マイルストーンとは?意味と書き方・例|顧客と決める案件の節目と支払い
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マイルストーンとは?意味と書き方・例|顧客と決める案件の節目と支払い

著者: Terasu 編集部

マイルストーン(milestone)とは、プロジェクトの途中に置く「ここまでに、これが終わっている」という重要な節目のことである。もとは道ばたに立てて目的地までの距離を示す石(里程標)を指す英語で、ビジネスでは、最終的なゴールに向けた進み具合を測るための中間の到達点という意味で使う。作業そのものではなく、作業が終わった「時点」を表すため、期間を持たない点として扱うのが一般的である。

この記事のポイント(TL;DR)

  • マイルストーンは「中間目標」「節目」「チェックポイント」と言い換えられる言葉で、プロジェクトの進み具合を、作業の量ではなく「ある時点までに何が終わっているか」で確かめるために置きます。
  • タスクは時間のかかる作業、マイルストーンはその作業が終わった時点です。ガントチャートでは、タスクは横棒、マイルストーンはひし形の印で描くのが一般的で、Microsoft Project でも期間のないタスクとして作ります。
  • 受託・制作の案件では、マイルストーンを「社内の節目」と「顧客と合意する節目」に分けて考えると、何を誰と決めればよいかがはっきりします。顧客と合意する節目は、デザインの承認や検収のように、顧客の確認がないと完了しないものです。
  • 顧客と合意するマイルストーンは、日付だけでなく「何がどうなったら完了か」という完了条件と、顧客側の作業(素材の提出・確認・承認)まで書きます。先方の確認が遅れて節目がずれる、という受託案件で一番多いずれ方を防げます。
  • マイルストーンは、検収や代金の支払いと結びつけることができます。節目ごとに分けて支払う形を「マイルストーン払い」と呼びます。請負の代金は、契約で決めていなければ引渡しと同時に支払うのが原則なので(民法633条)、分けて支払うなら契約書や見積書に書いておきます。

どこから読むか

当てはまる状況先に読むところ
言葉の意味や語源、読み方を知りたいマイルストーンとは|意味と語源
タスクやWBS、ガントチャートとの違いが分からないタスク・WBS・ガントチャート・KPIとの違い
会議やメールでの使い方、言い換えを確かめたい言い換えと例文
顧客との案件に、どんな節目を置けばよいか知りたい受託・制作で置くマイルストーンの例
節目ごとに検収や請求をしたいマイルストーンと検収・支払い
すぐに使える書き方の見本がほしい書き方と記入例

マイルストーンとは|意味と語源

マイルストーンとは、プロジェクトのゴールに向かう途中に置く重要な到達点で、進み具合を確かめるための節目です。英語の milestone をそのままカタカナにした言葉で、読み方は「マイルストーン」です。日本語では「節目」「中間目標」「里程標(りていひょう)」と訳されます。

語源は道ばたの「距離を示す石」

milestone は、mile(マイル。距離の単位で約1.6km)と stone(石)を組み合わせた言葉です。英国のケンブリッジ英語辞典は、milestone の意味の1つとして「道の脇に立てられ、いろいろな場所、特に近くの大きな町までの距離を示す石」を挙げています(Cambridge Dictionary "milestone")。

道を歩く人は、この石を見て「あと何マイルで町に着くか」「今日はどこまで進んだか」を知ることができました。ゴールまでの道のりを区切り、今どこにいるかを教えてくれる目印、というのがマイルストーンの元の意味です。

ビジネスでは「進み具合を測るための節目」

同じ辞典は、専門的な意味として「最終的な目標に向けた進み具合を測るのに使える、プロジェクトの段階」も挙げています(Cambridge Dictionary "milestone")。プロジェクト管理の現場で使うマイルストーンは、この意味です。

たとえば、3か月でコーポレートサイトを作り直す案件なら、「要件の確定」「デザインの承認」「テストの完了」「公開」といった節目をマイルストーンとして置きます。3か月後の公開日だけを見ていると、遅れに気づくのは2か月半を過ぎたころになりがちですが、途中に節目があれば、「1か月目の終わりにデザインが承認されていない」という形で、早い段階で遅れが分かります。

ほかにも、人生や歴史の大きな出来事を「マイルストーン」と呼ぶことがあります(入社、結婚、会社の上場など)。ケンブリッジ英語辞典も、何かの発展や歴史、人の一生における重要な出来事という意味を最初に挙げています。ただ、この記事で扱うのは、仕事の中で使うマイルストーンです。

マイルストーンは「作業」ではなく「時点」

マイルストーンを理解するうえで一番大事なのは、マイルストーンは作業ではなく、作業が終わった「時点」を表すという点です。「デザインを作る」は時間のかかる作業(タスク)ですが、「デザインが承認された」はある日の出来事で、それ自体に時間はかかりません。

このため、プロジェクト管理のツールでは、マイルストーンを期間のない点として扱うのが一般的です。Microsoft のプロジェクト管理ソフト Project のサポートページも、マイルストーンを最も手っ取り早く作る方法は、期間が設定されていないタスクを計画に追加することだと説明しています(Microsoft サポート「マイルストーンを追加する」)。

一方で、同じページは、承認の手続きのように、マイルストーンに時間がかかる場合もあるとして、期間を設定したマイルストーンの作り方も紹介しています。顧客との案件では、「顧客が確認する期間」がまさにこの例です。確認に5営業日かかるなら、その5日間を作業として計画に入れ、確認が終わった時点をマイルストーンにすると、計画が実態とずれにくくなります。


マイルストーンとタスク・WBS・ガントチャート・KPIの違い

マイルストーンとよく一緒に出てくる言葉は、タスク、WBS、ガントチャート、KPI、期限(締め切り)です。どれも計画や進み具合に関わる言葉ですが、表しているものが違います。

言葉表すもの時間の長さ例
マイルストーン重要な作業が終わった時点、節目持たない(点)デザインの承認、検収
タスク実際に手を動かす作業持つ(開始日から期限まで)トップページのデザインを作る
WBSプロジェクトの作業を細かく分けた一覧一覧そのものは時間を持たない設計・制作・テストに分けた作業の表
ガントチャートタスクとマイルストーンを時間の軸に並べた図図の横軸が時間横棒の工程表に、ひし形の印で節目を描く
KPI目標に向けた進み具合を測る数値期間ごとに測る月の問い合わせ件数、テストの合格率
期限(締め切り)1つの作業を終えるべき日持たない(日付)原稿の提出は6月10日まで

タスクとの違い|作業か、作業が終わった時点か

タスクは担当者が時間を使って進める作業で、開始日と期限があります。マイルストーンは、いくつかのタスクが終わった結果として迎える時点です。「トップページのデザインを作る」「下層ページのデザインを作る」「顧客に確認してもらう」という3つのタスクが終わった時点が、「デザインの承認」というマイルストーンになります。

ですから、マイルストーンには担当者がいないこともあります。その代わり、「その時点で何が終わっていればよいか」という完了条件を決めます。

期限との違い|1つの作業の締め切りか、プロジェクトの節目か

期限は1つの作業ごとにつく締め切りで、数はたくさんあります。マイルストーンは、その中から「ここが遅れると後ろの工程すべてが遅れる」という重要な時点だけを選んだものです。すべての期限をマイルストーンにすると、どれが重要か分からなくなり、節目の意味がなくなります。

WBSとの違い|作業の一覧と、その中の節目

WBS(作業分解構成図)は、プロジェクトでやる作業を、管理できる大きさまで細かく分けた一覧です。マイルストーンは、WBSで分けた作業のまとまりが終わる時点に置きます。WBSを先に作ると、「設計の作業がすべて終わった時点」「制作の作業がすべて終わった時点」のように、どこに節目を置けばよいかが見えてきます。WBSの作り方と、顧客側の作業まで分ける方法は、WBSとはで詳しく紹介しています。

ガントチャートとの違い|マイルストーンを描く図

ガントチャートは、タスクを横棒で時間の軸に並べた工程表で、マイルストーンはその上に印として描きます。Microsoft Project では、ガントチャートの「期間」に「0」と入力すると、そのタスクがマイルストーンの記号でガントチャートに表示されます(Microsoft サポート「マイルストーンを追加する」)。ガントチャートは計画を描く「図」、マイルストーンはその図の中の「節目」という関係です。

KPIとの違い|数値で測るか、終わったかどうかで測るか

KPI(重要業績評価指標)は、目標に向けて進んでいるかを数値で測る指標です。マイルストーンは「終わったか、終わっていないか」の2つで判断します。「テストの合格率95%以上」はKPIで、「受け入れテストの完了」はマイルストーンです。両方を組み合わせて、「テストの合格率が95%を超えたら、受け入れテストの完了とする」のように、KPIをマイルストーンの完了条件に使うこともできます。


マイルストーンの言い換えと使い方の例文

マイルストーンは、場面に応じて日本語に言い換えると伝わりやすくなります。社内ではそのまま使っても、顧客や、プロジェクト管理の言葉に慣れていない相手には、日本語のほうが誤解がありません。

言い換え向いている場面例
節目(ふしめ)顧客への説明、社内の会話「デザインの承認が、最初の大きな節目です」
中間目標計画書、報告書「中間目標として、3月末までに要件を確定します」
チェックポイント進み具合を確かめる場面「各チェックポイントで、双方で進み具合を確認します」
区切り支払いや検収の説明「区切りごとに検収をお願いします」
里程標(りていひょう)文章語、硬い書き言葉「本事業の里程標となる成果」
一里塚(いちりづか)比喩としての文章「新しい体制への一里塚となる」

「一里塚」も道のりの目印を表す言葉ですが、ビジネスの文書では比喩として使うことが多く、プロジェクト計画の中の節目を指すときは「節目」「中間目標」のほうが自然です。

社内での例文

  • 「来週のマイルストーンは結合テストの完了です。今の進み具合だと2日遅れそうなので、テストの範囲を先に相談させてください。」
  • 「マイルストーンを5つに絞りました。細かい期限はタスクの側で管理します。」
  • 「次のマイルストーンまでに、顧客の確認が2回あります。確認の日程を先に押さえておきましょう。」

顧客への例文

  • 「本案件では、要件の確定、デザインの承認、テストの完了、公開の4つを節目として置き、それぞれの時点で一緒に進み具合を確認させてください。」
  • 「次の節目である『デザインの承認』に向けて、6月14日までに、ロゴのデータと写真のご提出をお願いいたします。」
  • 「ご確認の期間を5営業日とさせていただいております。6月21日までにご返信がない場合は、公開の日程を改めてご相談させてください。」

顧客への例文では、「マイルストーン」をそのまま使わず「節目」と言い換えています。また、節目の名前だけでなく、顧客にお願いする作業と期日を一緒に書いている点に注目してください。これが、次の章で説明する「顧客と合意するマイルストーン」の書き方の基本です。

英語での使い方

英語では、「reach a milestone(節目に到達する)」「hit a milestone(節目を達成する)」「miss a milestone(節目に間に合わない)」「set milestones(マイルストーンを設定する)」のように使います。海外の顧客とのメールでは、「We reached the design approval milestone.(デザイン承認の節目に到達しました)」のように書けば伝わります。


社内のマイルストーンと、顧客と合意するマイルストーン

受託・制作・コンサルのように、顧客の仕事を引き受けて進める案件では、マイルストーンを2種類に分けて考えると整理しやすくなります。自社の中だけで決めて守る「社内のマイルストーン」と、顧客と合意して双方で守る「顧客と合意するマイルストーン」です。

マイルストーンの説明は、社内のプロジェクトを前提にしたものが多く見られます。けれども、顧客と進める案件では、節目のずれの原因の多くが自社の外にあります。素材の提出が遅れる、確認の返事が来ない、承認する人が途中で変わる、といったずれ方です。社内のマイルストーンだけを置いていると、こうしたずれを計画の中で扱えません。

社内のマイルストーンと顧客と合意するマイルストーンを比べた図。社内のマイルストーンは自社のPMやチームが決め、社内レビューの通過で完了し、自社の作業だけを含み、ふつうは契約と結びつかず、ずれたら社内で計画を引き直す。顧客と合意するマイルストーンは自社と顧客の双方で決め、顧客の確認・承認で完了し、顧客側の作業も含め、検収や請求に結びつくことがあり、ずれたら顧客と合意し直す
図: 顧客と合意するマイルストーンは、顧客の確認がないと完了しない節目です。双方が見られる書面に残します。

社内のマイルストーン|自社だけで完了できる節目

社内のマイルストーンは、「内部テストの完了」「社内レビューの通過」「デザイン案の社内確定」のように、自社のメンバーだけで完了を判断できる節目です。顧客に見せる前に品質を確かめたり、担当者どうしの作業の受け渡しを確かめたりするために置きます。

社内のマイルストーンは、ずれても社内で計画を引き直せば済みます。顧客に毎回知らせる必要はありませんが、顧客と合意したマイルストーンに影響が出そうなら、早めに伝えます。

顧客と合意するマイルストーン|顧客の確認がないと完了しない節目

顧客と合意するマイルストーンは、「要件の確定」「デザインの承認」「受け入れテストの完了」「検収」のように、顧客が確認し、承認して初めて完了する節目です。自社がどれだけ急いでも、顧客の確認がなければ先に進めません。

このため、顧客と合意するマイルストーンには、次の3つを必ず添えます。

  1. 完了条件:何がどうなったら完了とするか(「トップページと下層ページ3種のデザインを、顧客の担当者がメールで承認した時点」など)
  2. 顧客側の作業と期日:素材の提出、確認、社内の決裁など、顧客にお願いすることと、その期日
  3. 確認の期間:顧客が確認にかけられる日数と、期間内に返事がないときの扱い

顧客と合意するマイルストーンは、契約書、見積書、計画表のように、双方が見られる書面に残します。口頭だけで決めた節目は、ずれたときに「そんな約束はしていない」という話になりがちです。

両方を同じ計画表に書き、見せる範囲を分ける

社内のマイルストーンと顧客と合意するマイルストーンは、別々の表に分けるより、同じ計画表に書いて、種類の列で区別するほうが管理しやすくなります。顧客に見せる計画表では、社内のマイルストーンを非表示にするか、顧客向けの欄だけを抜き出して共有します。

顧客と一緒に、案件の完了までにお互いがやることを1枚の計画にまとめる方法は、ミューチュアルアクションプランとも呼ばれます。考え方と作り方は、ミューチュアルアクションプランとはで紹介しています。


受託・制作の案件で置くマイルストーンの例

マイルストーンは、案件の種類によって置く場所が違います。ここでは、受託・制作でよくある3種類の案件について、置くことが多いマイルストーンを工程の順に並べます。数や名前は目安で、案件の大きさに応じて増やしたり減らしたりします。

Webサイト制作の例

マイルストーン種類完了条件の例顧客にお願いすること
契約・着手顧客と合意契約書(または発注書と請書)を取り交わした発注の手続き
要件の確定顧客と合意ページの一覧と機能の一覧を、顧客が承認した要望の整理、参考サイトの提示
素材の受け取り顧客と合意原稿・写真・ロゴのデータがそろった素材の提出
デザインの承認顧客と合意トップと下層ページのデザインを、顧客が承認したデザインの確認と修正の指示
内部テストの完了社内表示崩れとリンク切れの確認が終わったなし
受け入れテストの完了顧客と合意顧客の確認で、修正の依頼が出なくなったテスト環境での確認
公開顧客と合意本番の環境で表示された公開日の決定
検収顧客と合意顧客が検収の完了を通知した検収の手続き

Webサイト制作で特にずれやすいのは「素材の受け取り」です。原稿や写真がそろわないと、デザインも制作も進まないので、独立したマイルストーンとして置き、期日を顧客と決めておきます。

システム開発の例

システム開発では、要件定義、設計、開発、テスト、移行という工程ごとにマイルストーンを置くことが多く、工程の終わりに顧客の承認を挟みます。

  • 要件定義書の承認:顧客が要件定義書を承認した時点。ここで範囲が決まり、後の追加は変更として扱う
  • 基本設計書の承認:画面や帳票、外部とのつなぎ方の設計を、顧客が承認した時点
  • 開発の完了(社内):プログラムの作成と、開発者によるテストが終わった時点
  • 総合テストの完了(社内):システム全体を通したテストが、自社の中で終わった時点
  • 受け入れテストの完了:顧客が実際の業務の流れで確かめ、合格とした時点
  • 本番の稼働:本番の環境で使い始めた時点
  • 検収:顧客が検収の完了を通知した時点

IPA(情報処理推進機構)が公開している「情報システム・モデル取引・契約書(第二版)」の案内は、契約のタイミングで、ユーザー企業とITベンダーの双方が、システムの仕様やプロジェクト管理の方法、検収の方法などについて共通の理解を持つことを期待していると述べています(IPA 情報システム・モデル取引・契約書(第二版))。どの時点を節目にし、どう検収するかを、契約の前に顧客と話し合っておくということです。

コンサルティング・運用支援の例

コンサルティングや運用支援のように、作り上げる成果物がはっきりしない仕事では、作業の量ではなく、報告や判断の時点をマイルストーンにします。

  • 現状調査の報告:調査の結果を報告し、顧客と課題を合意した時点
  • 方針の決定:顧客の経営層が方針を決めた時点
  • 施策の開始:最初の施策を始めた時点
  • 中間の振り返り:数値を確かめ、続けるか変えるかを顧客と決めた時点
  • 最終の報告:成果と次の計画を報告した時点

こうした仕事は、仕事の完成を約束する請負ではなく、作業を適切に進めることを約束する準委任で受けることが多い点も、節目の決め方に関わります。準委任では、マイルストーンは「完成したか」より「報告し、顧客が判断したか」を確かめる時点になります。


顧客と合意するマイルストーンの決め方

顧客と合意するマイルストーンは、社内の計画を作るときより、決めることが多くなります。次の順に決めていくと、抜けが出にくくなります。

1. ゴールと最後のマイルストーンを決める

最初に、案件のゴールと、それを確かめる最後のマイルストーンを決めます。多くの受託案件では、最後のマイルストーンは「検収」です。公開や本番の稼働をゴールにする案件でも、その後に検収がある場合は、検収まで計画に入れます。検収が終わらないと、請負の案件では代金の支払いにつながらないことが多いからです。

2. 顧客の承認が要る時点を洗い出す

次に、顧客の確認や承認がないと先に進めない時点を洗い出します。要件の確定、デザインの承認、受け入れテストの完了のように、承認の後で作業の手戻りが大きくなる時点が候補です。「ここで決めたことを後から変えると、作り直しになる」という時点にマイルストーンを置くと、顧客にも節目の意味が伝わります。

3. 日付ではなく、完了条件で書く

マイルストーンは「6月20日」という日付だけでなく、「何がどうなったら完了か」という完了条件で書きます。「デザインの承認:6月20日」だけでは、6月20日に何が終わっていればよいかが人によって違います。

あいまいな書き方完了条件で書いた例
デザイン:6月20日トップと下層3種のデザインを、顧客の担当者がメールで承認した時点(目標日 6月20日)
テスト:7月中旬顧客がテスト環境で確認し、修正の依頼が0件になった時点(目標日 7月15日)
納品:7月末本番の環境に公開し、管理画面の操作説明を終えた時点(目標日 7月31日)

完了条件には、誰が判断するか(「顧客の担当者が」)と、どの方法で判断を残すか(「メールで」)も入れます。承認した人と方法が書かれていれば、後から確かめられます。

4. 顧客側の作業と確認の期間を書く

マイルストーンの前に、顧客側の作業と確認の期間を置きます。「デザインの承認」の前には、「顧客の確認:5営業日」という期間があり、さらにその前には「素材の提出」という顧客の作業があります。

顧客側の作業を計画に書かないと、計画の上では自社の作業だけが並び、顧客の確認が遅れたことが「自社の遅れ」に見えてしまいます。顧客にお願いする作業も、期日と担当者を決めて、自社の作業と同じ表に書きます。WBSで顧客側の作業を分ける方法は、先に紹介したWBSとはの記事でも扱っています。

5. 数を絞る

マイルストーンが多すぎると、どれが大事か分からなくなります。顧客と合意するマイルストーンは、数か月の案件なら5〜8個ほどに絞り、細かい期限はタスクの側で管理するのが目安です。社内のマイルストーンは、必要に応じて足して構いません。

6. 決めたことを双方が見られる場所に残す

最後に、決めたマイルストーンを、契約書・見積書・計画表など双方が見られる場所に残します。打ち合わせで節目の日程を変えたときも、変えた日と理由、誰が了承したかを記録します。記録が1か所にあれば、「最新の計画はどれか」を探す手間がなくなります。


マイルストーンと検収・支払い|マイルストーン払い

マイルストーンは、計画の節目であると同時に、検収や代金の支払いの区切りにも使えます。マイルストーンごとに分けて代金を支払う形を「マイルストーン払い」と呼びます。着手のときに一部(着手金)、途中の節目で一部(中間金)、検収の後に残り(残金)を支払う、といった形です。

Web制作の架空の案件で、契約・着手、要件の確定、デザインの承認、テストの完了、検収の5つの節目を時間の順に並べた図。一括払いでは検収のあとに代金の全額を請求する。マイルストーン払いでは、契約・着手で着手金、デザインの承認で中間金、検収で残金を請求する
図: マイルストーン払いは、どの節目で請求するかを契約で決めておく払い方です(架空の例)。

契約で決めていなければ、請負の代金は引渡しと同時

請負契約の代金について、民法633条は「報酬は、仕事の目的物の引渡しと同時に、支払わなければならない」と定めています(e-Gov法令検索 民法)。つまり、契約で何も決めていなければ、受注側は完成したものを引き渡すまで代金を受け取れないのが原則です。

数か月かかる案件を一括払いで受けると、受注側は検収まで人件費を立て替え続けることになります。途中で案件が止まったときの不安も大きくなります。マイルストーン払いにすると、節目ごとに代金を受け取れるので、受注側の負担が軽くなります。発注側にとっても、節目ごとに出来上がったものを確かめてから支払えるという利点があります。

なお、準委任で受ける仕事のうち、成果に対して報酬を払う約束をした場合(成果完成型)も、その成果の引渡しが要るときは、引渡しと同時に支払うと定められています(民法648条の2)。準委任の報酬には、作業の量や期間で払う型と、成果に対して払う型があり、どちらで受けるかによって節目と支払いの結びつけ方も変わります。

途中で終わったときは、できた部分の割合で請求できる

請負の仕事が途中で終わった場合について、民法634条は、すでにした仕事のうち分けられる部分によって注文者が利益を受けるときは、その部分を仕事の完成とみなし、注文者が受ける利益の割合に応じて報酬を請求できると定めています。対象は、注文者の責任ではない理由で完成できなくなったときと、完成の前に契約が解除されたときです(e-Gov法令検索 民法)。

また、仕事が完成するまでは、注文者はいつでも、損害を賠償して契約を解除できます(民法641条)。

ここで役に立つのがマイルストーンです。「デザインの承認」まで終わっていれば、承認済みのデザインは分けられる成果として説明しやすくなります。節目ごとに完了条件と承認の記録が残っていれば、途中で案件が止まったときに、どこまでが終わっていたかを双方で確かめられます。ただし、実際にいくら請求できるかは個別の事情によるので、判断に迷う場合は弁護士に相談してください。

分割検収|節目ごとに検収する

マイルストーン払いと一緒に使われるのが、節目ごとに検収をする「分割検収」です。たとえば、「設計書の検収」「プログラムの検収」のように、成果物を分けて検収し、それぞれに支払いを結びつけます。

分割検収にする場合は、どの成果物を、どの基準で、何日以内に検収するかを、節目ごとに決めておきます。検収の基準や期間の決め方、期間内に返事がないときの扱いは、検収とはで詳しく説明しています。

契約書・見積書に書いておくこと

マイルストーン払いや分割検収にするときは、次のことを契約書か見積書、または別紙の計画書に書いておきます。

  • 支払いを結びつけるマイルストーンの名前と、その完了条件
  • マイルストーンごとの支払いの額(または代金の総額に対する割合)
  • 請求の時期(節目の完了後に請求する、など)と、支払いの期日
  • 節目ごとに検収する場合は、検収の対象、基準、期間
  • 顧客側の事情で節目が遅れた場合の扱い(支払いの時期を変えるか、そのままにするか)
  • 途中で契約が終わった場合に、終わっていた節目までの代金をどう扱うか

個人や従業員のいない一人社長に仕事を頼む取引や、発注する側と受ける側の資本金や従業員数の条件にあてはまる取引では、フリーランス法や取適法(旧下請法)で、支払期日の決め方などのルールがかかることがあります。マイルストーン払いにする場合も、これらの法律の対象かを先に確かめてください。


マイルストーン表の書き方と記入例

ここまでの内容を、そのまま使える表の形にまとめます。表計算ソフトでも、文書でも作れます。次の列を用意して、1行に1つのマイルストーンを書きます。

列書くこと
No.通し番号
マイルストーン節目の名前(「デザインの承認」など、名詞で短く)
種類顧客と合意 / 社内
完了条件何がどうなったら完了か。誰が、どの方法で判断するか
目標日完了を目指す日
前に必要な顧客の作業素材の提出、確認など。期日も書く
支払い・検収この節目で請求や検収をするか
状態未着手 / 進行中 / 完了(完了日)

記入例|コーポレートサイトのリニューアル

次の表は、3か月でコーポレートサイトを作り直す架空の案件の記入例です。日付や支払いの割合は説明のための例で、実際の案件では契約の内容に合わせてください。

No.マイルストーン種類完了条件目標日前に必要な顧客の作業支払い・検収
1契約・着手顧客と合意契約書を取り交わした4月1日発注の手続き(3月28日まで)着手金(総額の30%)を請求
2要件の確定顧客と合意ページと機能の一覧を、顧客の担当者がメールで承認した4月18日要望の整理と確認(4月11日〜17日)なし
3素材の受け取り顧客と合意原稿・写真・ロゴがそろった5月2日素材の提出(5月2日まで)なし
4デザインの承認顧客と合意トップと下層3種のデザインを、顧客の担当者がメールで承認した5月23日デザインの確認(5営業日)中間金(総額の30%)を請求
5内部テストの完了社内表示崩れとリンク切れの確認が終わった6月13日なしなし
6受け入れテストの完了顧客と合意顧客の確認で、修正の依頼が0件になった6月20日テスト環境での確認(5営業日)なし
7公開顧客と合意本番の環境で表示された6月27日公開日の最終確認なし
8検収顧客と合意顧客が検収の完了を通知した7月4日検収(公開から5営業日以内)残金(総額の40%)を請求

この記入例では、8つのマイルストーンのうち7つが「顧客と合意」で、そのすべてに顧客側の作業が書かれています。顧客と進める案件では、節目の多くが顧客の確認とつながっていることが、表にすると分かります。

書くときに気をつけること

  • 名前は名詞で短く:「デザインを承認してもらう」ではなく「デザインの承認」。表の中で比べやすくなります
  • 目標日は営業日で数える:顧客の確認期間は「5営業日」のように書き、土日や祝日、顧客の休業日(年末年始・夏季休業)を計画に入れます
  • 状態は日付で残す:「完了」とだけ書かず、完了した日を書きます。遅れたかどうかを後から確かめられます
  • 変更したら履歴を残す:目標日を変えたときは、元の日、新しい日、理由、了承した人を書きます

マイルストーンがずれたときの対処

計画どおりに進む案件はほとんどありません。マイルストーンがずれたときに大事なのは、ずれたことを早く知り、原因に合わせて対処することです。

ずれそうだと分かった時点で知らせる

マイルストーンに間に合わないと分かったら、目標日を待たずに、その時点で関係者に知らせます。顧客と合意したマイルストーンなら、顧客にも知らせます。知らせるときは、「どの節目が」「何日ずれそうか」「理由」「後ろの節目への影響」「対策」をまとめて伝えると、相手が判断しやすくなります。

原因ごとの対処

ずれた原因よくある例対処
顧客の作業の遅れ素材の提出や確認の返事が来ない計画に書いた期日をもとに催促し、後ろの節目への影響を伝えて、日程の変更を合意する
範囲の追加打ち合わせで新しい機能やページを頼まれた追加の作業として見積もり、節目の目標日を見直すかを顧客と決める
作り直し(手戻り)承認後に大きな修正が入った承認した内容と修正の内容を比べ、変更として扱うかを合意する
自社の作業の遅れ見積もりより時間がかかった人を足すか、範囲を絞るか、日程を延ばすかを決め、顧客に影響を伝える
承認する人の変更顧客の担当者や決裁者が変わった承認済みの節目を新しい担当者と確認し直し、残りの節目の承認者を決め直す

顧客の作業の遅れで節目がずれた場合も、それを責めるより、計画に書いた期日と影響を淡々と伝えるほうが、関係を保ちながら日程を見直せます。顧客側の作業を計画に書いておくことが、ここで効いてきます。

承認の後の作り直しは、受託案件で節目が大きくずれる原因の1つです。作り直しが起きる原因と減らし方は、手戻りとはで整理しています。

後ろの節目への影響を確かめる

1つのマイルストーンがずれると、その後ろの節目も連動してずれることがあります。「デザインの承認」が1週間遅れると、制作、テスト、公開、検収と、すべてが1週間ずつ遅れるかもしれません。ずれが分かったら、最後のマイルストーン(多くは検収)がいつになるかまで計算し直して、顧客と合意し直します。

マイルストーン払いにしている場合は、支払いの時期もずれます。顧客側の事情で節目が遅れたときに支払いをどう扱うかを、契約の段階で決めておくと、ここで揉めずに済みます。


マイルストーンを、顧客と同じ場所で見る

顧客と合意するマイルストーンは、顧客と自社の両方が、同じ計画を見ていることが前提です。けれども実際には、計画表は自社のファイルにあり、顧客への依頼はメールにあり、承認の返事は別のチャットにある、ということがよくあります。これでは、どの節目が終わっていて、顧客に何をお願いしているのかを、双方がすぐに確かめられません。

Terasuでは、案件ごとのRoomに、ページ・資料・議事録・タスクをまとめられます。タスクには担当者と期限を設定でき、ガントチャートに切り替えると、開始日から期限までの期間と、タスクどうしの先行・後続の関係を矢印で確かめられます。マイルストーンにするタスクにラベルを付けておけば、節目だけを見分けられます。タスクごとに、Roomの全員に見せるか、自社のメンバーだけに見せるかを選べるので、社内のマイルストーンと顧客と合意するマイルストーンを、同じ計画の中で分けて扱えます。

案件の節目と顧客への依頼を、同じRoomで確かめる

Terasuは、ページ・資料・議事録・タスクを案件ごとのRoomに集める共有ワークスペースです。担当と期限のあるタスクをガントチャートで並べ、顧客と合意した節目と、顧客にお願いしている作業を同じ場所で確かめられます。クレジットカード不要で、まず1つの案件Roomから試せます。

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よくある質問(FAQ)

マイルストーンとは簡単に言うと何ですか?

プロジェクトの途中に置く「ここまでに、これが終わっている」という重要な節目のことです。英語の milestone は、道ばたに立てて距離を示す石が元の意味で、ビジネスでは、ゴールに向けた進み具合を確かめるための中間の到達点を指します。

マイルストーンとタスクの違いは何ですか?

タスクは時間を使って進める作業で、開始日と期限があります。マイルストーンは、いくつかのタスクが終わった結果として迎える時点で、それ自体は時間を持たないのが一般的です。「デザインを作る」はタスク、「デザインが承認された」はマイルストーンです。

マイルストーンは日本語で何と言いますか?

「節目」「中間目標」「チェックポイント」「区切り」などと言い換えられます。硬い文章では「里程標」とも訳します。顧客への説明では、マイルストーンをそのまま使うより「節目」と言い換えたほうが、誤解なく伝わります。

マイルストーンはいくつくらい置けばよいですか?

決まった数はありませんが、顧客と合意するマイルストーンは、数か月の案件なら5〜8個ほどが目安です。遅れると後ろの工程すべてに響く時点だけを選び、細かい期限はタスクの側で管理します。多すぎると、どれが重要か分からなくなります。

マイルストーン払いとは何ですか?

プロジェクトの節目ごとに代金を分けて支払う払い方です。着手のときに着手金、途中の節目で中間金、検収の後に残金を支払う、といった形があります。請負の代金は、契約で決めていなければ引渡しと同時に支払うのが原則(民法633条)なので、分けるなら契約で決めます。

マイルストーンの書き方のコツは何ですか?

日付だけでなく、何がどうなったら完了かという完了条件で書くことです。誰が、どの方法で判断するかも入れます。顧客と進める案件では、その節目の前に顧客にお願いする作業と、確認にかけられる期間も一緒に書いておくと、ずれにくくなります。

ガントチャートでマイルストーンはどう表しますか?

タスクを横棒で描き、マイルストーンはひし形などの印で描くのが一般的です。Microsoft Project では、期間に「0」と入力したタスクがマイルストーンの記号で表示されます。承認の手続きのように時間がかかる節目は、確認の期間を作業として描き、その終わりを節目にします。


まとめ

  1. マイルストーンは、プロジェクトの途中に置く重要な節目:道ばたの距離を示す石が語源で、ゴールに向けた進み具合を「何が終わっているか」で確かめるために置きます
  2. タスクは作業、マイルストーンは作業が終わった時点:時間を持たない点として扱うのが一般的で、ガントチャートでは印で描きます
  3. 顧客との案件では、社内の節目と顧客と合意する節目を分ける:顧客と合意する節目は、顧客の確認がないと完了しません
  4. 顧客と合意する節目は、完了条件・顧客側の作業・確認の期間まで書く:日付だけの節目は、人によって意味が変わります
  5. 節目は検収や支払いの区切りにも使える:請負の代金は、決めていなければ引渡しと同時に支払うのが原則なので、マイルストーン払いや分割検収にするなら契約に書きます

次の案件の計画を作るときは、マイルストーンの一覧に「前に必要な顧客の作業」の列を足してみてください。顧客にお願いすることが見えると、どの節目がずれやすいかも見えてきます。

本記事の情報について: マイルストーンの語の意味はケンブリッジ英語辞典、ガントチャートでのマイルストーンの扱いは Microsoft のサポートページ、請負・準委任の報酬の条文(民法633条・634条・641条・648条の2)は e-Gov法令検索、モデル契約の考え方は IPA のウェブサイトで、2026年11月7日に確認しています。マイルストーンの例と記入例は、説明のための架空の例です。個別の契約の内容や、フリーランス法・取適法の対象になるかは、法務担当者や弁護士に確認してください。

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