、細かい機能説明より、判断に必要な結論と条件を先に示すべきです。日程調整の段階で「当日はどなたがご出席されますか」と確認し、その答えに合わせて議題を選びます。
3. 今回の商談で決められる最大のことは何か
最後に、「この出席者と、この時間で決められる最大のこと」を見極めます。初回の担当者との商談で契約を決めることはできませんが、「次回、上長同席で提案の場を設ける」ことなら決められます。これがアジェンダの「終了時に決めたいこと」の欄になります。高すぎる目標を書くと先方は身構え、低すぎると商談が進みません。出席者の立場から見て、無理なく「はい」と言える一歩上を選ぶのがこつです。
60分商談の構成とタイムライン — 種類別の時間配分
60分商談の構成は、冒頭5分の進め方の合意と最後の5〜10分の次アクション合意を固定し、残り45〜50分を商談の種類で配分するのが基本です。ここでは、初回ヒアリング・提案とデモ・条件調整の3種類について、時間配分の目安を示します。いずれも編集部が一般的な進め方をもとに作った目安例で、受注実績から算出したデータではありません。商材や先方の人数に合わせて調整してください。
初回ヒアリング商談(60分)の時間配分
初回商談は、先方の状況を聞くことが中心です。自社の説明は短くし、聞く時間を最も長く取ります。
| 時間帯 | 議題 | 進めること |
|---|---|---|
| 0〜5分 | 進め方の確認 | 目的・時間・終了時に決めたいことを読み上げ、先方の確認事項を聞く |
| 5〜10分 | 自己紹介と当社の概要 | 会社紹介は3分以内。先方の業界に関係する実績だけに絞る |
| 10〜35分 | 現状と課題のヒアリング | 現在の進め方、困っている場面、検討のきっかけと期限を聞く |
| 35〜45分 | 課題の整理と確認 | 聞いた内容を3点程度に要約し、優先順位が合っているか確認する |
| 45〜55分 | 質疑と進め方の相談 | 先方の質問に答え、提案に必要な追加情報を確認する |
| 55〜60分 | 次のアクションの合意 | 提案の日程、同席者、宿題(誰がいつまでに何を)を決める |
初回でありがちなのが、10〜35分のヒアリング枠に製品説明を差し込んでしまうことです。聞きたいことが先にあると、説明を始めた瞬間に先方は聞き役に回り、課題の話が出てこなくなります。ヒアリングの質問の組み立ては営業ヒアリングのコツとフレームワーク、聞く項目の一覧はヒアリングシートのテンプレートを参考にしてください。
提案・デモ商談(60分)の時間配分
2回目以降の提案やデモでは、前回聞いた課題の確認から入り、説明はその課題の順に並べます。時間帯の区切りは、BtoB営業プロセスの設計方法で紹介している60分の配分例と同じです。
| 時間帯 | 議題 | 進めること |
|---|---|---|
| 0〜5分 | 進め方の確認 | 前回からの変化を聞き、今日決めたいことを合意する |
| 5〜20分 | 課題の再確認 | 前回の要約を見せ、追加・修正がないか確認する |
| 20〜35分 | 解決策の説明・デモ | 課題の優先順に、解決の仕方を見せる |
| 35〜45分 | 事例と実行条件 | 導入の進め方、体制、先方に用意してもらうものを説明する |
| 45〜55分 | 費用と検討条件 | 費用の考え方と、社内検討に必要な材料を確認する |
| 55〜60分 | 次のアクションの合意 | 社内検討の進め方、次回の参加者、回答の期日を決める |
デモは見せたい機能を全部見せると時間が足りなくなります。前回のヒアリングで出た課題を上から3つ選び、それぞれに対応する画面だけを見せると、20〜35分の枠に収まります。
条件調整・クロージング商談(60分)の時間配分
見積もりや契約条件を詰める回では、説明より「決める項目の確認」に時間を寄せます。
| 時間帯 | 議題 | 進めること |
|---|---|---|
| 0〜5分 | 進め方の確認 | 今日決める項目の一覧を見せ、追加がないか確認する |
| 5〜15分 | 前回からの変化の確認 | 社内検討で出た質問や懸念を聞く |
| 15〜40分 | 条件のすり合わせ | 範囲・費用・期間・体制を1項目ずつ確認し、合意・保留を記録する |
| 40〜50分 | 導入までの段取り | 契約手続き、稟議の流れ、開始日までの準備を確認する |
| 50〜60分 | 次のアクションの合意 | 保留項目の回答者と期日、契約までの日程を決める |
条件調整の回は、最後の合意枠を10分に広げています。保留になった項目ごとに「誰が・いつまでに回答するか」を決める必要があり、5分では足りないことが多いためです。稟議の流れを先方と確認する方法は顧客の稟議を通す5つの材料とテンプレートで詳しく解説しています。
3種類を並べると、冒頭の進め方の確認(5分)と最後の次アクション合意(5〜10分)はどの商談でも同じ位置にあり、間の45〜50分の使い方だけが変わることがわかります。自社の商談がどの種類か迷ったら、「今日の終わりに先方に何を判断してもらうか」で選びます。判断材料を集める段階なら初回、解決策を評価してもらう段階なら提案、条件に合意してもらう段階なら条件調整の配分を使います。
3つの配分に共通する考え方
商談の種類が違っても、時間配分を決めるときの考え方は共通です。
1つ目は、冒頭と最後の枠を削らないことです。冒頭の5分で目的と終了時に決めたいことを合意しておくと、途中で話がそれても「最初にお話しした今日のゴールに戻ると」と軌道修正できます。最後の枠がないまま終わると、「では社内で検討します」の一言で商談が止まり、次の連絡を誰が取るのかが決まりません。
2つ目は、売り手が話す時間を意識して短くすることです。会話分析ツールを提供するGongは、2016年の分析で営業の成功につながる比率を「話す43%・聞く57%」と紹介しました。2025年に10分以上続いた営業通話32万6千件で分析し直した結果では、全通話の平均は「話す60%・聞く40%」で、売り手が話す割合は受注した案件で57%、受注できなかった案件で62%でした(Gong: Talk-to-listen ratio)。海外の営業通話の分析なので日本の対面商談にそのまま当てはまるとは限らない点に注意が必要ですが、アジェンダの段階で説明枠を詰め込みすぎていないかを確かめる判断材料になります。
3つ目は、議題に開始・終了の時刻を書くことです。「ヒアリング(25分)」より「14:10〜14:35 ヒアリング」のほうが、進行役も先方も時計を見て残り時間を判断できます。
30分・45分・90分にするときの組み替え方
60分以外の枠で商談するときは、各議題を同じ比率で縮めるのではなく、議題の数そのものを変えます。30分の枠に60分の議題をそのまま縮めて入れると、どの議題も中途半端になり、次のアクションまでたどり着けません。
| 商談の長さ | 向いている場面 | 残す議題 | 外す・別の場に回す議題 |
|---|---|---|---|
| 30分 | 初回の短時間面談、前回の続きの確認 | 進め方の確認、ヒアリングか説明のどちらか1つ、次のアクション | 会社紹介の詳細、事例紹介、費用の詳細 |
| 45分 | オンラインでの提案、少人数のデモ | 進め方の確認、課題の再確認、説明・デモ、次のアクション | 事例の深掘り(資料を後で送る) |
| 60分 | 初回ヒアリング、提案、条件調整の標準 | 上の3種類の配分どおり | なし |
| 90分 | 先方の関係者が多い提案、ワークショップ形式 | 60分の議題に、部門ごとの質疑枠と休憩5分を加える | 1回で全部門の合意を取ろうとすること |
30分の商談では、冒頭の進め方確認を3分、次のアクション合意を5分にし、残り22分で扱う議題を1つに絞るのが現実的です。「今日は現状を伺うことに集中し、ご提案は次回にさせてください」と冒頭で宣言しておけば、先方も時間内に終わることを前提に話してくれます。
45分の枠は、オンラインで提案やデモを行うときに選ばれることがある長さです。60分の提案商談から「事例と実行条件」と「費用と検討条件」の計20分を外し、課題の再確認を15分から10分に縮めた分を説明・デモに回して20分にします。最後は質疑と次のアクションの合意をまとめて10分取り、進め方の確認5分、課題の再確認10分、説明・デモ20分、質疑と次のアクション10分とすると45分に収まります。外した事例や費用の資料は、商談後のお礼メールに添えて送り、次回の冒頭で「お送りした資料でご不明な点はありましたか」と確認すれば、内容を落とさずに済みます。
90分の枠は、長いほど進むわけではありません。参加者が増えるほど、各部門の関心がばらばらになります。部門ごとに質疑の枠を分けてアジェンダに書いておくと、「情報システム部門の確認は15:00から」のように、出席者が自分の出番を把握できます。
時間が押したときに削る順番
商談では、先方の遅刻や質問の盛り上がりで時間が押すことがよくあります。その場で慌てないために、アジェンダを作る段階で「削ってよい議題」と「削らない議題」を決めておきます。
図のとおり、守る議題は3つです。進め方の確認、先方の確認事項への回答、次のアクションの合意は、どれだけ時間が押しても削りません。特に先方の確認事項は、先方が商談に参加した理由そのものなので、後回しにすると「聞きたいことを聞けなかった商談」という印象だけが残ります。
短くする議題は、会社紹介と説明・デモです。会社紹介は1分の短縮版を、デモは課題1つ分の短縮版を用意しておくと、その場で切り替えられます。
後日に回す議題は、事例紹介、詳細な機能説明、費用の内訳説明です。資料やメールで補える内容なので、「詳しい資料を本日中にお送りします」と伝えて次に進みます。ただし後日に回した議題は、次のアクションの合意の中で「誰がいつまでに送るか」まで決めておきます。
そのまま使える商談アジェンダのテンプレート
ここからは、コピーしてそのまま使えるテンプレートを3つ紹介します。事前に送るアジェンダ、それを送るメールの文面、当日の冒頭で読み上げる合意トークです。会社名や日時は自社の状況に合わせて書き換えてください。
事前送付用の商談アジェンダ(コピー用)
1〜2営業日前(遅くとも前日の午前中)までに先方へ送る形式です。メール本文に貼っても、資料の1枚目に入れても使えます。
【ご打ち合わせのアジェンダ(案)】
日時:10月14日(水)14:00〜15:00(60分)
形式:オンライン(URLは別途お送りします)
■ 本日の目的
貴社の現在の進め方と課題を伺い、当社でご支援できる範囲かを一緒に判断させてください。
■ ご出席者
貴社:〇〇様(ご担当)、〇〇様(情報システム)※変更があればお知らせください
当社:〇〇(営業・進行)、〇〇(技術・質疑対応)
■ 進め方
14:00〜14:05 本日の進め方の確認
14:05〜14:10 自己紹介と当社のご紹介
14:10〜14:35 現在の進め方とお困りごとのお伺い
14:35〜14:45 伺った内容の整理と確認
14:45〜14:55 ご質問への回答と今後の進め方のご相談
14:55〜15:00 次回までの進め方の確認
■ 貴社から確認したいこと(よろしければご記入ください)
・
・
■ 終了時に決めたいこと
次回の進め方(ご提案の有無と日程、ご同席いただく方)
※ご検討を見送る判断をいただくことも歓迎です。
「貴社から確認したいこと」の欄は、空欄のまま送ってかまいません。返信で1行でも書いてもらえれば、当日の冒頭で「いただいた〇〇のご質問から始めます」と入れるため、先方は自分のための時間だと感じやすくなります。
提案・デモの回に使うときは、「■ 進め方」の部分だけを次のように差し替えます。時間帯の区切りは、上の提案・デモ商談の表と同じです。
■ 進め方
14:00〜14:05 本日の進め方と前回からの変化の確認
14:05〜14:20 前回伺った課題の再確認
14:20〜14:35 課題ごとの解決方法のご説明・デモ
14:35〜14:45 導入の進め方と体制
14:45〜14:55 費用の考え方とご検討に必要な材料
14:55〜15:00 ご検討の進め方と次回の日程の確認
アジェンダを送るメールの例文
アジェンダは単体で送るより、目的と依頼を一言添えたメールで送ると返信をもらいやすくなります。
件名:【10/14 14:00】お打ち合わせのアジェンダ(案)のご共有
〇〇株式会社
〇〇様
いつもお世話になっております。〇〇の〇〇です。
10月14日(水)14:00からのお打ち合わせについて、進め方の案をお送りします。
当日は、貴社の現在の進め方とお困りごとを中心に伺い、
当社でご支援できる範囲かを一緒に判断できればと考えております。
もし当日確認されたいことや、ご同席いただく方の変更がありましたら、
本メールにご返信いただけますと幸いです。いただいた内容から優先してお話しします。
当日はどうぞよろしくお願いいたします。
送るタイミングは、1〜2営業日前が理想で、遅くとも前日の午前中までが目安です。当日の朝に送ると、先方が社内の関係者に声をかける時間がありません。日程調整の段階で議題が決まっているなら、カレンダーの招待文にアジェンダを貼っておくのも有効です。
冒頭で読み上げる合意トーク(例文)
事前に送っていても、先方が読んでいるとは限りません。商談の最初の数分で、アジェンダを画面に映すか紙で配り、次のように読み上げて合意を取ります。
本日はお時間をいただきありがとうございます。
最初に、今日の進め方を確認させてください。
お時間は15:00までの60分と伺っていますが、変わりはないでしょうか。
今日は、貴社の今の進め方とお困りごとを中心に伺い、
最後の5分で、次にどう進めるかを一緒に決められればと考えています。
その結果、今回は見送りというご判断でもまったく問題ありません。
事前に〇〇についてご質問をいただいていましたので、そこは必ずお答えします。
ほかに、今日これは確認しておきたいということはありますか。
最後の問いかけが重要です。ここで先方から出た確認事項は、その場でアジェンダの「先方の確認したいこと」に書き足し、どの時間帯で扱うかを伝えます。先方の関心が冒頭で分かれば、後半の説明の順番も入れ替えられます。
先方の確認事項を事前に集める質問
アジェンダの返信がない場合は、日程確定の連絡のついでに、次のような質問を1つだけ添えます。複数並べると答える負担が増えるので、1つに絞るのがこつです。
- 当日、特に確認されたいことはありますか
- 今回のご検討のきっかけになった出来事があれば教えてください
- ご同席いただく方は、どのようなお立場の方でしょうか
- 社内でご報告される際に、必要になりそうな情報はありますか
送る前に確認するチェックリスト
アジェンダを先方に送る前に、次の6点を確認します。1つでも欠けていたら、送る前に書き足してください。
- 目的が「終わったときの状態」の1文で書かれている
- 先方の確認したいことを書く欄がある(空欄でもよい)
- 議題ごとに開始・終了の時刻が書かれている
- 最後の5分以上が次のアクションの合意に充てられている
- 双方の出席者と、当社側の進行役が書かれている
- 時間が押したときに後日に回す議題を、社内で決めてある
当日までの社内準備:進行役と想定質問を決める
当社側が2名以上で出席する場合は、アジェンダの議題ごとに「誰が話すか」を社内で決めておきます。決めていないと、先方の質問に2人が同時に答え始めたり、逆に誰も答えずに沈黙が生まれたりします。進行役は1人に固定し、時間管理もその人が担います。
あわせて、先方から出そうな質問を議題ごとに3つずつ書き出し、答えを用意しておきます。特に費用、導入期間、他社との違い、社内の稟議に必要な資料の4つは、どの商談でも聞かれやすい質問です。その場で答えられない質問が出た場合は、推測で答えず「確認して、明日中にご回答します」と伝え、次のアクションの一覧に加えます。
商談の種類別に押さえる議題のポイント
同じ60分の枠でも、商談の種類によって議題の並べ方で気をつける点が違います。ここでは、アジェンダを作るときに迷いやすい4つの場面を取り上げます。
初回商談:聞く項目は5つまでに絞る
初回商談のアジェンダでは、「こちらの確認したいこと」を5つまでに絞ります。質問を10個並べると、先方には尋問のように見え、25分のヒアリング枠でも聞き切れません。聞く項目の優先順位を決める枠組みとしては、予算・決裁権・必要性・導入時期を確認するBANTがよく使われます。ただし初回で予算を正面から聞くと警戒されることもあるため、「今回のご検討は、今年度の計画に入っているものでしょうか」のように、時期や計画から聞くと答えてもらいやすくなります。BANTの使い方はBANT条件とはで解説しています。
最初の数分の雑談で場を和らげたい場合も、アジェンダ上は「進め方の確認」の5分に含めておき、独立した議題にはしません。雑談の話題の選び方は営業のアイスブレイクを参考にしてください。
提案・デモ商談:先方の課題の順に並べる
提案のアジェンダでよくある失敗は、自社の資料の章立てをそのまま議題にしてしまうことです。「会社紹介→製品概要→機能説明→料金」と並べると、先方が知りたい答えは最後まで出てきません。前回のヒアリングで先方が挙げた課題を、優先順位の高い順に議題として並べ、それぞれの議題の中で解決策を説明します。
たとえば前回、「顧客との資料のやり取りが散らばる」「決まったことを後から探せない」という2つの課題が出ていたなら、議題は「1. 資料のやり取りをまとめる方法」「2. 決まったことを残す方法」となります。議題の名前に先方の言葉を使うと、先方は自分の課題が覚えられていることを確認できます。
条件調整の商談:決める項目を最初に一覧にする
見積もりや契約条件を詰める回は、冒頭で「今日決める項目」を一覧にして見せます。範囲、費用、期間、体制、契約の手続きなど、項目ごとに「合意」「保留」「対象外」を記録していくと、終わった時点で何が残っているかが一目でわかります。
保留になった項目は、商談の最後に「誰が・いつまでに・何を確認するか」を決めます。保留の項目が多いまま終わると、先方の社内検討が止まりやすくなります。検討が進まないまま案件が止まり、最終的に受注に至らないケースを避けるためにも、保留項目の扱いは商談の中で決めておきます。商談が受注に至らなかったときの振り返り方は失注とは?意味・読み方と逸注との違いで、分析シートとあわせて紹介しています。
決裁者が同席する回:最初の10分で結論を見せる
部長や役員など、最終的に判断する立場の方が同席する回は、議題の順番を変えます。決裁者は途中で退席することもあるため、冒頭の進め方確認のすぐ後に「今日お伝えしたいことの結論」を3分程度で示し、詳細はその後に回します。
アジェンダの参加者欄には、決裁者が何時まで同席できるかを事前に確認して書いておきます。「〇〇部長は14:30までご同席」とわかっていれば、決裁者に確認したい事項を14:30より前の議題に入れられます。先方の誰がどの判断に関わるかを整理する方法はステークホルダーマップの作り方で解説しています。
2回目以降の打ち合わせ:前回の宿題の確認から始める
商談が複数回続く案件では、冒頭の進め方確認の直後に「前回決めた次のアクションの確認」を置きます。双方の宿題が済んでいるかを最初に確かめると、今回の議題に入る前に、止まっている点が見つかります。先方の宿題が済んでいなかった場合は責めるのではなく、「どこで止まっているか」を聞き、今回の議題の中で一緒に片付けられないかを相談します。宿題の確認を最後に回すと、時間が押したときに抜け落ち、同じ宿題が次の回へ持ち越されていきます。
オンライン商談でアジェンダを機能させるコツ
オンライン商談では、対面より相手の反応が読みにくく、話が脱線したときの立て直しも難しくなります。アジェンダを画面上で機能させるために、次の点を押さえておきます。
- 冒頭で画面に映す:アジェンダのスライドを最初に画面共有し、読み上げながら合意を取る。メールで送っただけでは、参加者全員が見ているとは限らない
- 議題の切り替えを声に出す:「ここまでで現状の確認は終わりです。次は14:35まで、伺った内容の整理をします」と区切りを伝える。画面越しでは、区切りがないと話がだらだら続きやすい
- チャット欄に残す:先方から追加の確認事項が出たら、チャット欄に書き込んで「後半で必ずお答えします」と伝える。口頭だけだと忘れられやすい
- カメラがオフの参加者に話を振る:議題ごとに「〇〇様の部署ではいかがですか」と名前を呼んで確認する。発言のない参加者の懸念は、商談後に社内で出てくる
- 終了5分前に合図を出す:「残り5分ですので、次の進め方を決めさせてください」と宣言する。オンラインは次の会議が詰まっている参加者が多く、時間ちょうどに退出されやすい
オンライン商談全体の進め方やツールの選び方は、オンライン商談の進め方完全ガイドで詳しく扱っています。
よくある失敗と直し方
商談アジェンダを作っていても、使い方を誤ると効果が出ません。よくある失敗と、その直し方を表にまとめます。
| よくある失敗 | 起きること | 直し方 |
|---|---|---|
| 自社資料の章立てをそのまま議題にする | 先方の知りたい答えが最後まで出ず、途中で質問が割り込む | 先方の課題の優先順に議題を並べる |
| 「終了時に決めたいこと」を書かない | 「社内で検討します」で終わり、次の連絡を誰が取るか決まらない | 最後の5〜10分を次のアクション合意の枠として固定する |
| 議題を詰め込みすぎる | 時間が押して、最後の合意枠が消える | 60分なら議題は5〜6個まで。削る順番を事前に決める |
| アジェンダを送っただけで当日確認しない | 先方が読んでおらず、目的のずれに途中で気づく | 冒頭5分で読み上げ、先方の確認事項を聞く |
| 先方の確認事項の欄がない | 売り手が話したいことだけの時間になり、先方の関心が後回しになる | 欄を作り、空欄でも送って記入を依頼する |
| 当日の変更を記録しない | 議事録とアジェンダが食い違い、何を合意したか曖昧になる | 追加・削除した議題をアジェンダに書き込み、議事録に引き継ぐ |
どの失敗も、アジェンダを「売り手の進行メモ」として作っていることが原因です。先方と一緒に使う表として作ると、自然と先方の確認事項と次のアクションの欄が入ります。
商談後:アジェンダを議事録と次のアクションにつなげる
商談アジェンダは、終わった後に議事録の骨組みとして使えます。アジェンダの議題ごとに「話したこと」「決まったこと」「保留になったこと」を書き足せば、そのまま議事録になります。最初から議事録を白紙で書くより早く、先方とも同じ構成で確認できるので、認識のずれが見つかりやすくなります。議事録の書き方は議事録の書き方で、項目ごとの例文とあわせて紹介しています。
商談のお礼メールに議事録を添えるときは、最後の「次のアクション」を一番上に置きます。先方が最初に確認したいのは「自分が何をいつまでにやるのか」だからです。お礼メールの文面は商談後のお礼メール例文を参考にしてください。
商談が複数回にわたる案件では、毎回の次のアクションを1つの表にまとめ、双方の担当と期日を一覧にしておくと、どこで止まっているかがすぐにわかります。こうした双方の行動計画は、ミューチュアルアクションプラン(MAP)とはで解説している考え方と同じです。
顧客と決めた次のアクションを、双方が見える場所に置く
Terasuは、顧客と共有するページ・資料・決定事項を案件ごとにまとめるワークスペースです。アジェンダや議事録、次のアクションを双方から見える場所に置けるため、「前回どう決めたか」をメールで探し直す往復が減ります。
無料ではじめるよくある質問
商談アジェンダとは何ですか?
商談アジェンダとは、商談の目的・議題・時間配分・終了時に決めたいことを書き、先方と事前にそろえる進行表です。社内会議のアジェンダと違い、先方が確認したいことを書く欄と、最後に合意する次のアクションの欄を入れるのが特徴です。
60分の商談はどんな時間配分にすればよいですか?
冒頭5分で進め方を合意し、最後の5分(条件調整の回は10分)で次のアクションを決める枠を固定します。残り45〜50分は、初回なら現状と課題のヒアリングに25分程度、提案なら課題の再確認と説明に15分ずつ、条件調整なら条件のすり合わせに25分程度を割くのが目安です。
商談アジェンダは事前に送るべきですか?
1〜2営業日前、遅くとも前日の午前中までに送るのがおすすめです。先方は届いたアジェンダを見て、社内の誰を同席させるかを判断します。当日の朝では関係者に声をかける時間がありません。送るときは、先方が確認したいことを書き込める欄を空けておきます。
30分しか時間がないときはどうすればよいですか?
議題を同じ比率で縮めるのではなく、扱う議題を1つに絞ります。冒頭の進め方確認を3分、最後の次アクション合意を5分にし、残り22分をヒアリングか説明のどちらかに使います。事例紹介や費用の詳細は、資料を後で送る形に回します。
アジェンダどおりに進まなかったときはどうすればよいですか?
事前に決めた削る順番に従い、事例紹介や詳細な機能説明から後日に回します。先方の確認事項への回答と、次のアクションの合意は削りません。後日に回した議題は、誰がいつまでに資料を送るかまで決め、議事録に残します。
アジェンダとレジュメ、議題の違いは何ですか?
議題は話し合うテーマそのもの、アジェンダは議題に時間配分や目的、決めたいことを加えた進行表です。レジュメは内容の要点をまとめた資料を指すことが多く、進行より中身の説明が中心です。商談では、事前に送って進め方を合意するのがアジェンダ、話す内容の要点をまとめて当日に配る資料をレジュメと呼び分けることが多いです。
初回商談のアジェンダで気をつけることは何ですか?
自社の説明は短くし、聞く時間を最も長く取ることです。聞きたい質問は5つまでに絞ります。予算を正面から聞くと警戒されることもあるため、検討のきっかけや時期から聞くと答えてもらいやすくなります。
まとめ
商談アジェンダは、売り手の進行メモではなく、先方と「この時間で何を話し、何を決めるか」をそろえるための表です。押さえておきたいポイントは次のとおりです。
- 目的、先方の確認したいこと、こちらの確認したいこと、時間配分、参加者と役割、終了時に決めたいことの6項目を書く
- 60分商談は冒頭5分と最後の5〜10分を固定し、間の45〜50分を商談の種類に合わせて配分する
- 30分の枠では議題を1つに絞り、時間が押したら事例紹介や詳細説明から後日に回す
- アジェンダは1〜2営業日前(遅くとも前日の午前中)までに送り、冒頭で読み上げて先方の確認事項を聞く
- 終わったら、アジェンダの議題ごとに決まったことを書き足して議事録にする
次の商談の前に、まずは上の事前送付用テンプレートをコピーし、「終了時に決めたいこと」の欄を1行埋めるところから始めてみてください。


